運営 / 更新 2026-10-12
訪問介護の初回加算の算定要件(月200単位)と、過去2ヶ月・同行の扱い
訪問介護の初回加算は、新規に計画を作成し、過去2月間(暦月)に同事業所の提供がなく、初回または初回訪問月にサービス提供責任者が訪問・同行した利用者について月200単位を加算します。①過去2月間(暦月)に当該事業所の訪問介護の提供がなく、②初回もしくは初回の訪問を行った日の属する月に、サービス提供責任者が自ら訪問するか他の訪問介護員等の訪問に同行した場合に、1月につき200単位を加算します。継続利用者や、2か月以内に同じ事業所の訪問を受けていた利用者には付かないため、算定回数の上限は新規利用者の獲得数で決まります。
この記事の要点
- 加算額
- 1月につき200単位(告示 別表1 訪問介護費の「ニ 初回加算」)
- 対象
- 新規に訪問介護計画を作成した利用者
- 要件1
- 過去2月間(暦月)に、当該事業所の訪問介護の提供がないこと
- 要件2
- 初回の訪問を行った日の属する月に、サービス提供責任者が自ら訪問するか、他の訪問介護員等の訪問に同行すること
- 算定できない例
- 継続して提供している利用者、2か月以内に同じ事業所の訪問があった利用者、訪問介護員等だけで初回を済ませた月
初回加算の算定要件(3つ)と、算定できる場合・できない場合
厚生労働省の告示(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)は、別表1訪問介護費の「ニ 初回加算 200単位」として定めています。対象は「新規に訪問介護計画を作成した利用者」で、既に計画があり継続して提供している利用者は対象になりません。
算定要件は次の3つで、すべて満たす月に1月につき200単位を算定します。①新規に訪問介護計画を作成した利用者であること。
②過去2月間(暦月)に、当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていないこと(留意事項通知)。②の判定は次の節で扱います。
③初回もしくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に、サービス提供責任者が自ら指定訪問介護を行うか、その事業所の他の訪問介護員等の訪問に同行したこと。
つまり、初回訪問の月にサービス提供責任者が関わることが条件で、訪問介護員等だけで初回を済ませた場合は算定できません。サービス提供責任者の訪問または同行の事実を記録に残すことが、算定の前提になります。
| 場面 | 初回加算 | 根拠となる要件 |
|---|---|---|
| 新規に訪問介護計画を作成し、過去2月間に当該事業所の提供がなく、初回の月にサービス提供責任者が訪問または同行した | 算定できる | 3つの要件をすべて満たす |
| 既に計画があり、継続して提供している利用者 | 算定できない | 新規の訪問介護計画の作成が対象 |
| 前月または前々月に当該事業所の訪問介護の提供があった | 算定できない | 過去2月間(暦月)の条件 |
| 初回の月に、訪問介護員等だけで訪問し、サービス提供責任者の訪問も同行もない | 算定できない | サービス提供責任者の訪問または同行の条件 |
この記事で決めること
初回加算の算定要件(新規計画・サービス提供責任者の初回訪問または同行)を理解し、売上への上乗せを見積もるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、初回加算の算定根拠記録と新規利用者数の月次見込み表を作成できる状態を目指します。
過去2月間に当該事業所の提供を受けていない場合の判定
初回加算には、告示の文言に加えて、留意事項通知(平成12年老企第36号 第2の2(19)①)が定める条件があります。利用者が過去2月間(暦月)に、当該指定訪問介護事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合に算定する、というものです。新規に計画を作っても、2か月以内に同じ事業所の訪問を受けていた利用者は対象になりません。
ここでの「二月」は暦月、つまり月の初日から末日までで数えます。厚生労働省のQ&Aの例では、4月15日に指定訪問介護を行った場合、初回加算が算定できるのは、同年の2月1日以降に当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合です。算定する月の前月と前々月の2暦月に、当該事業所の提供があったかで見ます。
見るのは当該事業所の提供だけです。Q&Aは、初回加算は同一月内で複数の事業所が算定することも可能と示しています。
他の事業所の利用歴があっても、この条件の判定には入りません。表の「満たす」は過去2月間の条件だけの結果で、新規の訪問介護計画の作成とサービス提供責任者の訪問または同行も、あわせて必要です。
| 当該事業所の直近の提供月 | 2月1日以降の提供 | この条件の判定 |
|---|---|---|
| 3月(前月)に提供あり | あり | 算定できない |
| 2月(前々月)に提供あり | あり | 算定できない |
| 1月が最後で、2月・3月は提供なし | なし | この条件は満たす |
| 他の事業所のみ利用歴あり(当該事業所の提供は一度もない) | なし | この条件は満たす |
介護保険の「初回加算」は、サービスごとに別の加算です
介護保険の「初回加算」は一つの共通制度ではなく、サービスの種類ごとに告示で別々に定められています。この記事が扱うのは、訪問介護費の「ニ 初回加算」(1月につき200単位)だけです。
たとえば同じ告示(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)には、訪問入浴介護費の「ロ 初回加算」と、訪問看護費の「ニ 初回加算」も別の項目として置かれています。算定の対象となる場面と要件は項目ごとに異なり、訪問看護費では区分も分かれています。訪問介護の要件を、ほかのサービスの初回加算にそのまま当てはめることはできません。
