運営 / 更新 2026-10-18

訪問介護事業所の広告・口コミ掲載の注意:景品表示法とステルスマーケティング規制

訪問介護事業所がホームページ、チラシ、口コミ、お客様の声で自社のサービスを紹介する表示には、介護保険法の掲示義務とは別に、景品表示法の規制が及びます。令和5年10月1日からは、事業者の表示であることを隠した表示(いわゆるステルスマーケティング)も規制の対象です。このページは、景品表示法第5条と消費者庁のQ&Aで確認できた範囲を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

景品表示法第5条が禁じる2つの表示:優良誤認と有利誤認

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第5条は、事業者が自己の供給する商品や役務の取引について、一定の表示をすることを禁じています。訪問介護の事業所が行うサービスも役務にあたります。

第1号は、役務の品質や内容を、実際のものよりも著しく優良であると示す表示です。同種のサービスを提供している他の事業者よりも、事実に反して著しく優良であると示す表示も含みます。たとえば、実際の体制や実績を超えて「地域で一番」と載せる表示は、この種類にあたりうるものです。

第2号は、価格などの取引条件について、実際のものや他の事業者のものよりも、取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示です。料金の見せ方がこの種類に関わります。どちらも、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的で合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるものが対象です。

訪問介護の利用料の受領には、指定基準で定められた範囲があります。料金の説明は、取引条件と実際の請求が合っているかを、掲載前に訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と実費の扱い)と照らして確かめます。

この記事で決めること

訪問介護事業所の運営者が、自社のホームページや口コミ、お客様の声に載せる表示で、景品表示法の優良誤認・有利誤認と、事業者の表示であることを隠す表示の規制に触れないよう確かめるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、広告・口コミ掲載の自己点検メモ(掲載する表現、根拠の資料、口コミの依頼方法、事業者の表示であることの明示)を作成できる状態を目指します。

ステルスマーケティング規制:事業者の表示であることを隠さない

景品表示法第5条第3号に基づき、内閣総理大臣が「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を指定した告示(令和5年内閣府告示第19号)が、令和5年10月1日から施行されています。消費者庁は、この告示に関するQ&Aと運用基準を公開しています。

規制の対象は、表示の内容の決定に関与した事業者、つまり広告主です。消費者庁のQ&Aは、広告主から依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは、原則として規制の対象外としています。広告主と共同して商品等を供給している例外的な場合は、インフルエンサー等も対象になります。

訪問介護事業所が口コミやSNSの投稿の内容の決定に関与し、それが事業者の表示にあたる場合は、事業所側が対象になります。

「事業者の表示」にあたるかは、事業者が表示内容の決定に関与しているかで判断されます。Q&Aは、事業者が第三者に投稿内容を明示的に依頼や指示していなくても、やり取りの内容や対価、過去の取引関係などから、関与していると判断される場合があるとしています。

違反が認められた場合、消費者庁は措置命令を行います。ステルスマーケティング告示の違反そのものは、課徴金納付命令の対象にはなりません。ただし、違反の内容に優良誤認表示や有利誤認表示が含まれる場合は、課徴金納付命令の対象となることがあると、Q&Aは説明しています。

事業所の場面別の確認点:職員の投稿、口コミの依頼、お客様の声

職員が自分のSNSで勤務先のサービスの感想を投稿する場合について、消費者庁のQ&Aは、それだけで直ちに告示に違反するとは判断されないとしています。一方、サービスの販売を促進することが必要とされる地位や立場にある人(販売や開発に関わる役員、管理職、担当チームの一員など)が販売促進のために表示する場合は、「事業者の表示」にあたると考えられ、その場合は事業者の表示であることを明瞭にしなければなりません。「私は〇〇社の社員です」と所属を書くだけで明瞭になるかは、Q&Aの別の質問で扱われているため、迷うときは同Q&Aで確かめてください。

利用者に口コミの投稿を依頼する場合は、内容を指示していないか、評価の高さを条件にしていないかを確かめます。Q&Aは、予約サイトの口コミ投稿を条件にサービスを割引する場合について、投稿内容の指示がなければ、通常は事業者の表示にあたらないとしています。一方、サービスの評価として星5を付けることを条件にした場合は、事業者が表示内容を決めたことになり、事業者の表示にあたるという考え方が示されています。

「お客様の声」をホームページに載せる場合も、Q&Aに質問があります。アンケートの回答を恣意的に抜き出さず、内容を変えずにそのまま引用するのであれば、事業者の表示にあたらないという考え方です。好意的な回答だけを選んで引用すると、事業者の表示にあたり、その場合は事業者の表示と明瞭に示さなければ違反になります。

利用者本人の同意を得ることは、Q&Aの要件ではなく、本サイトの運用上の助言です。

事業者の表示であることを明瞭にする方法は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の語を書く方法に限られず、表示全体から事業者の表示と分かればよいとされています。迷う場合は、記載の位置と文言を具体的に示して、消費者庁や消費生活センター、弁護士に確認します。

介護保険法の掲示・公表との切り分け

重要事項を事業所内に掲示し、原則としてウェブサイトにも載せる義務は、介護保険法の指定基準に基づく別の決まりです。景品表示法の規制は、サービスを選んでもらうための表示の中身に関するものです。

掲示すべき項目とウェブサイトでの公表の扱いは訪問介護の重要事項の掲示とウェブサイト掲載(基準第32条)で整理しています。広告で書いた内容と重要事項説明書の内容が食い違わないよう、同じ元の資料から書き起こします。

この記事で確認した範囲

景品表示法第5条は e-Gov 法令検索の現行条文を、ステルスマーケティング告示の考え方は消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」のQ1からQ4、Q6、Q10、Q11、Q20を、いずれも2026-10-18に確認しました。

個別の広告表現や口コミの依頼方法が違法かどうかの判断、課徴金の金額の計算、介護保険の指定基準にある広告の定めは扱っていません。判断に迷う表現は、掲載前に消費生活センターや弁護士へ相談してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. ホームページ・チラシの表現を一覧にし、「地域最安」「必ず」などの比較や断定の語に根拠の資料があるかを確かめる
  2. 料金や加算の記載は、実際の利用料と取引条件の説明に合っているかを確かめ、条件や例外は同じ場所に書く
  3. 口コミの依頼は、内容を指示せず、評価の高さを条件にしていないかを確認し、事業者が関与した投稿には事業者の表示であることを明示する
  4. お客様の声は、好意的な回答だけを選んでいないか、同意を得た引用かを確かめ、迷う表現は掲載前に消費生活センターや弁護士に相談する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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