運営 / 更新 2026-10-17

訪問介護の口腔連携強化加算(50単位)の算定要件

口腔連携強化加算は、届出を行った事業所の従業者が利用者の口腔の健康状態の評価を実施し、利用者の同意を得て歯科医療機関と介護支援専門員に評価結果を情報提供したときに、1月に1回に限り50単位を加算する制度です。前提として、歯科訪問診療の実績がある歯科医療機関の歯科医師等に相談できる体制を文書等で取り決めておく必要があります。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

算定の3つの要素(届出・評価・情報提供)

算定基準の告示は「ヘ 口腔連携強化加算 50単位」として、別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事へ届出を行った事業所を対象にしています。届出は電子情報処理組織を使用する方法により、老健局長が定める様式で行います。

算定できるのは、事業所の従業者が口腔の健康状態の評価を実施し、利用者の同意を得て、歯科医療機関及び介護支援専門員に対して評価結果の情報提供を行ったときです。単位数は1月に1回に限り50単位です。

この記事で決めること

口腔連携強化加算の算定要件(歯科医療機関との連携体制・評価・情報提供)を理解し、月1回50単位の位置づけを判断するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、口腔連携強化加算の相談体制・評価・同意・情報提供の記録手順書を作成できる状態を目指します。

厚生労働大臣が定める基準の中身

基準の告示(厚生労働大臣が定める基準 三の三)は、従業者が評価を行うにあたって、歯科診療報酬点数表の歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関の歯科医師、または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士に相談できる体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていることを求めています。

あわせて、同じ利用者について次のいずれにも該当しないことが条件です。他の介護サービスの事業所が口腔・栄養スクリーニング加算を算定していること(栄養状態のスクリーニングを行い口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)を算定している場合を除く)。

評価の結果として歯科医師が居宅療養管理指導を必要と判断し、初回の月を除いて指定居宅療養管理指導事業所が歯科医師または歯科衛生士による居宅療養管理指導費を算定していること。他の介護サービス事業所が同じ利用者について口腔連携強化加算を算定していること。

つまり、同じ利用者に対する口腔関連の評価や指導が別の事業所で報酬化されている場合は算定できない仕組みで、算定前に介護支援専門員へ他サービスの算定状況を確認する必要があります。

同じ利用者について他の事業所が算定している場合の、当事業所の算定可否(告示の基準の整理)
他の事業所の算定状況当事業所の算定介護支援専門員に確かめる内容
口腔・栄養スクリーニング加算を算定している算定できない(栄養状態のスクリーニングを行い口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)を算定している場合を除く)どの事業所がどちらの区分で算定しているか
歯科医師または歯科衛生士による居宅療養管理指導費を算定している(初回の月を除く)算定できない(評価の結果、歯科医師が居宅療養管理指導を必要と判断した場合)居宅療養管理指導の開始月と算定の有無
口腔連携強化加算を算定している算定できない同じ月に他の事業所が算定していないか
上のいずれにも当たらない届出と評価・情報提供の要件を満たせば算定できる他サービスの算定状況に変更がないか(毎月)

評価項目・連携歯科医療機関・情報提供の手順

評価の中身と手順は、告示ではなく留意事項通知(平成12年3月1日老企第36号)の訪問介護費の「口腔連携強化加算について」に書かれています。ここでは令和6年度改定で通知に加わった新旧対照表で確かめた内容を挙げます。現行の通知に改正が入っていないかは、算定前に厚生労働省の最新の通知で確認してください。

評価は、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行うものとされています。評価で確認する項目は、開口の状態、歯の汚れの有無、舌の汚れの有無、歯肉の腫れ・出血の有無、左右両方の奥歯のかみ合わせの状態、むせの有無、ぶくぶくうがいの状態、食物のため込み・残留の有無の8つです。このうち、ぶくぶくうがいの状態と食物のため込み・残留の有無は、利用者の状態に応じて確認できる場合に限って評価します。

評価の方法や在宅歯科医療の提供等は、必要に応じて、連携歯科医療機関の歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士に相談します。連携歯科医療機関は複数でも差し支えないとされています。評価にあたっては、別途通知の「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」と、日本歯科医学会の「入院(所)中及び在宅等における療養中の患者に対する口腔の健康状態の確認に関する基本的な考え方」(令和6年3月)を参考にするとされています。

