運営 / 更新 2026-10-12

訪問介護事業所の育児休業・介護休業・看護休暇:申出を拒めない場面と労使協定で除外できる範囲

訪問介護員から育児休業や介護休業などの申出があったとき、事業主は、条文に定められた場合を除いて、申出を拒めません。このページは、育児・介護休業法の条文で、拒めない場面、労使協定で対象から外せる範囲、不利益な取扱いの禁止を整理します。個々の職員が取得できるかどうかの判断や、就業規則の条文案は扱いません。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の事業主が、職員から育児休業・介護休業・子の看護等休暇・介護休暇の申出を受けたときに、条文上拒めない場面と、労使協定で対象から外せる範囲を、育児・介護休業法で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、育児・介護休業の申出対応表(制度ごとの就業規則の定め・労使協定で除外した職員の範囲・申出の窓口と記録様式・確認先)を作成できる状態を目指します。

申出は、原則として拒めない

育児・介護休業法は、職員が育児休業の申出をしたときは、事業主はその申出を拒めないと定めています(第6条第1項)。介護休業、子の看護等休暇、介護休暇も、申出があったときは拒めないとされています(第12条第1項・第16条の3第1項・第16条の6第1項)。条文はe-Gov法令検索で確認しました(2026-10-12)。

訪問介護は、利用者の予定に合わせて職員を配置するため、休業の申出を受けた事業所は、シフトの調整に困りやすい場面です。ただし、人手が足りないことは、条文が申出を拒める場合として挙げている事由に含まれていません。拒める場合は次の節のとおり、労使協定で決めた範囲に限られます。

4つの制度で、条文が決めている内容

4つの制度について、条文で確認できる内容を表にまとめます。省令で定める細かい条件は、このページでは確認していないため書いていません。

育児・介護休業法の4つの制度(育児・介護休業法の条文。e-Govで確認、2026-10-12)
制度条文で確認できる内容
育児休業(第5条)1歳に満たない子を養育する職員が申し出る。期間を定めて雇用される職員は、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない場合に限り申し出られる。1歳から1歳6か月、1歳6か月から2歳までの延長にも、条文の要件がある
介護休業(第11条)対象家族ごとに3回まで、かつ合計93日まで。期間を定めて雇用される職員は、開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでない場合に限り申し出られる
子の看護等休暇(第16条の2)小学校第3学年修了前の子を養育する職員が、1年度に5労働日(子が2人以上は10労働日)を限度として取得する。年度は、事業主が別に定めるときを除き、4月1日から翌年3月31日まで
介護休暇(第16条の5)要介護状態にある対象家族の介護その他の世話をする職員が、1年度に5労働日(対象家族が2人以上は10労働日)を限度として取得する

労使協定で、対象から外せる範囲

育児休業は、事業所の過半数で組織する労働組合、それがないときは過半数を代表する者との書面による協定で、休業をできないものとして定めた職員からの申出に限り、事業主は拒めます(第6条第1項ただし書)。条文が挙げているのは、事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない職員と、合理的な理由があるとして厚生労働省令で定める職員です。省令の内容は、このページでは確認していません。

介護休業は、この除外の定めを準用しています(第12条第2項)。一方、子の看護等休暇と介護休暇は、準用する範囲が第6条第1項ただし書の第2号に係る部分に限られており、継続雇用1年未満を理由にした除外は準用されていません(第16条の3第2項・第16条の6第2項)。協定を結んでいる事業所は、休業ごとに、協定の対象にした職員の範囲を確認しておきます。

協定を結んでいても、除外の対象にしていない職員からの申出は、拒めません。さらに、除外の対象に当たる職員からの申出を拒んだ場合に限って、その職員は休業をできなくなります(第6条第2項)。除外できるかどうか迷う職員への対応は、労働基準監督署または都道府県労働局へ確認します。

休業を理由にした不利益な取扱いは禁止

第10条は、育児休業の申出をしたことや育児休業をしたことを理由に、職員に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。介護休業も同じです(第16条)。

条文は「理由として」と書いているため、休業の取得を理由にしていない人事の判断まで禁じているわけではありません。ただし、シフトの削減や契約の更新拒否を、休業の申出と時期が近いまま実施するときは、休業を理由にしていないといえる根拠を、事業所の記録に残しておくと確認しやすくなります。個別の判断は、労働基準監督署または都道府県労働局へ確認します。

確認の手順と、このページが判断しないこと

事業所では、まず就業規則に4つの制度の定めがあるか、過半数代表者との協定の有無と対象にした職員の範囲、申出を受けたときの窓口と記録の様式を確認します。年次有給休暇との関係は訪問介護事業所の年次有給休暇の管理で、就業規則や労働時間の枠組みは訪問介護事業所の就業規則と時間外労働の協定で確認できます。

休業中の給付金や社会保険料の扱い、個々の職員が取得できるかの判断、就業規則の条文案は、このページでは判断しません。ハローワーク、年金事務所、労働局へ確認します。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 育児休業・介護休業・子の看護等休暇・介護休暇の4つについて、就業規則に定めがあるかを確認し、無い制度を一覧にする
  2. 過半数代表者との書面協定の有無と、休業ごとに対象から除外した職員の範囲を確認する。子の看護等休暇と介護休暇は、継続雇用1年未満を理由にした除外が条文上準用されていないことを書き添える
  3. 職員から申出があったときの窓口、受け取る日、記録する様式を決め、人手不足を理由に断る運用になっていないかを管理者が確認する
  4. 除外できるか迷う職員の扱いは、労働基準監督署または都道府県労働局へ確認した日と回答を残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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