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事業計画 / 更新 2026-10-21

訪問介護の訪問件数上限の決め方(商圏需要・職員時間から算出)

訪問介護の提供能力は、職員数や利用者数だけでは測れません。サービス別の訪問時間、曜日・時間帯、資格、移動、記録を月別に重ね、必要時間と実際に使える時間の差から受入余力を判断します。

利用者目標を月別の訪問回数へ変換する

利用者ごとにサービス区分、開始月、終了月、月間訪問回数、1回当たりの提供時間を置きます。利用者数へ一律の平均回数を掛けるのではなく、月の途中で始まる利用やサービス構成の違いを行単位で確認します。

シミュレーターの「1訪問の想定提供時間(分)」は、利用者数×1人あたり月間訪問回数×この分数を60で割り、月ごとの必要提供時間として計算します。たとえば利用者10人が各月4回、1訪問45分なら、必要提供時間は10×4×45÷60で30時間です。これはサービス提供時間の見積もりであり、移動・待機・記録時間は別に織り込み、実際の提供時間はサービス内容と運用実績で見直します。

シミュレーターのサービス行は、開始月から終了月までの月だけ、この必要提供時間に数えます。開始月より前の月と終了月より後の月は、その行の利用者数と訪問回数が必要提供時間に入らないため、月の途中で始まる利用や終わる利用は、開始月と終了月を行ごとに分けて置きます。

相談件数をそのまま訪問回数へ数えず、提供可否の確認、契約、初回訪問、継続の段階を分けます。開始が遅れた場合は売上だけでなく、必要な配置時間と移動枠も同じ月へずらします。

訂正履歴

  • 2026-08-24: 事業計画ツールが必要時間・利用可能時間・残余時間を月別に出すと読める記述を訂正。ツールが算出するのは1月目時点の値で、翌月以降は入力を変えて確認する。

この記事で決めること

商圏の需要と職員の稼働時間・移動時間から、受け入れられる訪問件数の上限を計算するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、移動・記録を含む有給時間から逆算した受入可能件数表を作成できる状態を目指します。

制度上の配置と運営上の供給力を分ける

厚生労働省の現行基準と指定権者の案内を用いて、役割、資格、勤務形態、兼務の条件を確認します。ただし、人員基準への適合だけで希望時間帯の訪問を提供できるとは判断しません。

職員ごとに資格確認の状態、対応サービス、勤務可能な曜日・時間帯、対応地域を記録します。個別の配置可否は組織図、勤務表、資格証等をそろえ、必要に応じて指定権者へ確認します。

訪問・移動・記録を同じ時間表へ置く

必要時間は訪問中のサービス時間だけでなく、移動、記録、申し送り、研修、同行等を分けて積み上げます。勤務時間のすべてを訪問へ割り当てると、実行段階で時間不足と人件費差異が生じます。

月別に必要提供時間と提供可能時間を比較し、余力・不足がマイナスなら受入件数、範囲、開始月を見直します。総時間が足りていても、朝夕など特定時間帯へ依頼が集中していないかを別に確認します。

提供可能時間から余力・不足と受け入れられる訪問件数を求める

提供可能時間は、職員の人数に1人あたり提供時間を掛けて合計します。ここに入れる時間は、有給時間から移動・待機・記録・研修を除いたサービス提供時間です。この提供可能時間から必要提供時間を引いた差が、余力(マイナスなら不足)です。

余力がプラスなら、余力の時間×60÷1訪問の分数で、追加で受け入れられる月間訪問回数を逆算できます。同じ式で提供可能時間を割れば、その職員構成で月に提供できる訪問回数の上限も分かります。下の表は、2人が月20時間ずつサービス提供に充て、1訪問45分とした計算例です。数値は例なので、自事業所の職員構成と1訪問の分数を入力して求め直します。

余力がマイナスの月は、訪問回数の逆算を受入可能件数として使えません。新規の受入を止め、既存利用者の開始月や訪問回数を見直すか、採用・配置の計画へ戻して提供可能時間を増やせるかを確認します。提供時間比率の計算例は「稼働実績から見直す訪問介護の受入可能件数」で確認できます。

提供可能時間と余力・不足、受け入れられる訪問件数の計算例(2人×月20時間、1訪問45分)
項目求め方余力があるケース不足するケース
提供可能時間人数×1人あたり提供時間2人×20時間=40時間2人×20時間=40時間
必要提供時間利用者数×月間訪問回数×1訪問の分数÷6010人×4回×45分÷60=30時間15人×4回×45分÷60=45時間
余力・不足提供可能時間−必要提供時間40−30=10時間の余力40−45=−5時間の不足
追加で受け入れられる月間訪問件数余力×60÷1訪問の分数(小数点以下は切り捨て)10×60÷45≒13.3で13回(月4回の利用者なら3人)余力がないため0回。不足5時間は約6.7回分の訪問にあたるため、新規受入を止める
提供可能時間から見た月間訪問件数の上限提供可能時間×60÷1訪問の分数(小数点以下は切り捨て)40×60÷45≒53.3で53回(現在は40回)53回に対し、現在の必要分は60回

