運営 / 更新 2026-10-12
訪問介護員を解雇するときの30日前の予告と解雇予告手当(労働基準法第20条)
訪問介護員を解雇しようとするときは、労働基準法第20条により、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。業務上のけがや産前産後の休業中とその後30日間は、原則として解雇できません。この記事は、労働基準法と労働契約法の条文を、2026-10-12に確認した範囲で整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の事業者が、訪問介護員の解雇を検討するときに必要な予告の日数と解雇予告手当、予告が不要な職員、解雇制限の期間を、労働基準法と労働契約法の条文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、解雇検討時の確認表(職員の雇用形態・契約期間・入職日・業務上の傷病や産前産後の休業の有無・予告の日数と予告手当の額・解雇の理由と相談した専門家の記録)を作成できる状態を目指します。
解雇の予告と解雇予告手当(労働基準法第20条)
第20条第1項は、使用者が労働者を解雇しようとするときは、少なくとも30日前に予告しなければならないと定めています。30日前に予告しない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。予告の日数は、1日について平均賃金を支払えば、その日数だけ短縮できます(第2項)。
たとえば解雇の10日前に予告するときは、20日分以上の平均賃金を支払えば足りる、という考え方です。平均賃金の算定方法は第12条に定められており、この記事では金額の計算までは扱いません。
天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合と、労働者の責めに帰すべき事由で解雇する場合は、第20条の例外です。ただし、この例外を使うには所轄の労働基準監督署長の認定が必要です(第3項が準用する第19条第2項)。
予告が要らない職員と、解雇できない期間(第19条・第21条)
第21条は、第20条を適用しない労働者として、日々雇い入れられる人、2か月以内の期間を定めて使用される人、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される人、試みの使用期間中の人を挙げています。ただし、それぞれ一定の期間を超えて引き続き使用されたときは、予告が必要になります。
期間は、日々雇い入れられる人が1か月、試みの使用期間中の人が14日です。2か月以内の期間の契約と4か月以内の季節的業務の契約は、所定の期間を超えて引き続き使用された場合が対象になります。
第19条は、業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間とその後30日間、産前産後の休業期間とその後30日間は、解雇してはならないと定めています。打切補償を支払う場合や、天災事変などで事業の継続が不可能になった場合は例外です。
予告をすれば解雇できるわけではない点(労働契約法第16条)
労働契約法第16条は、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効になると定めています。30日前の予告や予告手当の支払いは、解雇の理由が適切かどうかとは別の手続きです。
訪問介護の事業所では、利用者の減少を理由に登録ヘルパーの仕事を減らす場合なども、解雇に当たるか、労働条件の変更に当たるかで扱いが変わります。個別の事情による判断は、この記事では行いません。
事業所での手順と、このページが判断しないこと
解雇を検討するときは、職員の雇用形態と契約期間、入職日、業務上の傷病や産前産後の休業の有無を確認し、予告の日数と手当の額、解雇の理由を書面に整理します。予告を怠った事業主には、第119条第1号により、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。
退職の証明書は、職員が請求したときに交付します(第22条)。解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、解雇の理由の証明書を請求された場合も同じです。退職の手続き全体は訪問介護員の退職時の手続きで整理しています。
このページは、個別の解雇が有効かどうか、予告手当の金額、解雇の理由に当たるかを判断しません。解雇を検討する段階で、社会保険労務士や弁護士、所轄の労働基準監督署に相談します。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 対象の職員について、雇用形態、契約期間、入職日、日々雇用か試みの使用期間中かを一覧にする。業務上の負傷・疾病や産前産後の休業の期間があるときは、その終了日も記録する
- 解雇の理由を具体的な事実で書き出し、改善の機会を与えた記録や指導の記録を集める。理由が客観的に説明できるかを、社会保険労務士や弁護士に相談して確認する
- 解雇の予定日から逆算して30日前の日付を確認し、予告の日と、足りない日数分の平均賃金(予告手当)を書面で整理する。金額の計算は社会保険労務士か労働基準監督署に確認する
- 予告をした日、職員が受け取った日、予告手当を支払った日を記録する。職員から解雇理由の証明書を請求されたときは、遅滞なく交付できるよう様式を用意しておく
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。