ほかのサービスの初回加算を確認するときは、告示の該当するサービスの項と、留意事項通知(平成12年老企第36号)の同じサービスの節を読みます。この記事では、ほかのサービスの単位数や要件は扱いません。確認日は、告示の取得済み本文(確認日2026年9月28日)で、訪問介護費・訪問入浴介護費・訪問看護費にそれぞれ初回加算の項があることを照らし直した日(2026年10月12日)です。
初回加算(200単位)の月次見込みの置き方
初回加算は利用者1人につき初回の月に1回、200単位です。1単位の単価は地域区分で異なり、1級地の11.40円なら2,280円、その他地域の10.00円なら2,000円が、新規利用者1人あたりの上乗せになります。
月次の見込みは「その月に新規で訪問介護計画を作成する利用者数 × 200単位 × 地域単価」で置きます。開業初期は利用者の大半が新規のため売上に占める割合が高く、稼働が安定すると新規獲得ペースに比例した金額に落ち着きます。
当サイトのシミュレーターは基本報酬・地域単価・稼働日数を基礎にしており、初回加算を含む加算は計算に含めていません。事業計画では基本報酬の見込みとは別の行として置き、利用者獲得と紹介経路の計画にある新規獲得数と連動させます。
初回加算の算定前に決める運用(予定・記録・判断の窓口)
新規利用者が集中する月は、サービス提供責任者の初回訪問または同行の予定が重なります。サービス提供責任者1人あたりに月何件の初回対応を担わせるかを、人員計画の段階で決めておきます。
記録は、訪問介護計画の作成日、初回の訪問日、訪問した職員、サービス提供責任者の同行の有無を利用者ごとに残します。運営指導では加算の算定根拠として確認される項目です。計画の作成から変更までの流れは訪問介護計画の作成・変更サイクルにあります。
個別の利用者について算定の可否を最終的に判断するのは指定権者と国保連の審査です。要件の解釈に迷う事例は、事前に指定権者へ確認してから請求します。
サービス提供責任者の同行の確認項目と、利用者の同意の扱い
厚生労働省の自己点検シート(訪問介護費)は、初回加算の点検項目として、過去2月間(暦月)の利用実績がないこと、サービス提供責任者による初回のサービス提供、または初回のサービス提供へのサービス提供責任者の同行、の2点を挙げ、確認する資料をサービス提供記録等としています。同行した場合も、同行した日と職員を訪問記録に残しておきます。
同行の際に何分いればよいかについて、奈良県橿原市の初回加算の案内(確認日2026年10月14日)は、サービス提供責任者はサービス提供時間を通じて滞在する必要はなく、利用者の状況等を確認した上で途中で現場を離れても、算定要件を満たすとしています。同行訪問した旨は記録に残します。
利用内容が生活援助のみの利用者でも、同じ案内は、初回加算の算定時には訪問介護計画書を作成して利用者の同意を得て、ケアマネジャーに写しを提出するよう求めています。ただし、これは一つの市の案内です。ほかの自治体の取扱いは、事業所の指定権者に確認してください。
利用者の同意については、厚生労働省のQ&A(平成21年3月版 VOL69 問34)が、初回加算は要件に合致する訪問介護を行えば当然に算定されるもので、その都度の同意は要らないと示しています。ただし、居宅サービス基準第8条に基づき、事前に加算の算定要件と趣旨を重要事項説明書等で説明し、同意を得ておく必要があります。
他の加算と比べる・請求前に確かめる
他の加算との単位数・算定の単位・届出の要否の違いは主な加算の比較表で見比べられます。請求の前に記録で要件を確かめる手順は加算の月次自己点検チェックリストにあります。
初回加算は事業計画ツールの損益に含まれない
事業計画ツールの月次損益は加算・減算を含まないモデル計算です。初回加算は新規の利用者を迎えた月に限って付く加算のため、毎月の収入として見込まず、算定できると確認できた月の見込み額を別に足して読みます。
ツールは、初回加算の算定可否を判定しません。新規利用者の受け入れ月を見込むときは、基本報酬だけの基準ケースを先に確かめ、加算は上乗せ分として分けて整理します。
乗降介助だけの月に初回加算を考えるとき
新規の利用者への最初の月に提供したのが通院等乗降介助だけの場合でも、初回加算の要件を満たすかを確かめます。乗降介助の単位数と算定の数え方は、訪問介護の通院等乗降介助の算定要件と単位数(1回97単位)にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 新規に訪問介護計画を作成した利用者を月ごとに数え、初回訪問の予定日とサービス提供責任者の関与(自ら訪問か同行か)を予定表に置く
- 利用者ごとに計画作成日・初回訪問日・訪問職員・サービス提供責任者の同行有無を記録し、算定根拠として保管する
- 月の新規利用者数×200単位×地域単価を、基本報酬とは別の行として月次売上見込みに置く
- 初回加算の算定可否に迷う事例は請求前に指定権者へ確認し、確認結果を記録に添える
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
初回加算は、すでに計画があって継続している利用者にも付きますか?
付きません。対象は新規に訪問介護計画を作成した利用者で、既に計画があり継続して提供している利用者は対象外です。算定は初回の月に1回、200単位です。
2か月前まで同じ事業所を利用していた人が再開した場合、初回加算は算定できますか?
留意事項通知では、過去2月間(暦月)に当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合に算定するとされています。前月または前々月に提供があれば算定できません。他の事業所の利用歴は、この判定には入りません。
訪問介護員だけで初回訪問を行った場合も初回加算を算定できますか?
算定できません。初回の月に、サービス提供責任者が自ら訪問するか、他の訪問介護員等の訪問に同行することが条件です。訪問日と同行の有無は記録に残します。個別の可否は指定権者と国保連の審査で決まります。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省老健局「介護報酬の算定構造(訪問介護費の加算・減算の適用要件とQ&A。PDF冒頭は「101 訪問介護費」。PDF本文にタイトル表記なし)」(確認日 2026-10-03)
- 奈良県橿原市「訪問介護 初回加算(算定要件・留意点の案内)」(確認日 2026-10-14)