運営 / 更新 2026-10-11

訪問介護事業所の年次有給休暇:付与日数、年5日の時季指定義務、年次有給休暇管理簿

年次有給休暇は、常勤かパートかを問わず、雇入れから6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤した労働者に与えます。10日以上与える労働者には、年5日を使用者が時季を決めて取らせる義務があり、管理簿も作ります。

この記事で決めること

訪問介護事業者が、常勤・パート・登録ヘルパーに与える年次有給休暇の日数、年5日の時季指定義務の対象、年次有給休暇管理簿に書く事項と保存期間を、労働基準法と施行規則、厚生労働省の案内で確認できるようにするための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、年次有給休暇の管理メモ(従業者ごとの雇入れ日・基準日・付与日数・取得した日付と日数)を作成できる状態を目指します。

結論:6か月・8割で10日、10日以上の人には年5日の取得義務

労働基準法第39条第1項は、雇入れの日から6か月間続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に、10労働日の有給休暇を与えると定めています。厚生労働省のリーフレットも、業種や、正社員・パートタイム労働者などの区分に関係なく、要件を満たした全ての労働者に与えると説明しています。登録ヘルパーも、労働者として雇っていれば対象です。

第7項は、付与される日数が10労働日以上の労働者について、そのうち5日を、基準日から1年以内に、使用者が労働者ごとに時季を決めて取らせるよう求めています。基準日は、有給休暇を与えた日のことです。取得状況を把握していないと、この義務を果たしたかどうかを確かめられません。

取得させた時季、日数、基準日は、労働者ごとの年次有給休暇管理簿に残します。この記事は、付与日数の表、5日の義務の対象、管理簿の3点を、条文と厚生労働省の案内の範囲で整理します。

付与日数:通常の労働者と、週の所定日数が少ないヘルパー

第2項により、6か月経過日から継続勤務が1年増えるごとに日数が加わります。6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日です。

週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の労働者は、第3項と施行規則第24条の3により、所定労働日数に応じた日数になります。週ではなく年間の所定労働日数で決まっている場合は、216日以下が対象です。時間が短いヘルパーが多い訪問介護事業所では、この表で確認する場面が多くなります。

年次有給休暇の付与日数(労働基準法第39条第2項・第3項、施行規則第24条の3。2026年10月11日確認)
週の所定労働日数(年間の所定労働日数)6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
通常の労働者(週5日以上、または週30時間以上)10日11日12日14日16日18日20日
週4日(169日〜216日)7日8日9日10日12日13日15日
週3日(121日〜168日)5日6日6日8日9日10日11日
週2日(73日〜120日)3日4日4日5日6日6日7日
週1日(48日〜72日)1日2日2日2日3日3日3日

年5日の時季指定義務の対象と、数え方

年5日の義務は、付与される日数が10労働日以上の労働者が対象です。上の表で見ると、通常の労働者は6か月で10日になった時点から対象です。

週4日のヘルパーは3年6か月で10日になり、週3日のヘルパーは5年6か月で10日になって、そこから対象です。週2日以下のヘルパーは、表の範囲では10日に達しないため、この義務の対象になりません。

第8項は、労働者本人が請求して取得した日数と、第6項の労使協定による計画的な付与で与えた日数を、5日から差し引くと定めています。すでに5日以上取っている労働者に、使用者が時季を指定する必要はありません。時間単位で取得した分は、5日に数えられません。

基準日より前に有給休暇を与えることにした場合の履行期間は、施行規則第24条の5が定めています。入社日と全社の付与日を合わせるなど、基準日が複数になる運用をするときは、この条文で期間を確かめます。

出勤率の数え方と、休暇を取る時季

第10項により、業務上の負傷・疾病で療養のために休業した期間、育児休業・介護休業の期間、産前産後の休業の期間は、出勤したものとみなして8割の要件を判断します。登録ヘルパーのように勤務日が月ごとに変わる場合でも、全労働日に何日出勤したかを記録しておかないと、8割を確かめられません。

第5項は、有給休暇を労働者が請求する時季に与えるよう求めています。ただし、請求された時季に与えると事業の正常な運営を妨げる場合は、ほかの時季に与えることができます。

どの場合が事業の正常な運営を妨げるかは、条文だけでは決まりません。個別の判断は、労働基準監督署に確認します。

休暇を取った日の賃金は、第9項により、平均賃金、所定労働時間働いた場合の通常の賃金、または労使協定で定めた標準報酬日額のいずれかを、就業規則などで定めて支払います。どれを選ぶかは、就業規則に書いておきます。

年次有給休暇管理簿に書くことと保存期間

施行規則第24条の7は、第39条第5項から第7項までにより有給休暇を与えたとき、時季、日数、基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作ることを求めています。同じ条文は、与えた期間中と期間の満了後の5年間、保存するよう定めています。

保存期間について、厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aは、当分の間3年と案内しています。附則第143条は、第109条の記録の保存期間「5年間」を当分の間「3年間」と読み替えると定めています。

労働者名簿・賃金台帳と管理簿は、施行規則第55条の2によりあわせて調製できます。名簿・台帳の扱いは、訪問介護の雇入れ時の労働条件明示と労働者名簿・賃金台帳(保存3年)で確認できます。

年次有給休暇の管理で記録すること(労働基準法第39条、施行規則第24条の7。2026年10月11日確認)
記録すること何のためか根拠
雇入れの日と6か月経過日最初の10日(または比例付与の日数)を与える日を決める第39条第1項
基準日と付与日数年5日の期間(基準日から1年以内)を数える第39条第7項、施行規則第24条の7
取得した日付と日数5日に達したかを確かめる。本人請求・計画付与の分は差し引く第39条第8項、施行規則第24条の7
出勤した日と全労働日8割以上出勤したかを確かめる第39条第1項・第10項

条文と案内で確認できない点

この記事は、個別のヘルパーに与える日数や、時季変更権を使えるかを判断するものではありません。所定労働日数が毎月変わるヘルパーが、どの行の日数に当たるかも、条文だけでは決まりません。社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に確認してください。

管理簿の保存期間は、施行規則の条文が5年、厚生労働省の案内が当分の間3年と、書き方が分かれています。どちらで保存するかの個別の判断は、所轄の労働基準監督署に確認してください。

ほかの記事との違い

休暇の種類を就業規則に書くこと、届出と周知の手順は、訪問介護事業所の就業規則と36協定:作成・届出が必要な人数、意見聴取、周知の方法で確認できます。パートの登録ヘルパーの雇用契約の結び方は、訪問介護の登録ヘルパーの雇用契約・勤務表・移動時間で確認できます。

移動時間や待機時間が労働時間に当たるかは、雇用・勤怠と訪問介護の移動時間で確認できます。従業者の健康診断は、訪問介護の従業者の健康診断:雇入れ時・定期健康診断の対象とパート・登録ヘルパーの扱いで扱っています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 従業者ごとに雇入れ日から6か月後の日を出し、全労働日の8割以上出勤したかを確かめて、基準日と付与日数を記録する
  2. 週所定労働時間が30時間未満で週所定労働日数が4日以下のヘルパーは、比例付与の表で継続勤務期間ごとの日数を確かめる
  3. 付与日数が10日以上になる従業者を一覧にし、基準日から1年以内に年5日を取得させるため、取得状況を確認する日を決める
  4. 年次有給休暇管理簿に、時季・日数・基準日を従業者ごとに書き、労働者名簿・賃金台帳とあわせて保存期間の間保管する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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