運営 / 更新 2026-10-12
訪問介護の利用者が住所地特例の対象のとき:保険者が施設所在地と異なる場合の確認事項
有料老人ホームなどに入居している利用者は、住所地特例によって、施設のある市町村ではなく、入居する前に住んでいた市町村の被保険者のままになることがあります。このページは、介護保険法第13条などの条文で、その仕組みと、訪問介護事業所が受給資格の確認で押さえる点を整理します。個々の入居者が対象かどうかは判断しません。
この記事で決めること
訪問介護の利用者が有料老人ホームなどに入居しているとき、介護保険法第13条の住所地特例で保険者が施設所在地の市町村と異なる場合があることと、事業所が受給資格の確認で押さえる点を条文で把握するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、施設入居の利用者の保険者確認表(利用者ごとの入居施設の所在地・被保険者証の保険者・両者が異なる場合の記録・問い合わせ先の市町村)を作成できる状態を目指します。
住所地特例は、入居前の市町村の被保険者のままにする仕組み
介護保険法第13条第1項は、住所地特例対象施設に入所または入居して、施設のある場所に住所を変えたと認められる被保険者について定めています。入居したときに他の市町村に住所があったと認められる人は、第9条の原則にかかわらず、その他の市町村が行う介護保険の被保険者になります(e-Gov法令検索で確認、2026-10-12)。
第9条の原則は、市町村の区域内に住所がある人(年齢などの要件を満たす人)が、その市町村の被保険者になるというものです。住所地特例は、この原則の例外にあたります。二以上の施設に続けて入居した人は、第13条第1項ただし書と第2項で、入居前の市町村のままにならない場合があります。
対象になる施設は条文で3つの類型
第13条第1項が挙げる住所地特例対象施設は、次の3つです。条文は施設の類型で書かれており、個々の施設が当たるかどうかの判断は書かれていません。
| 類型 | 条文の内容 |
|---|---|
| 介護保険施設 | 第13条第1項第1号 |
| 特定施設 | 第13条第1項第2号。第8条第11項は、有料老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設(地域密着型特定施設を除く)と定め、施行規則第15条は養護老人ホームと軽費老人ホームを挙げる |
| 養護老人ホーム | 第13条第1項第3号。老人福祉法第11条第1項第1号の入所措置がとられた人に限る |
施設の種類で決まるのではなく、個別の確認が要る
第8条第11項の「特定施設」は施設の類型で定義されており、条文の文言には、特定施設入居者生活介護の指定の有無は出てきません。住宅型の有料老人ホームなど、個々の施設の入居者が対象かどうかは、条文だけでは決められないため、入居前の住所地の市町村に確認します。
訪問介護は居宅サービスで、地域密着型サービスの特例の対象ではない
第42条の2第1項は、住所地特例適用要介護被保険者が受ける特定地域密着型サービスについて、施設のある市町村の長が指定する事業者から受けた場合も保険給付の対象に含めると定めています。この規定が扱うのは、第8条第14項が定義する特定地域密着型サービスです。
訪問介護は、第8条第1項で居宅サービスに挙げられており、第8条第14項の地域密着型サービスには含まれません。そのため、第42条の2のこの定めは訪問介護には当てはまりません。住所地特例の人に訪問介護を提供するときは、事業所のある市町村と利用者の保険者が違う場合があることを、受給資格の確認の段階から意識しておきます。
事業所が受給資格の確認で押さえる点
基準第11条は、提供を求められたときに、提示された被保険者証で被保険者資格、要介護認定の有無、有効期間を確かめることを定めています。確認の手順は訪問介護の受給資格の確認手順で整理しています。
住所地特例の人は、入居先の施設のある市町村と、被保険者証に記載された保険者が違う場合があります。施設の住所だけで保険者を決めつけず、被保険者証で確かめた内容を記録します。どの市町村に確認するべきか迷うときは、利用者の入居前の住所地の市町村へ確認します。
施行規則第25条は、住所地特例の適用を受けるに至った被保険者に、14日以内に、適用を受けた年月日、氏名、従前の住所、入所している施設の名称、被保険者番号などを書いた届書を、保険を行う市町村へ出すよう定めています。届出は被保険者側の手続きで、訪問介護事業所の義務として書かれてはいません。利用者や家族から尋ねられたときは、条文の内容を伝え、手続きの窓口は市町村へ案内します。
確認の手順と、このページが判断しないこと
有料老人ホームなどに入居している利用者の契約や認定更新のたびに、被保険者証に記載された保険者と、施設のある市町村が同じかを確かめ、違うときはその旨を記録に残します。同一建物に入居する利用者の算定は同一建物の利用者への訪問介護の算定で確認できます。
個々の利用者が住所地特例の対象になるか、どの市町村へ問い合わせをするかは、このページでは判断しません。入居前の住所地の市町村へ確認します。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 有料老人ホームなどに入居している利用者を一覧にし、契約と認定更新のたびに、被保険者証に記載された保険者を確認する日を決める
- 入居施設のある市町村と被保険者証の保険者が異なる利用者には、その旨と確認した日を記録に残し、施設の住所だけで保険者を決めつけない
- 住所地特例の対象かどうかが分からない利用者は、入居前の住所地の市町村へ確認し、回答の内容と日付を残す
- 利用者や家族から届出について尋ねられたときは、施行規則第25条の14日以内の届出は被保険者側の手続きであること、窓口は市町村であることを案内する定型文を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。