運営 / 更新 2026-10-17
訪問介護の事業所移転(所在地変更)の届出手続きを期限から確認する
訪問介護事業所を移転(所在地変更)するときは、指定居宅サービス事業者として指定権者へ変更届を提出する必要があります。届出期限は法令上10日以内が原則ですが、移転先が別の指定権者の管轄になる場合は、変更届だけでは完結せず、事業所番号が変わることがあります。
全国共通の法令根拠
介護保険法第75条(変更の届出等)第1項は、指定居宅サービス事業者が当該指定に係る事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、厚生労働省令で定めるところにより、10日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならないと定めています。事業所の所在地の変更(移転)は、この変更届の対象になります。
この10日以内という期限は法令上の原則です。実際の提出先・様式・添付書類は指定権者ごとの案内で確認します。移転先の事務室や区画が設備基準に合うかは、訪問介護の設備基準で、事務室の共用の条件や手指を洗浄する設備を確認できます。
この記事で決めること
訪問介護事業所の移転(所在地変更)を検討する際の変更届の届出期限と、事業所番号への影響の可能性を確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、事業所移転(所在地変更)の届出予定表を作成できる状態を目指します。
指定権者の運用例(東京都)
東京都は、指定居宅サービス事業者の「事業所」に関する変更手続きについて「変更後、10日以内に届出が必要」と案内しています。令和7年8月からは「変更届出書」(事業所)が電子申請・届出システムでも受付を開始しました。
指定権者の運用比較(東京都・大阪府・福岡市)
変更届の提出先・提出方法・事前協議の有無は指定権者ごとに違います。次の表は、東京都・大阪府・福岡市を並べたものです。
大阪府は、変更届を大阪府福祉部高齢介護室介護事業者課居宅グループの変更届担当へ郵送します。令和7年7月1日以降の変更分から電子申請も可能で、GビズIDの取得が必須です。大阪府の変更届ページには期限の記載が見当たらないため、期限は法令上の10日以内を前提に確認します。
福岡市は、変更した日から10日以内に変更届を提出するとし、電子申請届出システムでの受付を原則としています。郵送は電子申請ができない場合に限られます。事業所の移転のうち、自宅兼事業所となる場合などは変更予定日の1月前までに電話予約制の事前協議が必要で、訪問介護の移転がどこまで対象になるかはサービス別のチェック表で確認します。
移転で市町村の境界を越える場合、大阪府は府が指定権者となる市町(守口市、大東市、門真市、四條畷市、交野市、藤井寺市、羽曳野市、摂津市、島本町)の中での移転は府への移転届、その市町とそれ以外の市町村との間の移転は廃止と新規の手続きが必要としています。福岡市の変更届ページでは、市をまたぐ移転の扱いは確認できませんでした。
| 指定権者 | 届出時期 | 提出先・方法 | 事前協議・管轄をまたぐ移転 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 変更後10日以内 | 事業所の変更届出書(令和7年8月から電子申請・届出システムでも受付) | 本節では確認していない(上の東京都の節を参照) |
| 大阪府 | ページに記載なし(法令上は10日以内) | 府福祉部高齢介護室介護事業者課居宅グループ変更届担当へ郵送、または電子申請(GビズID必須) | 府管市町内の移転は府へ移転届、府管市町とその他市町村の間は廃止と新規の手続き |
| 福岡市 | 変更した日から10日以内 | 電子申請届出システムが原則、できない場合は郵送 | 自宅兼事業所となる場合などは変更予定日の1月前までに事前協議(電話予約制)、サービス別チェック表で確認 |
事業所番号への影響(指定権者をまたぐ移転の場合)
移転先が同じ指定権者(都道府県・政令市・中核市)の管轄内であれば、通常の変更届(10日以内)で手続きが完結します。一方、移転によって指定権者そのものが変わる場合は、単純な変更届では完結しないことがあります。
大阪府箕面市の公式FAQは、事業所が他市町へ移転し指定権者が変わる場合について、「指定権者が異なるため、事業所の廃止手続きの後に改めて指定申請をする必要がある」「廃止・指定申請の手続きを行うと、事業所の『介護保険事業所番号』が変更される」と案内しています。指定は指定権者ごとに行われる仕組みのため、この考え方は訪問介護についても当てはまる可能性がありますが、このFAQは訪問介護を名指ししたものではなく、指定権者によって具体的な扱いが異なることもあるため、断定はできません。移転を検討する時点で、移転先の指定権者へ事前に相談してください。
事業所番号や事業所名称・所在地が変更になった場合は、居宅介護支援事業者や利用者への周知、国民健康保険団体連合会(国保連)への手続きも必要になります。
| 移転パターン | 届出 | 事業所番号 |
|---|---|---|
| 同じ指定権者の管轄内 | 変更届(10日以内、介護保険法第75条第1項) | 変更なし(東京都の運用で確認) |
| 指定権者が変わる移転 | 旧事業所の廃止手続と新事業所の指定申請が必要になる場合がある(箕面市FAQの案内) | 変更される場合がある(断定できず、移転先の指定権者へ要確認) |
確認の手順
移転先の所在地を決めたら、まず移転先が現在と同じ指定権者の管轄内かどうかを確認します。同じ管轄内であれば、変更のあった日から10日以内を目安に、指定権者の案内する変更届出書(事業所)を提出します。
指定権者の管轄が変わる移転の場合は、通常の変更届で完結しない可能性があるため、早めに移転先の指定権者へ相談してください。いずれの場合も、利用者・居宅介護支援事業者への周知と、体制変更(人員配置や提供エリアの見直し)をあわせて確認します。
移転にあわせて管理者などが替わるときは管理者・サービス提供責任者の変更届も必要です。旧事業所を休止・廃止する場合は閉鎖・休止・再開の届出を、指定権者への問い合わせ事項は指定権者に確認する事項の一覧を確認してください。
手続きの順番を1枚で確認する
指定申請から指定更新までの手続きと期限を時系列で並べた表は、訪問介護の開業1年目の手続きと期限の順番表にあります。この記事の手続きが全体のどこに入るかを確認できます。
法人の本店が移るとき
事業所ではなく法人の主たる事務所の所在地が変わるときの届出は、訪問介護の法人の名称・代表者・主たる事務所の所在地の変更届:10日以内に届け出る事項で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 移転先の所在地を確定し、現在と同じ指定権者の管轄内かどうかを確認する
- 管轄内の移転であれば、変更のあった日から10日以内を目安に変更届出書(事業所)を準備する
- 管轄が変わる移転であれば、廃止手続・新規指定申請の要否と事業所番号への影響を移転先の指定権者へ事前相談する
- 利用者・居宅介護支援事業者への周知時期と、人員配置・提供エリアの見直しをあわせて記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護保険法(第七十五条 変更の届出等)」(確認日 2026-10-07)
- 東京都「指定居宅サービス事業者の変更届出手続(事業所・法人)」(確認日 2026-10-07)
- 大阪府箕面市「よくある質問【FAQ】(介護サービス事業者関係)」(確認日 2026-10-07)
- 大阪府「変更届について(居宅サービス等事業所)」(変更届の提出方法・提出先、市町村の境界を越える移転について)(確認日 2026-10-17)
- 福岡市「介護サービス事業所の変更届」(介護保険法上の届出、提出方法、事前協議が必要な変更項目)(確認日 2026-10-17)