運営 / 更新 2026-10-27
訪問看護の処遇改善加算:加算率1.8%・令和8年6月から・看護師も対象・届出期限
訪問看護の介護職員等処遇改善加算は、令和8年6月に新設された加算で、加算率は1.8%です。これまで処遇改善加算の対象外だった訪問看護が対象になりました。厚生労働省の事務処理手順の通知(介護保険最新情報Vol.1479)と令和8年度介護報酬改定の資料を原文で確かめ、算定の要件、賃金改善の対象になる職員と対象外の職員、届出の期限を整理します(提出先の窓口や様式の細部は、所在地の都道府県・市町村の案内で確認が必要です)。
結論:令和8年6月から、訪問看護の総単位数に1.8%を乗じた単位数を加算できる
令和8年度の介護報酬改定で、処遇改善加算の対象が介護職員のみから介護従事者に広がりました。あわせて、これまで対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などに、処遇改善加算が新しく設けられました。通知の表では、令和8年6月以降の加算率は、訪問看護(介護予防を含む)が1.8%、訪問リハビリテーションが1.5%、居宅介護支援と介護予防支援が2.1%です。
単位数は、基本サービス費に各種の加算・減算(処遇改善加算を除く)を加えた1月あたりの総単位数に、加算率を乗じて求めます。たとえば、処遇改善加算を除いた1月の総単位数が10,000単位なら、1.8%を乗じた180単位です(計算の例であり、実際の単位数は事業所の請求内容で決まります)。
令和8年4月と5月は、訪問看護は処遇改善加算の算定対象外(加算率0%)です。算定できるのは6月分からです。
この記事で決めること
訪問看護事業所の運営者が、令和8年6月に新設された処遇改善加算の加算率・算定要件・賃金改善の対象になる職員と対象外の職員・届出の期限を、厚生労働省の通知で確かめるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問看護の処遇改善加算の準備表(満たす要件の道筋、届出の期限、賃金改善の対象職員と対象外の職員、実績報告の期限)を作成できる状態を目指します。
算定の要件:特例要件か、加算Ⅳに準ずる要件のどちらかを満たす
訪問看護の新設の加算は、賃金改善を実施したうえで、次の2つのうちどちらかを満たす必要があります。通知は、この要件を訪問介護などの区分(Ⅰイ〜Ⅳ)とは別に置いています。ケアプランデータ連携システムは、加入しただけでは足りず、利用していることが必要です(通知の問8-2)。
令和8年度に限った誓約の扱いは、通知で次の表のとおり定められています。居宅介護支援の事業所にも同じ要件が置かれています。居宅介護支援側の整理は、居宅介護支援の処遇改善加算にあります。
| 道筋 | 満たす内容 | 令和8年度の誓約の扱い |
|---|---|---|
| ① 令和8年度特例要件(ア) | ケアプランデータ連携システムを利用していること | 申請時点で未利用でも、加入と利用を誓約すれば満たす扱い。令和9年3月末までに利用し、実績報告書に利用実績を報告する |
| ① 令和8年度特例要件(イ) | 事業所が所属する法人が社会福祉連携推進法人であること | 誓約の定めはなく、所属している必要がある |
| ② 加算Ⅳの取得に準ずる要件 | キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等)、キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)、職場環境等要件のすべて | 3つとも、令和9年3月末までの整備や実施を処遇改善計画書で誓約すれば、申請時点で満たす扱い |
賃金改善の対象:看護師も対象で、介護保険以外のサービスの職員は対象外
通知は、事業所内の配分の対象に、介護職員以外の全職種が含まれるとしています。例として挙がる職種に、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがあります(通知の問2-1-2)。訪問看護は、これらの職員が賃金改善の対象になります。
一方、通知の問2-8は、処遇改善加算を算定していない事業所(加算の対象外のサービスの事業所を含む)や、介護保険以外のサービスの事業所の職員は、処遇改善加算を原資とする賃金改善の対象に含められないとしています。法人本部の職員は、加算の算定対象になるサービスの事業所での業務を行っていると判断できる場合には、対象に含められます。法人の中に、加算の対象外の事業所や介護保険以外のサービスがある場合は、職員をどの事業所の所属として扱うかを整理しておく必要があります。
算定の要件は、事業所(法人)全体の賃金改善に要する額が、加算による収入以上になることです。一部の職員や一部の事業所だけに賃金改善を集中させるなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこととされています(通知の問2-6)。
加算Ⅳに準ずる要件の中身:任用・賃金体系、研修、職場環境の3つ
キャリアパス要件Ⅰは、職位・職責・職務内容に応じた任用の要件と賃金体系を定め、就業規則などの書面で整備して全職員に周知することです。常時雇用する人が10人未満で就業規則の作成義務がない事業所は、就業規則の代わりに内規などの整備と周知で足りるとされています。
キャリアパス要件Ⅱは、職員と意見を交換しながら資質向上の目標と具体的な計画を作り、研修の実施または機会の確保をして、全職員に周知することです。職場環境等要件は、通知の別紙の区分ごとに1以上の取組を実施し、生産性向上のための取組のうち2以上を実施することです。
届出の期限:計画書は令和8年6月15日、7月以降は初めて算定する月の前々月の末日
処遇改善計画書は、その事業年度に初めて処遇改善加算を算定する月の前々月の末日までに、事業所の所在地の都道府県知事等へ提出します。訪問看護のように加算が新設されたサービスの事業所だけが所属する事業者で、令和8年4月・5月分は算定せず6月以降に算定する場合は、令和8年度の計画書の提出期日が令和8年6月15日と定められています。
体制届出は、居宅系サービスでは算定を開始する月の前月15日です。この事業者の令和8年6月からの算定では5月15日が届出期日ですが、都道府県知事等は6月15日としても差し支えないとされています。
実績報告書は、各事業年度の最終の加算の支払があった月の翌々月の末日までに提出し、根拠資料と併せて2年間保存します。令和9年3月分の支払が令和9年5月なので、令和8年度の実績報告書は通常、令和9年7月31日が期限です。
この記事で確認した範囲
この記事は、厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1479(令和8年3月13日)と、令和8年度介護報酬改定の資料を読んで書いています。確認していないのは、様式の記入方法、都道府県・市町村ごとの提出方法と実際の期日、医療保険と介護保険の訪問看護をまたぐ職員の賃金の按分です。
個々の事業所が要件を満たすかどうかの判断や、算定の可否の判断は扱いません。所在地の指定権者の案内で確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 訪問看護事業所として、特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用か社会福祉連携推進法人への所属)とⅣに準ずる要件のどちらの道筋で算定するかを決める
- 選んだ道筋のうち、申請時点で満たしている部分と、令和9年3月末までの実施を誓約する部分を、要件ごとに書き分ける
- 賃金改善の対象にする職員(看護師、准看護師、理学療法士、事務職員など)を挙げ、算定しない事業所や介護保険以外のサービスの職員が混じっていないか確かめる
- 処遇改善計画書と体制届出の提出先と期日を、所在地の都道府県・市町村の案内で確かめ、実績報告書の期限までの記録の保管先を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算の拡充(令和8年度介護報酬改定)」(確認日 2026-10-25)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度・介護保険最新情報Vol.1479)」(2(1)処遇改善加算の単位数/別紙1表1-5(加算率)・表1-6・表1-7/3(2)別紙1表1-5に掲げる事業所等の要件/4 事務処理手順(1)〜(3)/問(地域包括支援センターの委託先))(確認日 2026-10-27)