自事業所の余力・不足時間と受け入れられる月間訪問件数を計算する

職員の人数と、1人が月にサービス提供へ充てる時間、現在の利用者数と訪問回数を入れると、余力(マイナスなら不足)の時間と、追加で受け入れられる月間訪問回数を計算します。初期値は上の表の計算例と同じ数値です。

提供可能時間は月40時間、必要提供時間は月30時間で、余力は10時間です。追加で受け入れられる月間訪問回数は13回です。

この提供可能時間で月に提供できる訪問回数の上限は53回(現在の必要分は40回)です。小数点以下は切り捨てています。

この結果は入力値によるモデル計算で、受け入れを保証するものではありません。提供可能時間には、有給時間から移動・待機・記録・研修を除いたサービス提供時間を入れてください。曜日・時間帯の偏り、移動、資格、欠員やキャンセルは反映していません。

欠員と変動を含む受入停止条件を置く

欠勤、退職、研修、キャンセル後の再調整、移動時間の増加を保守ケースへ反映し、余白を使い切らない計画にします。採用予定者は、入社、資格確認、研修、単独配置が確定するまで供給力へ含めません。採用から単独配置までの工程は訪問介護員の採用・研修・定着計画で確認します。

必要提供時間が提供可能時間を超える月、特定時間帯の代替要員がいない状態、記録時間を確保できない状態を新規受入の停止条件にします。シミュレーターは1月目時点の必要提供時間・提供可能時間・余力・不足を算出するため、翌月以降を確認する場合はその時点のサービス行・職員構成を入力し直して都度確認します。

開業後の利用者数の置き方(上限・紹介見込み・初回加算の対象人数)

計画行の月ごとの利用者数は、1つの増加率で伸ばさず、3つの区切りで置きます。月ごとの人数は、3つのうち最も小さい値までとします。

1つ目は上限です。その月に確保できる有給時間から、移動・待機・記録の余白を引いて受けられる訪問件数を出し、利用者1人あたりの月の訪問件数で割ります。採用や研修が間に合わない月は、ここで人数が止まります。

2つ目は紹介見込みです。居宅介護支援事業所などの紹介元ごとに、受入条件に合う相談が月に何件来る想定かを自分で置き、そのうち契約まで進む割合を掛けます。獲得ペースの全国的な相場は公的な統計で確認できないため、この値は事業所の仮定として記録し、実績が出たら置き換えます。

紹介元への伝え方と見直しの手順は「訪問介護の利用者獲得と紹介経路」にあります。

3つ目は初回加算の対象人数です。初回加算は新規に訪問介護計画を作成した利用者が対象で、過去2月間(暦月)にその事業所の訪問介護の提供がないことが要件です(1月につき200単位)。月ごとの新規利用者の数がそのまま加算の対象人数になるため、新規の人数を計画行に別に置くと、加算の見込みと人数の増え方がずれません。

初回加算の要件は「訪問介護の初回加算」で確認できます。

3つの区切りのうち、どれで人数が止まっているかを月ごとに見ると、開業直後は紹介見込み、数か月後は上限というように、手を打つ対象が変わります。

時間帯ごとの人員の見方

訪問件数の上限は、朝夕のように同じ時刻に訪問が重なる時間帯の人員でも決まります。同時刻に必要なヘルパー数の考え方は、訪問介護の時間帯別の人員設計:朝夕の同時刻に必要なヘルパー数の考え方で整理しています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 曜日・時間帯別に提供枠を並べる
  2. 訪問時間と移動・待機・記録時間を分ける
  3. 職員の有給時間と対応可能地域を重ねる
  4. 欠員・キャンセル時の受入上限を確認する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

職員数から訪問可能件数を決められますか?

人数だけでは決められません。資格、曜日・時間帯、地域、訪問時間、移動、記録を月別に重ね、必要時間と利用可能時間を比較します。

人員基準を満たせば受入余力がありますか?

制度上の適合と運営上の供給力は別です。基準を確認したうえで、依頼が集中する時間帯や代替要員まで個別に点検します。

採用予定者は提供能力に含められますか?

入社、資格確認、研修、同行、単独配置が確定するまでは確定供給力に含めず、遅延した保守ケースも作ります。

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。

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一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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