評価した情報は、歯科医療機関と利用者を担当する介護支援専門員に、別紙様式6等により提供します。歯科医療機関への情報提供は、利用者または家族等の意向と担当の介護支援専門員の意見を踏まえ、連携歯科医療機関とかかりつけ歯科医等のいずれか、または両方に行います。口腔の健康状態によっては主治医の対応が必要な場合もあるため、必要に応じて介護支援専門員を通じて主治医にも情報提供等の措置をとります。

加算を算定する事業所は、サービス担当者会議等を活用して決めることとされ、原則として、その事業所が評価を継続的に実施します。利用者ごとに担当を入れ替える形ではなく、事業所として評価を続ける体制を人員計画に置く必要があります。

事業計画での位置づけ

単位数は利用者1人あたり月50単位で、1級地の11.40円なら570円、その他地域の10.00円なら500円です。1件の金額は小さい一方、評価と情報提供を行った利用者全員に毎月付く型なので、対象利用者数がそのまま月額を決めます。

実施には、相談体制を取り決める歯科医療機関の確保、評価を担う従業者の手順、同意の取得、歯科医療機関と介護支援専門員への情報提供の記録が要ります。当サイトのシミュレーターは計算に含めていないため、基本報酬とは別の行として事業計画に置きます。

下の表は、上の単位数と単価を掛けて対象利用者数ごとに並べた機械計算の例で、毎月全員が算定できることを前提にしていません。算定には上の除外条件の確認が要るため、売上の保証や見込みではありません。

対象利用者数別の月額の計算例(50単位×対象利用者数×1単位の単価)
対象利用者数1級地(11.40円)その他地域(10.00円)
5人2,850円2,500円
10人5,700円5,000円
20人11,400円10,000円

他の加算と比べる・請求前に確かめる

他の加算との単位数・算定の単位・届出の要否の違いは主な加算の比較表で見比べられます。請求の前に記録で要件を確かめる手順は加算の月次自己点検チェックリストにあります。

口腔連携強化加算は事業計画ツールの損益に含まれない

事業計画ツールの月次損益は加算・減算を含まないモデル計算です。口腔連携強化加算の見込み額は、この記事で算定要件を確かめたうえで別に出し、ツールの営業損益とは分けて読みます。

ツールは、口腔連携強化加算の算定可否を判定しません。算定できると確認できた分は、基本報酬だけの基準ケースへの上乗せ分として整理します。

あわせて確認する論点

口腔連携強化加算の算定とは別に、運営基準には、訪問介護で把握した服薬・口腔の状況を居宅介護支援事業者へ伝える規定(基準第28条第3項第2号の2)があります。伝える内容と場面は服薬・口腔の状況をケアマネに伝える規定で解説しています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関と相談体制を取り決め、その内容を文書に残す
  2. 口腔の健康状態の評価を担う従業者と評価の手順・記録様式を決め、利用者の同意を得る手順を定める
  3. 介護支援専門員へ、同じ利用者について口腔・栄養スクリーニング加算や歯科の居宅療養管理指導の算定がないかを確認する
  4. 評価結果を歯科医療機関と介護支援専門員へ情報提供した日付と方法を利用者ごとに記録し、月1回の算定と対応させる

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

口腔連携強化加算は1月に何回、何単位まで算定できますか?

1月に1回に限り50単位です。届出を行った事業所の従業者が口腔の健康状態を評価し、利用者の同意を得て歯科医療機関と介護支援専門員へ情報提供したときに算定します。

算定の前に、歯科医療機関とどんな取り決めが必要ですか?

歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関の歯科医師、またはその指示を受けた歯科衛生士に相談できる体制を確保し、その旨を文書等で取り決めておくことが基準に含まれています。

同じ利用者について他の事業所が算定していると、算定できませんか?

他の事業所が口腔・栄養スクリーニング加算(栄養状態のスクリーニングを行い口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)を算定している場合を除く)や口腔連携強化加算を算定している場合は算定できません。算定前に介護支援専門員へ他サービスの算定状況を確かめます。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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