運営 / 更新 2026-10-12

外国人介護人材の訪問介護への従事:技能実習・特定技能の要件と事業所が整える体制

技能実習・特定技能の在留資格で介護業務に就く外国人は、令和7年4月から、一部の訪問系サービスに従事できるようになりました。事業所には、初任者研修の修了の確認、同行訪問、利用者への書面説明などが求められます。このページは、厚生労働省の通知で、従事できる条件と事業所が整える体制を確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

技能実習・特定技能の外国人を訪問介護に従事させるときの条件と、事業所が整える体制を、厚生労働省の通知で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、外国人介護人材の訪問従事の準備表(在留資格と初任者研修の修了確認・実務経験の月数・同行訪問の計画・利用者への説明書面・適合確認の状況)を作成できる状態を目指します。

訪問介護に従事できるようになった範囲

厚生労働省の通知「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」(令和7年3月31日、社援発0331第40号・老発0331第12号)は、技能実習と特定技能の在留資格で介護業務に従事する外国人について、令和7年4月から順次、一部の訪問系サービスへの従事を認めるとしています。これまで、EPA介護福祉士候補者、技能実習、特定技能の外国人は、訪問系サービスに従事できませんでした。

通知が対象にする訪問系サービスは、訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、介護予防・日常生活支援総合事業の第一号訪問事業です。訪問入浴介護と介護予防訪問入浴介護も従事が認められました。複数人でのサービス提供が必要で、初任者研修の修了などが必ずしも求められていないことなどを踏まえ、事業所が適切な指導体制を確保して入浴等の研修を受けさせるとされています。

EPA介護福祉士候補者の訪問系サービスへの従事は、必要な調整が終わり次第、改めて通知するとされました。その後の通知は、このページでは確認していません。

従事させる前提:初任者研修の修了

通知は、日本人の訪問介護員と同じように、介護職員初任者研修の修了などの要件を満たしていることを前提にしています。生活援助従事者研修だけを修了した人は、従事を認める対象から除かれています。

従事の前に、事業所は、後で説明する5つの遵守事項を実行できる体制や計画と、実務経験・利用者への書面説明の対応を、巡回訪問等を行う機関に書類で示します。これらがすべて確認できた事業所には、訪問系サービスに従事する外国人ごとに適合確認書が交付されます。

事業所が守る5つの遵守事項

通知の三が挙げる遵守事項は、次の5つです。いずれも各在留資格の介護分野の告示でも規定されているとされています。

訪問系サービスに従事させるときの遵守事項(厚生労働省の通知 三①〜⑤。通知で確認、2026-10-12)
項目通知で確認できる内容
① 研修の実施訪問系サービスの基本事項や生活支援技術などの研修に加え、利用者・家族・近隣とのコミュニケーションや日本の生活様式の研修を行う。緊急時の連絡方法と連絡先を事前に確認し、不測の事態に備えた研修も行う
② 同行訪問などのOJT最初から一人で訪問せず、一定期間、サービス提供責任者や担当の先輩職員が同行する。回数と期間は、利用者や本人の状況に応じて事業所が判断する
③ 意向確認とキャリアパス従事させる業務の内容や注意事項を説明して本人の意向を確認し、キャリアアップ計画を本人と共同で策定して、本人と共有する
④ ハラスメント対策ハラスメントを防ぐための対応マニュアルの作成・共有と、実際に起きたときの対応として、本人が相談できる窓口の設置と周知を行う
⑤ ICTなどによる環境整備緊急時のマニュアルの作成、緊急時を想定した研修、緊急時に他の職員が駆け付けられる体制、サービス提供記録や申し送りを全員で共有する仕組みの整備の、4つのいずれも行う

実務経験1年以上の原則と、1年未満の例外

通知の四①は、訪問系サービスに従事させる外国人は、介護事業所等での実務経験が1年以上ある人であることを原則とします。事業所の判断で、1年に満たない人を従事させるときは、2つの措置が必要です。

1つ目は、日本語能力試験N2相当など、在留資格で求められる水準より高い日本語能力を持つ人に限ることです。2つ目は、利用者ごとに同行訪問を行うことで、週1回のサービス提供なら半年、週2回なら3か月、週3回以上なら2か月です。

利用者と家族の同意があれば、週1回の場合は同行訪問3か月に、見守りカメラなどのICTで常に事業所とやりとりできる状態を加える方法も認められています。同行訪問は2か月以上が必要で、それより短くすることは認められません。

利用者・家族への書面説明と訪問先の選び方

外国人が訪問する可能性があるときは、利用者とその家族に、書面を渡して説明し、署名を求めます。様式は通知に別添されています。説明する事項は、外国人が訪問する場合があること、訪問する人が実務経験などの条件を満たしていること、ICT機器を使いながら業務を行う場合があること、不安なときに連絡する事業所の連絡先です。

通知の五は、訪問先の選定にも配慮を求めています。利用者の健康状態、ADL、認知症の日常生活自立度、居住環境、利用者や家族の意向、本人のコミュニケーション能力と介護の技術をふまえ、サービス提供責任者や事業者が総合的に判断し、判断の記録を残します。

同行訪問の期間中に、利用者や家族の意向をあらためて確認し、良好な関係が築けるかも見たうえで、その利用者への訪問を続けるかを判断することが適当だとされています。

確認と受入停止の流れ

適合確認書の交付を受けたあとも、巡回訪問などを通じて、遵守事項が守られているかの確認を受けます。確認では、事業の管理者、サービス提供責任者、外国人本人などから話を聞くとされています。

適切な履行が確認できず、指導を受けても改善が見込まれないときは、受入れを認めない措置がとられます。技能実習の場合は、適合確認書の取消しのあと、技能実習計画の認定の取消しに進む流れが通知に書かれています。

事業所の確認の手順と、このページが判断しないこと

事業所では、まず職員の在留資格と、初任者研修の修了、実務経験の月数を確認します。そのうえで、5つの遵守事項の実施状況と、同行訪問の計画、利用者への説明書面を整えます。募集から採用までの流れは訪問介護員の採用と定着の運用、ハラスメントの措置はカスタマーハラスメントへの措置で確認できます。

このページは、EPA介護福祉士候補者と留学生のアルバイトの可否、在留資格の手続、個別の職員を従事させてよいかを判断しません。このページは、通知が出た後の変更を確認していません。最新の取扱いは、厚生労働省のページと、巡回訪問等を行う機関または都道府県で確認します。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 従事させる職員の在留資格が技能実習か特定技能かを確認し、介護職員初任者研修の修了と、介護事業所等での実務経験の月数を記録する
  2. 実務経験が1年未満の場合は、通知が求める日本語能力の条件を満たすかを確認し、利用者ごとの週あたりの訪問回数に応じた同行訪問の期間(週1回は半年、週2回は3か月、週3回以上は2か月)を計画に入れる
  3. 研修、同行訪問、キャリアアップ計画、ハラスメント対策、緊急時のマニュアルと駆け付け体制の5つの遵守事項について、実施状況と書類の所在を一覧にする
  4. 訪問する可能性のある利用者と家族へ渡す説明書面と署名の記録、訪問先を選んだ理由の記録、適合確認書の交付状況を確認し、不明点は巡回訪問等実施機関または都道府県へ確認した日と回答を残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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