事業計画 / 更新 2026-10-05
訪問介護の人員基準(員数・管理者・サービス提供責任者の配置要件)
訪問介護事業所には、訪問介護員等・サービス提供責任者・管理者のそれぞれについて、人数と兼務・専従の可否に関する基準が定められています。人数を満たすだけでなく専従要件まで確認しないと、指定申請時や運営中に基準違反となる場合があります。
この記事で決めること
訪問介護員等・管理者・サービス提供責任者の法定配置基準と専従要件を確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問介護員等・サービス提供責任者・管理者の配置基準チェック表を作成できる状態を目指します。
人員基準の要点(員数・資格・専従)
訪問介護員等は常勤換算方法で2.5以上、サービス提供責任者は常勤の訪問介護員等から、利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上、管理者は事業所ごとに常勤で1人が基準です(運営基準第5条・第6条)。
訪問介護員等になれるのは介護福祉士と介護員養成研修の修了者などで、サービス提供責任者は専ら指定訪問介護に従事する者から充てます。資格の範囲は「訪問介護員等の資格と担当できる業務の範囲」、条文ごとの一覧は下の表で確認できます。
訪問介護員等・サービス提供責任者の配置基準
訪問介護員等(指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士等)の員数は、常勤換算方法で2.5以上と定められています。サービス提供責任者は常勤の訪問介護員等の中から選任し、利用者の数が40人またはその端数を増すごとに1人以上を配置します(利用者数に応じた常勤換算方法によることもできます)。この利用者数は指定を受けている事業所では前3か月の平均値、新規指定時は推定数で算定します。
シミュレーターの職員行にある「必要資格を一次資料・証憑で確認済み」は、資格証等を確認した職員だけを確認済みとして記録するチェックです。未確認の職員行があると「配置・算定可否を確認してください」と表示しますが、このチェックだけで配置基準や個別の算定可否を自動判定するものではありません。役割、勤務形態、兼務、担当サービスを資格証・勤務表・組織図と照合し、疑義があれば指定権者へ確認します。
サービス提供責任者は介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事する専従要件があります。ただし、利用者へのサービス提供に支障がない場合に限り、同一敷地内の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所または指定夜間対応型訪問介護事業所の職務に従事することは認められています。
常勤のサービス提供責任者を3人以上、かつサービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置し、業務が効率的に行われている場合は、配置基準を利用者50人ごとに1人以上へ緩和できる特例があります。この特例に該当するかどうかは配置人数だけでなく業務の効率性という定性的な要件も含むため、指定権者への確認が必要です。
「ヘルパーステーション」は現場でよく使われる呼び方ですが、運営基準(平成11年厚生省令第37号)の本則にこの語はありません。基準は第5条で、指定訪問介護事業者が「指定訪問介護事業所ごとに」訪問介護員等とサービス提供責任者を置くと定めており、人員基準は事業所ごとに満たすかどうかを見ます。ヘルパーステーションと呼ばれている拠点が基準の上でどの事業所に当たるかは、指定を受けた事業所の単位で確かめてください。
常勤換算方法の計算式と2.5以上の判定例
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第2条第8号は、常勤換算方法を、事業所の従業者の勤務延時間数を、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で割ることで、従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法と定めています。式にすると、常勤換算数=訪問介護員等の勤務延時間数÷その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数です。分母は全国一律の数値ではなく、その事業所で常勤の従業者が勤務すべきと定めている時間数を使います。
判定例として、常勤の従業者が勤務すべき時間数を週40時間と定めている事業所を置きます。常勤の訪問介護員等2人(各週40時間)と非常勤の訪問介護員等3人(週20時間・週12時間・週8時間)の場合、勤務延時間数は40+40+20+12+8=120時間で、120÷40=3.0となり、2.5以上を満たします。一方、常勤1人(週40時間)と非常勤2人(週20時間・週18時間)の場合は、78÷40=1.95で2.5に届かず、週22時間分(常勤換算0.55人分)の勤務延時間数が不足します。
この例は計算の手順を示すための仮の数値です。勤務延時間数に含める時間の範囲、計算に使う期間の単位、端数の扱いは、指定申請時の勤務形態一覧表の様式や記載要領に従い、指定権者に確認してください。
管理者の配置義務と兼務可否
指定訪問介護事業所には、専らその職務に従事する常勤の管理者を置く義務があります。ただし、事業所の管理上支障がない場合は、当該事業所の他の職務や、他の事業所・施設等の職務に従事することも認められています。
