運営 / 更新 2026-10-03
訪問介護の提供拒否禁止と提供困難時の紹介・連絡
指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではなりません。受付件数や人員都合だけで結論を急がず、申込み内容、提供できる体制、必要な確認事項を分けて記録します。
この記事で決めること
正当な理由のない提供拒否を避け、適切な提供が困難なときの連絡・紹介を整理するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、提供可否と提供困難時の連絡・紹介措置を分けた受付記録を作成できる状態を目指します。
実務へ落とす
通常の事業の実施地域などを踏まえ、自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難と認めた場合は、利用申込者に係る居宅介護支援事業者へ連絡し、適当な他の指定訪問介護事業者等を紹介するなど必要な措置を速やかに講じます。紹介先の受入可否を事業所だけで断定せず、連絡した相手、時刻、回答、次の対応を残します。
確認と見直し
第9条は正当な理由のない拒否を禁じ、第10条は自ら適切に提供できない場合の連絡・紹介等を定めています。正当な理由の有無や個別の提供可否は、このページの一般説明だけで確定せず、事実関係をそろえて指定権者等へ確認します。
申込みから紹介・連絡、記録までの順番
第9条と第10条の定めを、対応の順に並べました。個別の事案で拒否が正当かどうかは、このページでは判断しません。
- 申込みの受付: 申込み内容を記録します。受付件数や人員都合だけで結論を急ぎません。 利用者獲得と紹介経路で確認します。
- 提供可否の検討(第9条): 正当な理由なく拒みません。提供できる体制と、確認が必要な事項を分けて検討します。 受入可能件数の見直し方 と 人員配置と提供能力で確認します。
- 提供が困難な場合の連絡・紹介(第10条): 自ら適切に提供することが困難と認めた場合は、居宅介護支援事業者へ連絡し、適当な他の事業者を紹介するなど必要な措置を速やかに講じます。 ケアマネ連携と月次報告で確認します。
- 記録: 連絡した相手、時刻、回答、次の対応を残します。紹介先の受入可否は事業所だけで断定しません。 記録の保存義務・保存期間で確認します。
提供を拒める正当な理由の類型と、断れる・断れない場合の判定表
老企第25号(指定居宅サービス等に関する基準についての通知)は、指定基準第9条について、原則として利用申込みには応じなければならず、特に要介護度や所得の多寡を理由に提供を拒否することを禁じるものだと説明しています。そのうえで、提供を拒むことのできる正当な理由がある場合を、①当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合、②利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合、と示しています。
下の表は、この例示を申込みの場面に当てはめて整理したものです。個別の事案で正当な理由に当たるかは、申込みの内容と事業所の体制を踏まえて確認する事項で、この表だけでは確定できません。迷うときは指定権者(都道府県・市区町村)に確認してください。
身元保証人や身寄りがいないことを理由とする断りは、この3つの例示に書かれていません。国の通知の範囲は身元保証人がいない利用者を訪問介護で断れるか(提供拒否の禁止と国の通知の範囲)で確認できます。
| 申込みの場面 | 通知上の位置づけ | 拒否前に確認すること |
|---|---|---|
| 要介護度が重い・軽いことを理由に断る | 断れない(通知が理由とすることを特に禁じている) | 要介護度以外に、実際に提供できない事情があるかを分けて記録する |
| 利用者の所得が低いことを理由に断る | 断れない(通知が理由とすることを特に禁じている) | 費用負担の説明と同意の手続が済んでいるかを確認する |
| 現員の訪問介護員では、希望の曜日・時間帯に応じきれない | 例示①に当たり得る(現員からは応じきれない場合) | 他の時間帯や頻度での提供可否、人員配置の見直し余地を検討したか |
| 居住地が通常の事業の実施地域の外にある | 例示②に当たり得る(実施地域外である場合) | 運営規程に定めた通常の事業の実施地域と、申込者の居住地を照らしたか |
| 上記以外で、自ら適切に提供することが困難と考える | 「その他自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合」に当たるかを個別に確認 | 困難とする具体的な事情を記録し、指定権者の考え方を確認したか |
断った後に必要な連絡・紹介
正当な理由により自ら適切な提供が困難と認めた場合でも、断って終わりにはできません。老企第25号は、指定基準第10条に基づき、利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じるものと示しています。連絡した相手と時刻、回答は記録に残してください。
実施地域の外の申込みを受けるか迷うとき
申込者の住所が通常の事業の実施地域の外にあるときは、拒める正当な理由の例に当たり得ますが、受けることも妨げられていません。実施地域の決め方と、地域外で受けるときの交通費の説明・同意は訪問介護の通常の事業の実施地域の決め方と地域外の利用者への対応で整理しています。
未収があるときの提供拒否の考え方
利用者負担分の未収が出たときも、正当な理由の例示は第9条の枠で確認します。未収の経過の記録と、居宅介護支援事業者への連絡は、訪問介護の利用者負担分の未収金:提供拒否・ケアマネ連絡・記録の確認にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 申込みと提供可否の理由を事実として記録する
- 通常の事業の実施地域等を踏まえ、自ら適切に提供できるか確認する
- 提供困難時は居宅介護支援事業者へ連絡し、適当な他事業所等の紹介その他必要な措置を速やかに行う
- 正当な理由の個別判断は指定権者等へ確認する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(確認日 2026-10-04)