運営 / 更新 2026-10-06

訪問介護の認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ) 1日3単位・4単位の要件と対象者の割合

認知症専門ケア加算は、届出を行った事業所において、別に厚生労働大臣が定める者に対して専門的な認知症ケアを行った場合に、(Ⅰ)は1日につき3単位、(Ⅱ)は1日につき4単位を加算する制度で、両方を同時には算定しません。基準では、事業所の利用者に占める対象者の割合と、認知症介護の専門的な研修を修了した職員の配置が求められます。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

単位数と算定の単位

算定基準の告示は「ト 認知症専門ケア加算」として、(Ⅰ)3単位、(Ⅱ)4単位を「1日につき」加算すると定めています。1回の訪問ではなく提供日を単位に数える点が、初回加算や口腔連携強化加算と異なります。

対象は、別に厚生労働大臣が定める者に対して専門的な認知症ケアを行った場合で、事業所は電子情報処理組織を使用する方法により都道府県知事へ届出を行っている必要があります。(Ⅰ)と(Ⅱ)のいずれかを算定している場合、もう一方は算定しません。

この記事で決めること

認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ)(提供日ごと)の対象者割合・研修要件を理解し、事業計画への組み込みを判断するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、認知症専門ケア加算の対象者割合と研修修了者配置の確認表を作成できる状態を目指します。

(Ⅰ)の基準

基準の告示(厚生労働大臣が定める基準 三の四 イ)は3つの基準の全てに適合することを求めます。第一に、事業所の利用者の総数のうち、周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者(対象者)の占める割合が2分の1以上であることです。

第二に、認知症介護に係る専門的な研修を修了している者を配置し、チームとして専門的な認知症ケアを実施していることです。配置する人数は、対象者が20人未満なら1人以上です。20人以上なら、1人に「対象者の数が19を超えて10人またはその端数が増えるごとに1人」を足した人数以上になります。

第三に、従業者に対する認知症ケアの留意事項の伝達か技術的指導のための会議を、定期的に開いていることです。

(Ⅱ)の基準

(Ⅱ)(三の四 ロ)は、(Ⅰ)の「研修修了者の配置」と「定期的な会議」の基準を満たしたうえで、さらに3つを求めます。

1つ目は割合です。利用者の総数のうち、日常生活に支障を来すおそれのある症状または行動が認められ、介護を必要とする認知症の人が100分の20以上を占めていることです。

2つ目は指導役の配置です。認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している者を1名以上置き、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施していることが条件です。

3つ目は研修計画です。介護職員・看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作り、外部研修を含む研修を実施している、または実施する予定であることが条件です。

対象者の割合の数え方と毎月の確認

割合の数え方は、告示ではなく留意事項通知(平成12年3月1日老企第36号)の訪問介護費の「認知症専門ケア加算について」に書かれています。対象者は日常生活自立度で決まります。

(Ⅰ)の「周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者」はランクⅡ、Ⅲ、Ⅳ又はMの利用者です。(Ⅱ)の「日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」は、ランクⅢ、Ⅳ又はMの利用者です。

割合は、算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数または利用延人員数の平均で算定します。通知は「Ⅱ以上の割合が2分の1以上、又は、Ⅲ以上の割合が100分の20以上」と並べて書いており、前者が(Ⅰ)の対象者、後者が(Ⅱ)の対象者の見方に当たります。自立度の確認は、例としてサービス担当者会議等でケアマネジャーから情報を得る方法が挙げられています。

届出をした後も、直近3月間の割合が毎月、所定の割合以上であることが必要です。その割合は毎月記録するものとされ、所定の割合を下回ったときは、直ちに通知の第1の5の届出を提出しなければなりません。届出の前だけ割合を満たせばよい加算ではなく、毎月の利用者数と自立度の記録を事業所に残す運用が前提になります。

なお、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問142は、同じ割合の算定方法を「届出日が属する月の前3月間の利用者数」で行うとし、利用実人員数なら3か月分の対象者数の合計を利用者数の合計で割る計算例を示しています。通知は「算定日が属する月」、Q&Aは「届出日が属する月」と起点の書き方が異なるため、届出時と毎月の確認でどの月を起点にするかは、指定権者の案内で確かめてください。

事業計画で判断すること

金額の目安は、(Ⅰ)で対象者1人が月20日利用すると60単位で、1級地の11.40円なら684円、その他地域の10.00円なら600円です。単価は小さく、加算そのものより「対象者が利用者の半数以上を占める事業所であること」と「研修修了者を配置していること」が、事業所の型を決める条件になります。

認知症の利用者を中心に受け入れる方針で開業するなら、研修修了者の採用または既存職員の研修受講を人員計画に入れ、対象者の割合を利用者獲得計画と合わせて追います。当サイトのシミュレーターは計算に含めていないため、基本報酬とは別の行として事業計画に置きます。

他の加算と比べる・請求前に確かめる

他の加算との単位数・算定の単位・届出の要否の違いは主な加算の比較表で見比べられます。請求の前に記録で要件を確かめる手順は加算の月次自己点検チェックリストにあります。

認知症専門ケア加算は事業計画ツールの損益に含まれない

事業計画ツールの月次損益は加算・減算を含まないモデル計算です。認知症専門ケア加算の見込み額は、この記事で要件を確かめたうえで別に出し、ツールの営業損益とは分けて読みます。

ツールは、認知症専門ケア加算の算定可否を判定しません。算定できると確認できるまでは、加算を見込まない基準ケースで損益分岐を確かめます。

対象者の確認と、研修・加算の比較

対象者の割合を数えるときの日常生活自立度の確認順は、認知症高齢者の日常生活自立度の確認順(主治医意見書・認定調査票)で整理しています。

訪問介護員の受講義務の範囲は、認知症介護基礎研修と訪問介護:運営基準の条文と令和6年度Q&Aで確認する受講義務の範囲で確かめられます。

ほかの加算との単位数や届出の要否の違いは、主な加算の比較表:単位数・算定の単位・届出の要否で見られます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 利用者の総数と、周囲の者による日常生活への注意を必要とする認知症の者の数を月ごとに数え、割合が2分の1以上かを確認する
  2. 認知症介護に係る専門的な研修を修了した職員の人数を、対象者の数に応じた必要数(20人未満で1以上、以後10人ごとに1を加える)と突き合わせる
  3. 認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導の会議を定期開催し、開催記録を残す
  4. (Ⅱ)を目指す場合は、指導に係る研修の修了者1名以上の配置と、職種ごとの研修計画の作成・実施予定を人員計画に組み込む

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 認知症高齢者の日常生活自立度の確認順(主治医意見書・認定調査票) →