運営 / 更新 2026-10-09

身元保証人がいない利用者を訪問介護で断れるか(提供拒否の禁止と国の通知の範囲)

身元保証人や身寄りがいない人から訪問介護の申込みがあったとき、そのことだけを理由に断ってよいかは、運営基準第9条の提供拒否の禁止の問題です。国は、介護保険施設や医療機関については「身元保証人等がいないことのみを理由に断ることは不適当」と通知で示しています。訪問介護について同じことを直接書いた通知は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。確認できた条文と通知の範囲を分けて整理します。

この記事で決めること

身元保証人や身寄りがいない人から訪問介護の申込みがあったとき、運営基準第9条の提供拒否の禁止と老企第25号の正当な理由の例示、介護保険施設について示された国の考え方の範囲を、一次資料で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、身元保証人がいない申込みへの対応記録(申込内容・確認した事実・判断の根拠・連絡先)を作成できる状態を目指します。

運営基準第9条と老企第25号が定める「正当な理由」

指定居宅サービス等の運営基準第9条は、「指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならない」と定めています。老企第25号は、これを「原則として、利用申込に対しては応じなければならない」ものと説明し、特に要介護度や所得の多寡を理由にした拒否を禁じています。

通知が示す提供を拒める正当な理由は、事業所の現員からは申込みに応じきれない場合、申込者の居住地が通常の事業の実施地域外である場合、その他自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合です。身元保証人がいないことは、この例示には書かれていません。

提供が困難と認めたときは、運営基準第10条により、居宅介護支援事業者への連絡や他の事業者の紹介など必要な措置を速やかにとります。条文と例示の全体は訪問介護の提供拒否禁止と提供困難時の紹介・連絡で確認できます。

介護保険施設について国が示している考え方

平成30年8月30日の老高発・老振発通知は、介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定がないと説明しています。各施設の基準省令でも正当な理由なくサービスの提供を拒否できないとされており、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、提供を拒否する正当な理由に該当しないと書かれています。

同じ通知は、都道府県等に対し、管内の介護保険施設が身元保証人等がいないことのみを理由に入所を拒んだり退所を求めたりしないよう、指導・監督を行うことを求めています。

令和6年6月11日の介護保険最新情報Vol.1273(高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの周知)にも、医療機関・介護保険施設等は正当な理由なくサービス提供を拒否できず、身元保証人等がいないことのみを理由に入院・入所を拒むことは不適当とされている、という記載があります。

身元保証人がいないことの扱いについて、確認できた記述の範囲(確認日2026年10月9日)
資料対象として書かれているもの訪問介護の記載
運営基準第9条・老企第25号指定訪問介護事業者の提供拒否の禁止と正当な理由の例示条文は訪問介護向け(身元保証人の記述はない)
平成30年8月30日 老高発・老振発通知介護保険施設の入所・退所本文に確認できない
介護保険最新情報Vol.1273(令和6年6月11日)医療機関・介護保険施設等の入院・入所該当箇所に確認できない

訪問介護事業所が申込みを受けたときの確認

平成30年の通知は介護保険施設を、Vol.1273は医療機関・介護保険施設等を対象にしており、訪問介護にそのまま当てはめた記述ではありません。ただし、運営基準第9条の枠組みは訪問介護にも同じようにあり、通知の例示にも身元保証人がいないことは含まれていません。個別の申込みで断ってよいかは、事業所のある市町村または指定権者に確認してください。

次の確認は通知が定めるものではなく、編集上の例です。まず契約書や重要事項説明書の書式で、身元保証人や連帯保証人の署名を契約の必須条件にしていないかを見直します。次に、身元保証人がいないこと以外に、現員の体制、通常の事業の実施地域、希望の曜日や時間帯の事情があるかを分けて記録します。

身寄りのない人の支援では、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者との連絡が欠かせません。連絡する相手、日時、回答を記録に残し、提供が難しいときは第10条の措置につなげます。このページは、断ってよいかどうかの個別の判断をするものではありません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 契約書と重要事項説明書の書式で、身元保証人や連帯保証人の署名欄を契約の必須条件にしていないかを確認する
  2. 申込みを受けたら、身元保証人がいないこと以外に、現員の体制、通常の事業の実施地域、希望の曜日・時間帯の事情があるかを分けて記録する
  3. 提供が難しいと考えるときは、理由を記録し、居宅介護支援事業者へ連絡して他の事業所を紹介するなど、運営基準第10条の措置を速やかにとる
  4. 判断に迷うときは、事業所のある市町村または指定権者に、身元保証人がいない場合の取扱いを確認し、確認した日と回答を記録する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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