管理者は事業所の従業者及び業務の管理を一元的に行う責務を負い、従業者にこの基準を遵守させるための指揮命令を行います。サービス提供責任者にも、利用申込みの調整や利用者の状態変化の把握など、配置基準とは別に個別の業務内容が定められています。採用後の研修・単独配置は訪問介護員の採用・研修・定着計画、苦情・事故時の初動と記録は苦情・事故と単独訪問リスクへの備えで確認します。管理者とサービス提供責任者それぞれの責務の条文(基準第28条)は管理者とサービス提供責任者の責務、勤務表・研修・ハラスメント防止を含む勤務体制の確保(基準第30条)は訪問介護の勤務体制の確保等(基準第30条)で確認できます。介護福祉士が喀痰吸引等を行う場合の登録の要件は介護福祉士が訪問介護で喀痰吸引等を行うための登録にまとめています。
「管理上支障がない」に該当するかどうかの判断基準は基準省令に数値等で明記されておらず、兼務の可否は指定権者(都道府県・市区町村等)への確認が必要です。開業前に管理者・サービス提供責任者の兼務予定がある場合は、指定申請の相談段階で兼務範囲を伝え、可否の回答を得ておくと計画の手戻りを防げます。ほかに指定権者へ確認する事項は指定権者に確認する事項の一覧にまとめています。指定申請に付ける勤務表の記入方法は標準様式1(勤務の体制及び勤務形態一覧表)の書き方で確認できます。
訪問介護員等の清潔の保持と健康状態の管理義務
運営基準(平成11年厚生省令第37号)第三十一条第1項は、指定訪問介護事業者に対し、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態について必要な管理を行うことを義務づけています。人数や資格の基準とは別に、全ての指定訪問介護事業所に共通して課される運営上の義務です。
条文は「必要な管理」と定めるだけで、健康診断の実施頻度や検査項目、記録様式までは書かれていません。具体的な管理の方法は、事業所内の衛生管理の手順として定めたうえで、不明点は指定申請の相談段階で指定権者へ確認します。
職種別の員数・専従・兼務の一覧(運営基準第5条・第6条)
ここまでの内容を、職種ごとの員数、専従の要否、兼務の扱い、根拠の条文に並べ直した一覧です。員数は事業所ごとに満たすかどうかを見ます。条文は運営基準(平成11年厚生省令第37号)の第5条(訪問介護員等の員数)、第6条(管理者)、第2条第8号(常勤換算方法の定義)で、2026年10月6日にe-Gov法令検索の本文と照合しました。
| 職種 | 員数 | 専従の扱い | 兼務の扱い | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 訪問介護員等 | 常勤換算方法で2.5以上 | 専従の定めは置かれていない | 常勤換算の計算方法は第2条第8号に定義がある | 第5条第1項・第2条第8号 |
| サービス提供責任者 | 常勤の訪問介護員等のうち、利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上(常勤換算方法も可)。要件を満たす事業所は利用者50人ごとに1人以上 | 専ら指定訪問介護に従事する者から充てる | 利用者への提供に支障がない場合に限り、同一敷地内の定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所または夜間対応型訪問介護事業所に従事できる | 第5条第2項〜第5項 |
| 管理者 | 事業所ごとに常勤で1人 | 専らその職務に従事する | 管理上支障がない場合は、当該事業所の他の職務や他の事業所、施設等の職務に従事できる | 第6条 |
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 訪問介護員等の常勤換算後の員数が2.5以上になっているかを勤務表から計算する
- サービス提供責任者の必要人数を、直近3か月平均の利用者数(新規指定時は推定数)から40人ごとに1人で算出し、常勤の訪問介護員等の中から選任しているか・専従要件を満たすかを職員名簿で確認する
- 常勤サービス提供責任者3人以上・専従者1人以上を配置できる場合は50人特例の適用要否を検討する
- 管理者の兼務予定がある場合は、兼務範囲を指定権者へ事前に確認し可否の回答を得る
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問介護の人員基準は何人必要ですか?
訪問介護員等は常勤換算方法で2.5以上、サービス提供責任者は常勤の訪問介護員等から利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上、管理者は事業所ごとに常勤で1人です(運営基準第5条・第6条)。人数だけでなく専従・兼務の扱いも職種ごとに確認します。
常勤換算2.5以上はどう計算しますか?
訪問介護員等の勤務延時間数を、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って求めます。たとえば常勤の勤務時間を週40時間と定めている事業所で、勤務延時間数が週120時間なら3.0です。含める時間の範囲や端数の扱いは指定権者の様式・記載要領に従います。
管理者とサービス提供責任者は兼務できますか?
管理者は管理上支障がない場合に限り他の職務を兼ねられますが、支障の有無の基準は省令に数値で示されていません。サービス提供責任者は専ら指定訪問介護に従事する者から充てます。兼務を予定する場合は、指定申請の相談段階で指定権者へ範囲を伝えて可否を確認します。
事業計画ツールで確かめる
記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。制度上の適否や請求額を自動判定するものではありません。
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)