運営 / 更新 2026-08-20
訪問介護の介護職員等処遇改善加算の配分ルールと実績報告の実務
介護職員等処遇改善加算は、加算率を引き上げるだけの制度ではありません。キャリアパス要件・月額賃金改善要件・職場環境等要件を満たして配分し、実績報告書で運用を証明して初めて維持できます。
この記事で決めること
処遇改善加算の配分ルールと実績報告書提出の実務手順を確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、処遇改善加算の要件整備状況と配分実績を記録した実績報告台帳を作成できる状態を目指します。
3つの要件と配分ルールを分けて確認する
新加算は①キャリアパス要件、②月額賃金改善要件、③職場環境等要件の3種類で構成されます。キャリアパス要件I〜IIIは任用要件・賃金体系の整備、研修の実施、昇給の仕組みを書面で整え全介護職員へ周知することを求め、要件IV・Vは改善後の賃金水準や介護福祉士等の配置に関わります。令和8年度介護報酬改定では訪問介護の加算率が加算Iイ27.0%・Iロ28.7%・IIイ24.9%・IIロ26.6%・III20.7%・IV17.0%に引き上げられました(厚生労働省資料、令和8年6月適用分)。
賃金改善の配分は介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員へ重点的に配分する一方、事業所内での柔軟な配分も認められています。加算率と要件区分は年度ごとに見直されるため、配分計画を立てる前に厚生労働省の当該年度資料で最新の区分を確認します。
実績報告書で運用を証明する
処遇改善加算は取得して終わりではありません。要件を整備した事実と実際に配分した賃金改善額を、実績報告書(様式3)で指定権者へ報告する義務があります。様式は厚生労働省の申請方法・申請様式ページで年度ごとに更新されるため、取得している加算区分に対応する年度の様式を使います。
提出期限は全国共通で定められています。厚生労働省の通知(老発0313第6号)は、実績報告を「各事業年度における最終の加算の支払があった月の翌々月の末日までに」都道府県知事等へ提出し、根拠資料と併せて2年間保存すると定めています。
令和8年度分は令和9年3月分の加算の支払が令和9年5月であることから、通常の場合は令和9年7月31日が提出期日にあたります。提出先と提出方法は指定権者が案内するため、期日の考え方は共通と押さえたうえで、提出先だけを指定権者のページで確認します。
令和8年度は、ケアプランデータ連携システムへの加入や生産性向上推進体制加算の取得などを満たせば、キャリアパス要件・職場環境等要件を年度中に対応すると誓約するだけで先行して加算を算定できる特例があります。この場合は令和9年3月末までに整備を行い、実績報告書でその旨を報告することが条件です。
同通知は、算定額に相当する賃金改善が行われていないなど算定要件を満たさない場合について、都道府県知事等が既に支給された加算の一部または全部を不正受給として返還させること、または加算を取り消すことができると定めています。誓約時点で対応スケジュールを事業所の年間計画へ組み込みます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 取得する加算区分と該当するキャリアパス要件・職場環境等要件を確認する
- 経験・技能のある職員への重点配分を含む配分方針を書面化する
- 月額賃金改善額と要件整備の証拠を職員別に記録する
- 実績報告書(様式3)を指定権者の要領に沿って提出する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(確認日 2026-08-09)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算の拡充(令和8年度介護報酬改定)」(確認日 2026-08-20)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算の一本化について(リーフレット)」(確認日 2026-08-20)
- 厚生労働省「介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式」(確認日 2026-08-20)
- 厚生労働省老健局長「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(老発0313第6号)」(確認日 2026-08-20)