事業計画 / 更新 2026-08-28
訪問介護の区分支給限度基準額と利用者負担割合
訪問介護を含む居宅サービスには、要介護状態区分ごとに1か月あたりの利用上限額(区分支給限度基準額)が単位数で定められており、この上限を超えた分は保険給付の対象外となり全額利用者負担になります。あわせて、サービス利用時の自己負担割合は所得に応じて1割から3割まで分かれており、事業計画・利用者への説明のどちらにも影響します。
この記事で決めること
要介護度別の1か月の利用上限(単位数)と負担割合の判定基準を理解し、超過時の影響を把握するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、要介護度別の区分支給限度基準額と利用者負担割合の確認記録表を作成できる状態を目指します。
要介護度別の区分支給限度基準額
区分支給限度基準額は、要支援・要介護の状態区分ごとに厚生労働大臣が単位数で定める1か月あたりの利用上限です。厚生労働省告示(居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額)によると、要支援1は5,032単位、要支援2は10,531単位、要介護1は16,765単位、要介護2は19,705単位、要介護3は27,048単位、要介護4は30,938単位、要介護5は36,217単位です。
月間回数の粗い目安として、要介護3の27,048単位を、身体介護中心型の所要時間30分以上1時間未満の基本報酬387単位で割ると、約69.9回です(27,048÷387)。これは区分支給限度基準額を全て同一の訪問介護基本報酬だけに使った場合の算術例であり、実際は他サービスとの合計、加算・減算、地域区分、訪問内容によって変わります。個別のケアプランと請求可否はケアマネジャー・国民健康保険団体連合会等に確認します。
この単位数は消費税率引き上げに連動した令和元年10月の改定を最後に見直されておらず、令和3年度・令和6年度の介護報酬改定でも変更されていません。限度額の範囲内で利用する複数サービスの合計単位数を管理し、超過が見込まれる場合は超過分が全額自己負担になることを、ケアプラン作成段階でケアマネジャーと共有します。
利用者負担割合(1〜3割)の判定基準
サービス利用時の自己負担割合は原則1割ですが、本人の合計所得金額が160万円以上かつ年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で280万円以上(2人以上世帯は346万円以上)の場合は2割、合計所得金額220万円以上かつ同合計額が単身世帯で340万円以上(2人以上世帯は463万円以上)の場合は3割になります。2割負担は平成27年8月、3割負担は平成30年8月にそれぞれ導入されました。
利用者負担割合の判定基準は今後見直される可能性があります。2割負担の対象範囲や、3割負担(現役並み所得)の判断基準の設定は、2027年度に始まる第10期介護保険事業計画期間の開始前までに結論を得る方向で検討が進められており、開業計画やシミュレーターの入力へ反映する際は執筆時点の基準であることを踏まえ、実際の判定は利用者の負担割合証で確認します。
限度額の使い方の計算例(仮の利用回数)
要介護3の区分支給限度基準額27,048単位に対し、身体介護中心型の30分以上1時間未満(387単位)を月20回利用すると、387×20=7,740単位です。限度額までの残りは27,048−7,740=19,308単位で、この残りを他の居宅サービスと分け合います。
これは計算の手順を示す仮の例で、加算や減算は含めていません。厚生労働省の留意事項通知(令和6年度改定の新旧対照)は、端数処理の説明の中で「特別地域加算等の支給限度額管理対象外となる加算」と書いており、加算には限度額の管理の対象になるものとならないものがあります。ただし、どの加算が対象外かを一覧で示した記載は確認できていないため、特別地域加算以外は、指定権者とケアマネジャーへ確認してください。
月額の上限(高額介護サービス費)
1か月の利用者負担が世帯の上限額を超えたときの払い戻しの仕組みは、訪問介護の利用者負担の月額上限(高額介護サービス費):申請と事業所の説明で整理しています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者の要介護度から区分支給限度基準額(単位数)を確認する
- 利用者の所得区分から負担割合(1〜3割)を負担割合証等で確認する
- 計画中のサービス構成の合計単位数が限度額内に収まるか確認する
- 限度額を超える部分は全額自己負担になることをケアマネジャー・利用者と共有する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」(確認日 2026-10-01)
- 厚生労働省老健局「介護保険制度の概要(令和7年7月)」(確認日 2026-10-01)