事業計画 / 更新 2026-09-30

介護福祉士が訪問介護で喀痰吸引等を行うための登録喀痰吸引等事業者の登録と実地研修

介護福祉士は、法律上、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とできますが、訪問介護事業所が実際に行わせるには、事業所ごとに都道府県知事の登録を受ける必要があります。この記事は、社会福祉士及び介護福祉士法と同法施行規則の原文から、行える行為の範囲、登録の基準、実地研修の要件を整理します。介護福祉士以外の介護職員が行う場合は別の仕組みで、認定特定行為業務従事者が訪問介護で喀痰吸引等を行うための実施体制で扱っています。

この記事で決めること

介護福祉士が喀痰吸引等を行える行為の範囲と、事業所ごとの都道府県知事の登録基準、実地研修の要件を理解するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、介護福祉士の喀痰吸引等の登録準備チェック表を作成できる状態を目指します。

介護福祉士が行える喀痰吸引等の範囲(法第2条第2項・第48条の2、施行規則第1条)

社会福祉士及び介護福祉士法は、介護福祉士の業に、心身の状況に応じた介護として、喀痰吸引その他の日常生活を営むのに必要な行為で、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る)を含めています(第2条第2項)。第48条の2は、介護福祉士が保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とできると定めています。

施行規則第1条が、この「厚生労働省令で定めるもの」を5つの行為に限っています。範囲を超える医療的な行為は、介護福祉士の喀痰吸引等には含まれません。

介護福祉士が医師の指示の下に行える喀痰吸引等(施行規則 第1条)
区分行為
喀痰吸引口腔内の喀痰吸引
喀痰吸引鼻腔内の喀痰吸引
喀痰吸引気管カニューレ内部の喀痰吸引
経管栄養胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
経管栄養経鼻経管栄養

事業所ごとの登録が必要(法第48条の3)

自らの事業またはその一環として、介護福祉士が行う喀痰吸引等の業務を行おうとする者は、その事業所ごとに、所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません(第48条の3第1項)。介護福祉士の資格を持つ職員がいるだけでは足りず、事業所単位の登録が前提になります。複数の事業所で行うなら、事業所ごとに登録します。

登録申請書には、氏名または名称と住所(法人は代表者の氏名)、事業所の名称と所在地、喀痰吸引等業務の開始予定年月日などを記載します。施行規則第26条の2で定める追加の記載事項は、喀痰吸引等を行う介護福祉士の氏名です。申請書には、法人の場合は定款または寄附行為と登記事項証明書、個人の場合は住民票の写しを添付します。いずれの場合も、欠格条項に該当しない旨の誓約書と、登録基準の全てに適合することを明らかにする書類が必要です。

登録基準の3要件と、実地研修などの措置(法第48条の5、施行規則第26条の3)

都道府県知事は、申請者が次の3つの要件の全てに適合しているときに登録をします(第48条の5第1項)。第1号は、医師、看護師その他の医療関係者との連携が確保されていること。第2号は、実施の記録の整備など安全かつ適正に実施するための措置が講じられていること。第3号は、医療関係者による実施の体制が充実していて介護福祉士が行う必要性が乏しい場合に当たらないことです。施行規則第26条の3第3項は、この第3号の場合を、介護福祉士が病院または診療所で喀痰吸引等を実施する場合と定めています。

連携の基準では、医師の文書による指示が必要です。医師または看護職員は対象者の状態を定期的に確認し、介護福祉士と情報を共有して役割を分担します。対象者の希望・医師の指示・心身の状況を踏まえ、実施内容などを記載した計画書も作成します。さらに、実施状況の報告書を医師に提出し、急変時の連絡方法をあらかじめ定めます。これらの事項は、喀痰吸引等業務に関する書類に記載します(施行規則第26条の3第1項)。

安全確保の措置(同条第2項)には、行わせる行為ごとに、介護福祉士が基本研修または医療的ケアを修了し、実地研修も修了している場合にのみ行わせることが含まれます。実地研修が未修了なら、事業者が、行為の区分ごとに定める回数以上の実施と、医師・保健師・助産師・看護師による修得の程度の審査を含む実地研修を行い、修得したと認められた介護福祉士に実地研修修了証を交付します。修了証を交付した介護福祉士の氏名・生年月日・住所・交付年月日の帳簿は、喀痰吸引等業務を廃止するまで保存し、交付状況は定期的に都道府県知事へ報告します。

このほか、医師または看護職員を含む者で構成する安全委員会の設置、安全に実施するための研修体制の整備、必要な備品等の用意、計画書の内容を対象者または家族に説明して同意を得ること、業務上知り得た情報の管理と秘密の保持が、措置として挙げられています。備品等の衛生的な管理など感染症の予防の措置は、努めることとされています。

訪問介護の事業設計で確かめる点

登録は事業所単位で、実地研修の修了状況は介護福祉士と行為ごとに管理する必要があります。喀痰吸引等を必要とする利用者の依頼を受ける計画なら、開業前に、対象にする行為を決め、その行為について研修を修了した介護福祉士を配置できるかを人員計画に置きます。人員全体の計画は訪問介護の人員計画と採用シナリオで整理しています。

医師の文書による指示、看護職員との定期確認、計画書と報告書の作成は、日々の運営の手間として増えます。連携する医師や看護職員を決めておくことが、登録基準の前提です。本記事は法令の一般的な整理で、登録の可否や、個別の利用者への実施可否の判断はしません。登録の有効期間や更新、変更の届出、様式や審査期間は都道府県によって運用が異なりうるため、事業所の所在地の都道府県に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 介護福祉士に行わせたい行為を、施行規則第1条の5行為(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養)から選び、行為ごとに基本研修または医療的ケアと実地研修の修了状況を記録する
  2. 事業所ごとに管轄の都道府県知事の登録を受ける準備として、定款または登記事項証明書、欠格条項に該当しない旨の誓約書、登録基準に適合することを示す書類を揃える
  3. 医師の文書による指示、医師または看護職員による対象者の状態の定期確認、計画書の作成と利用者・家族への説明と同意、実施状況の報告書、緊急時の連絡方法を運用の流れとして整える
  4. 安全委員会の設置、研修体制、備品等、秘密保持の措置を事業計画に含め、登録の手続きと時期は都道府県へ確認する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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