開業準備 / 更新 2026-09-30
訪問介護の運営規程の必須記載事項(8項目)
指定基準(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)第二十九条は、指定訪問介護事業者が運営規程に定めるべき事項を8項目定めています。運営規程は指定申請の添付書類であるだけでなく、実際の事業運営の基本ルールを定める文書でもあり、いずれかの項目が欠けると申請書類の不備として補正を求められます。
この記事で決めること
指定基準が定める運営規程の8つの記載事項を確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、運営規程の8項目チェックリストを作成できる状態を目指します。
実務へ落とす
8項目は、一 事業の目的及び運営の方針、二 従業者の職種、員数及び職務の内容、三 営業日及び営業時間、四 指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額、五 通常の事業の実施地域、六 緊急時等における対応方法、七 虐待の防止のための措置に関する事項、八 その他運営に関する重要事項、です。二の従業者の職種・員数は人員基準の記載と、四の利用料は介護報酬の算定基準と、それぞれ整合させて記載します。
確認と見直し
運営規程の記載内容と実際の運営が食い違うと、変更が生じた際の届出の対象になります。六の緊急時対応と七の虐待防止の措置は、記載だけでなく実際の対応マニュアル・研修記録と一致させます。
八の「その他運営に関する重要事項」に何を書くべきかは指定権者の案内で確認し、様式・記載順序の指定はこの省令だけで判断せず、申請前研修や事前相談で確認します。六の緊急時等の対応は訪問介護の緊急時等の対応(基準第27条)、二の従業者の勤務体制は訪問介護の勤務体制の確保等(基準第30条)、七の虐待防止にも通じる人権擁護の原則は訪問介護の一般原則(基準第3条)で確認できます。
運営規程を変更したときの届出(全国共通の部分と指定権者ごとの違い)
指定を受けた後に運営規程を変更する場合は、変更届の対象になります。介護保険法第七十五条第一項は、指定居宅サービス事業者に対し、事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、十日以内にその旨を都道府県知事に届け出ることを求めています。
介護保険法施行規則第百三十一条第一項第一号は、訪問介護についてこの届出の対象を第百十四条第一項第一号、第二号及び第四号(当該指定に係る事業に関するものに限る)から第七号までの事項と定めており、第七号の「運営規程」がその中に含まれます。営業日や営業時間、利用料、通常の事業の実施地域、従業者の員数などを改めた場合は、運営規程の記載変更として届出を検討します。
同じ範囲には、事業所の名称及び所在地(第一号)、申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名等(第二号)、事業所の平面図(第五号)、利用者の推定数(第五号の二)、管理者及びサービス提供責任者の氏名等(第六号)も含まれます。移転や改装で所在地や平面図が変わると、運営規程の記載も同時に変わることが多く、届出の準備は一括で進めます。
法律の条文は変更後の十日以内としていますが、指定権者によっては一部の変更を事前の届出としています。一例として前橋市の介護保険課の案内では、事業所の所在地の変更(前橋市内での移転に限る)、事業所の建物の構造・専用区画等の変更、定員の変更は変更日の2週間前までの届出が必要で、それ以外は原則として変更後10日以内の届出としています。
また同じ案内には、変更前に事業所を訪問して設備や備品を確認する旨と、運営規程を添付書類とする変更事項の一覧が示されています。事前届出の対象範囲、添付書類、様式、提出方法は指定権者によって異なるため、ここでは前橋市の例を全国共通の扱いとは読まず、実際に変更する前に、所在地を管轄する指定権者の変更届の案内で確認します。
運営規程の項目と整合させる関連記事の対応表
運営規程の記載は、他の書類や実際の運営と食い違わないようにします。8項目のうち、このサイトの記事で整合先を確認できる項目を表にしました。
一・三・八は、このサイトに対応する記事がないため表に含めていません。八の記載内容は指定権者の案内で確認します。
| 運営規程の項目(第二十九条) | 整合させる内容 | 関連記事 |
|---|---|---|
| 二 従業者の職種、員数及び職務の内容 | 人員基準の記載と合わせる | 「訪問介護の人員基準(員数・管理者・サービス提供責任者の配置要件)」 |
| 四 指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額 | 介護報酬の算定基準と合わせる | 「訪問介護の介護報酬の算定構造(単位数×地域区分単価・端数処理)」 |
| 五 通常の事業の実施地域 | 調べた商圏と、紹介を受ける経路に合わせる | 「訪問介護の商圏・需要・競合の調べ方」「訪問介護の利用者獲得と紹介経路」 |
| 六 緊急時等における対応方法 | 実際の対応マニュアルと記録の流れに合わせる | 「訪問介護のBCP・感染症・虐待防止・事故対応」「苦情・事故と単独訪問リスクへの備え」 |
| 七 虐待の防止のための措置に関する事項 | 実際の措置・研修記録と合わせる | 「訪問介護のBCP・感染症・虐待防止・事故対応」 |
手続きの順番を1枚で確認する
指定申請から指定更新までの手続きと期限を時系列で並べた表は、訪問介護の開業1年目の手続きと期限の順番表にあります。この記事の手続きが全体のどこに入るかを確認できます。
法人の変更に伴う届出
運営規程のほかに、法人の名称や代表者が変わったときの届出事項と期限は、訪問介護の法人の名称・代表者・主たる事務所の所在地の変更届:10日以内に届け出る事項で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 指定基準第29条が定める8項目を運営規程に記載する
- 従業者の職種・員数を人員基準の記載と整合させる
- 緊急時対応と虐待防止の記載を実際の運用と一致させる
- 指定権者の様式・追加確認事項を事前相談で確認する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)
- 厚生労働省「介護保険法(第七十五条 変更の届出等)」(確認日 2026-10-07)