運営 / 更新 2026-10-07
訪問介護事業所を引き継ぐ・法人形態を変えるときの指定手続き(廃止と新規指定)
訪問介護の事業所を別の法人から引き継ぐときや、運営する法人の形が変わるときは、指定の手続きが「届出だけ」で済む場合と、「旧法人の廃止と新法人の新規指定」が必要な場合に分かれます。分かれ目は、運営する法人が別の法人に替わるかどうかです。この記事では、全国共通で確認できる考え方と、手続きが簡単になる場合の範囲、利用者への説明と日程の組み方を整理します。必要書類、締切、事業所番号の扱いなどの細部は指定権者ごとに違うため、個別に確認する事項として分けます。
この記事で決めること
訪問介護事業所を別法人から引き継ぐ、または運営法人の形が変わるときに、旧法人の廃止と新法人の新規指定が要る場合と変更届で済む場合を整理するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、引き継ぎの形ごとの指定手続きと日程を並べた承継手続き管理表を作成できる状態を目指します。
運営法人が替わるときの基本:旧法人の廃止と新法人の新規指定
訪問介護の指定は、事業所を運営する法人に対して出されます。運営する法人が別の法人に替わる場合は、現在の法人(旧法人)が事業所の廃止の手続きを行い、引き継ぐ法人(新法人)が新規の指定申請を行います。事業の運営の仕方を変えずにそのまま続ける予定でも、法人が替わる以上は同じ扱いです。
廃止の届出は、介護保険法で、廃止の日の1か月前までに指定権者へ行うと定められています。新法人の新規指定は、廃止した日の翌日が事業の開始日になるよう、日程をそろえるのが基本です。大阪府箕面市の案内も、廃止日の翌日が新しい指定による事業開始日となるよう調整することを求めています。
法人の形が変わる場面ごとの手続きの違い
法人の形が変わる場面でも、運営する法人そのものが替わるかどうかで手続きが決まります。厚生労働省が令和2年8月に自治体へ出した事務連絡と、箕面市のよくある質問をもとに、場面ごとに整理します。箕面市の回答は、同市が所管する事業所に向けた案内であり、全国共通の取扱いではありません。
| 場面 | 指定の手続き | 確認できた根拠 |
|---|---|---|
| 別の法人から事業所を事業譲渡で引き継ぐ | 旧法人が廃止、新法人が新規指定の申請 | 箕面市のよくある質問 |
| 吸収合併で、消滅する会社の事業所を存続する会社が引き継ぐ | 新法人の事業所として新規指定が必要。実質的に継続して運営されると認められるときは、手続きを簡略にできる | 厚生労働省の事務連絡(令和2年8月3日) |
| 吸収分割・新設合併・新設分割で引き継ぐ | 吸収合併と同じ扱い | 厚生労働省の事務連絡(令和2年8月3日) |
| 有限会社から株式会社への組織変更など、法人格は同じままの変更 | 廃止と新規指定は不要で、変更届で足りるとされる | 箕面市のよくある質問 |
| 吸収合併で、存続する会社が自社の事業所を運営し続ける | 事業所の手続きは不要。人員や運営形態が変わるときは変更届 | 箕面市のよくある質問 |
手続きが簡素化される場合と、新規指定の書類が必要な場合
合併や分割で新規指定が必要になっても、指定権者が「事業所が実質的に継続して運営されている」と認めた場合は、手続きを簡単にできると厚生労働省は示しています。例として、事業所の職員に変更がないことが挙げられています。この判断をするのは指定権者で、事業者が自分で決めることはできません。
簡素化される内容は、書類の出し方と、報酬の実績の扱いです。書類は、旧法人が指定を受けたときの内容から変わった部分だけを届け出れば足りるとされています。
法人格以外に変更がなければ、法人格が変わったことがわかる登記事項証明書などの提出で差し支えないという整理です。ただし、事業の開始予定年月日と登記事項証明書は、この場合も出す書類に含まれています。
報酬の面では、過去の実績が必要な加算で、実績を通算できるとされています。訪問介護の特定事業所加算の重度要介護者の受入割合が例として挙がっています。
通算できるのは、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合です。通算の可否と手続きは、指定権者に事前に確認してください。
利用者への説明と、サービスに空白を作らない日程
法人が替わる場合でも、利用者へのサービスが途切れないようにする必要があります。厚生労働省の事務連絡は、指定権者に対し、吸収合併の日と指定の日に差が出てサービスの空白が生じないよう、可能な限り迅速・簡便に対応することを求めています。事業者の側も、廃止の届出と新規指定の申請を、同じ日程表で並べて進めます。
利用者との契約について、同じ事務連絡は、会社法の吸収合併では合併後の法人が旧法人の権利義務を引き継ぐため、利用契約の再締結を不要とする例を示しています。ケアプランの変更も不要とし、利用者の希望による軽微な変更として扱える例です。
一方、箕面市は事業譲渡の場合について、利用者への説明と個別の契約の切り替えを滞りなく進めるよう求めています。契約の扱いは引き継ぎの形によって違うため、指定権者と、契約書を作成した専門家に確認してください。
日程の組み方は指定権者ごとに違います。箕面市の例では、新規指定の申請は、指定の4か月前の16日から予約を受け付け、前々月の25日までに書類を出す流れが示されています。
ほかの地域の期限を、この例から推測しないでください。指定の流れの全体像は訪問介護の指定申請と開業ロードマップ、指定後の変更・休止・廃止の届出は訪問介護の指定後の変更・更新・休止・廃止で確認できます。
個別に確認する事項と、この記事の範囲
この記事で使った厚生労働省の事務連絡は令和2年に出されたもので、現在の運用は指定権者の最新の案内で確認する必要があります。事業所番号を引き続き使えるか、必要な書類の一覧、予約の方法、締切は、地域によって異なる可能性があります。箕面市の例では、原則として新しい事業所番号を付けますが、合併などの場合は事業者の希望で従前の番号を使えるとしています。
補助金を受けて取得した財産がある場合は、承継に当たって別の手続きが必要になることがあります。厚生労働省の事務連絡は、その手続きの根拠となる通知を示しています。このほか、税金・登記・労務の判断は、この記事の範囲外です。
このサイトは、指定を受けられるかどうかの判定や、申請の代行を行いません。指定権者の窓口へ早めに相談してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 引き継ぎの形(事業譲渡・吸収合併・吸収分割・組織変更)を整理し、運営法人が替わるかを確認する
- 所在地の指定権者へ早めに相談し、新規指定の要否と簡素化される書類の範囲を確認する
- 旧法人の廃止届と新法人の新規指定の申請を、廃止日の翌日が開始日になる日程表に並べる
- 利用者への説明と契約の扱い、加算の実績の通算可否を指定権者に確認して管理表へ記録する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護保険法(第七十条 指定居宅サービス事業者の指定)」(確認日 2026-10-02)
- 厚生労働省「介護保険法(第七十五条 変更の届出等)」(確認日 2026-10-07)
- 大阪府箕面市「よくある質問【FAQ】(介護サービス事業者関係)」(確認日 2026-10-07)
- 厚生労働省(箕面市掲載のPDF)「介護保険最新情報Vol.862 事業所の吸収分割等に伴う事務の簡素化について(令和2年8月3日)」(確認日 2026-10-07)