開業準備 / 更新 2026-10-05
訪問介護の開設主体・法人・資金調達
指定を受ける法人、事業所、サービスを分けて設計し、自己資金・出資・借入・未承認の支援候補を区別します。
法人形態を比較するときの確認表
形態ごとに有利不利を決める表ではなく、事業を始める前に確認する論点を並べた表です。個人・法人で届出の起点が異なり、合同会社・株式会社・NPO法人では定款、構成員、資金の扱いも異なります。
| 形態 | 意思決定・運営の確認点 | 資金調達の入口 | 税務の確認起点 |
|---|---|---|---|
| 個人事業主 | 個人の事業として開始し、開業届などの手続と事業主が負う判断を確認する | 自己資金と個人としての借入候補を、実行時期ごとに分ける | 個人事業の届出と所得税の申告を確認する |
| 合同会社 | 出資者全員が有限責任社員であることを前提に、社員間の定款・業務執行の決め方を確認する | 社員の出資と借入候補を、確定・未確定に分ける | 法人設立届出と法人税の申告を確認する |
| 株式会社 | 発起人、定款、出資の履行、機関の設置、設立登記の手順を確認する | 設立時に出資される財産と借入候補を、実行時期ごとに分ける | 法人設立届出と法人税の申告を確認する |
| NPO法人 | 構成員への収益分配を目的としない法人であることを踏まえ、定款・所轄庁手続を確認する | 構成員への収益分配を目的としないことを踏まえ、資金の扱いは定款・法令で確認する | 収益事業に当たるかを確認し、必要な法人税申告を判断する |
この記事で決めること
法人と事業単位を決め、未承認資金を分けて計画するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、開設主体と確定資金・未確定資金を分けた調達計画を作成できる状態を目指します。
資金計画へ戻す
借入候補には業種を問わず利用できる日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金があります。融資限度額は7,200万円で、設備資金は返済20年以内・運転資金は返済10年以内、いずれも据置期間は5年以内です。
女性、35歳未満または55歳以上の方、認定特定創業支援等事業の証明書を取得した方など、公式ページに列挙された要件に当てはまる資金は特別利率の対象となります。該当の有無、適用利率、据置の可否は申込時点の公式案内と最寄り支店で確認します。
介護サービス事業等を営む方は、日本政策金融公庫の「ソーシャルビジネス支援資金(企業活力強化貸付)」も借入候補です。資金使途は、事業を行うために必要な設備資金・運転資金です。融資限度額は7,200万円です。
返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内で、据置期間はいずれも5年以内です。介護サービス事業等は特別利率Bの区分ですが、実際の利率は返済期間や担保の有無などで異なります。担保・保証人は希望を伝えて相談し、融資可否を含め、申込時点の公式ページと最寄り支店で確認してください。
自治体独自の創業支援補助金の有無と要件は開業予定地の自治体窓口で個別に確認し、借入は使途、実行時期、返済開始、返済額を月次資金へ反映します。
申請中の融資や補助を確定入金として扱いません。保守シナリオは自己資金と確定資金だけでも開始条件を満たすか確認します。税負担や許認可は、専門家と指定権者に確認します。
借入の返済を損益分岐に足して確かめる
借入で資金を調達する場合は、返済額が毎月の支出に加わります。据置期間の前後で、黒字になる訪問件数がどれだけ変わるかは、訪問介護の損益分岐点(訪問件数)の計算式とシミュレーター前提で架空の数値により確かめられます。
法人形態を選ぶ段階の比較表
株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人・医療法人・社会福祉法人の設立の手間、定款上の目的、決算後の報告を同じ列で並べた表は、訪問介護を開業する法人形態6種の比較(設立の手間・目的・決算後の報告)にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 指定を受ける法人と事業所を分ける
- 自己資金・出資・借入候補を区別する
- 資金の実行時期と返済開始を月次表へ入れる
- 未承認資金を除いた開始条件を確認する
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
開設主体は、どの法人形態がよいですか?
法人形態を一律には勧めません。事業単位、出資者、資金の出所を整理し、個別の税務や会社法の判断は専門家へ確認します。
融資が決まっていない資金は計画に入れてよいですか?
承認されていない資金は、確定資金と分けて計画します。未承認の資金に頼らなくても運転できるかを、資金繰りで確認します。
この記事で融資審査に通るかどうかはわかりますか?
融資審査の通過を保証するものではありません。この記事は、資金調達の前提を整理するためのものです。
事業計画ツールで確かめる
記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護事業所の指定申請等のウェブ入力・電子申請導入」(1.電子申請・届出システムの概要)(確認日 2026-10-20)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(確認日 2026-10-01)
- 国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」(確認日 2026-10-03)
- 法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」(確認日 2026-10-03)
- 内閣府NPOホームページ「NPOのイロハ」(確認日 2026-10-03)
- 国税庁「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」(確認日 2026-10-03)
- 法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」(確認日 2026-10-03)
- 日本政策金融公庫「ソーシャルビジネス支援資金(企業活力強化貸付)」(確認日 2026-09-30)