運営 / 更新 2026-10-11

訪問介護事業所の就業規則と36協定:作成・届出が必要な人数、意見聴取、周知の方法

常時10人以上の労働者を使う訪問介護事業所は、労働基準法第89条により、就業規則を作って労働基準監督署に届け出ます。短時間のヘルパーも人数に数えます。時間外や休日に働かせるときは、別に36協定を結んで届け出ます。

この記事で決めること

訪問介護事業者が、就業規則を作って労働基準監督署へ届け出る人数の目安、必ず書く事項、意見聴取から周知までの手順、時間外・休日労働に必要な36協定の届出を、労働基準法と訪問介護労働者向けの厚生労働省通達で確認できるようにするための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、就業規則・36協定の整備メモ(常時使用する労働者数・就業規則の届出日と意見聴取日・周知の方法・36協定の有効期間と届出日)を作成できる状態を目指します。

結論:常時10人以上で就業規則の届出、時間外・休日労働には人数に関係なく36協定

第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけています。変更したときも届け出ます。10人以上になったときは、施行規則第49条第1項により、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に届け出ます。

厚生労働省の訪問介護労働者向け通達(平成16年8月27日基発第0827001号)は、短時間労働者である訪問介護労働者も「常時10人以上の労働者」に含まれると述べています。パートの登録ヘルパーが多い事業所では、人数を数えるときに含めます。

時間外・休日労働の協定(36協定)は、第36条に人数の要件がありません。労働者に法定の労働時間を超えて働かせる、または休日に働かせるときは、事業場の過半数代表者などと書面で協定を結び、行政官庁に届け出ます。

就業規則に必ず書く事項と、定めをする場合に書く事項

第89条は、記載する事項を2つに分けています。第1号から第3号までは、必ず書く事項です。第3号の2から第10号までは、その定めをする場合に書く事項です。

訪問介護では、勤務表で働く日と時間が決まるヘルパーが多くいます。通達は、就業の場所・業務、労働日、始業・終業の時刻、休憩を労働条件として明示するとき、勤務の種類ごとの考え方と関係する就業規則の条項名に加え、契約時点の勤務表を示せば足りるとしています。勤務の種類ごとの始業・終業の時刻と休憩の考え方を、就業規則のどの条項に書くかを整理しておくと、明示がしやすくなります。

就業規則の記載事項(労働基準法第89条。2026年10月11日確認)
区分記載する事項条文
必ず書く事項始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇(交替制の場合は就業時転換に関する事項)第1号
必ず書く事項賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給第2号
必ず書く事項退職に関する事項(解雇の事由を含む)第3号
定めをする場合に書く事項退職手当、臨時の賃金等、最低賃金額、食費・作業用品などの負担第3号の2〜第5号
定めをする場合に書く事項安全及び衛生、職業訓練、災害補償及び業務外の傷病扶助、表彰及び制裁(種類と程度)第6号〜第9号
定めをする場合に書く事項事業場の労働者のすべてに適用される定め第10号

作成から周知までの手順

就業規則を作る、または変更するときは、第90条第1項により、過半数労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます。届出には、その意見を記した書面を添付します(第90条第2項)。意見書には、労働者を代表する者の氏名を書きます(施行規則第49条第2項)。

過半数代表者は、施行規則第6条の2が要件を定めています。監督又は管理の地位にある者ではないこと、投票や挙手などの手続で選ばれ、使用者の意向で選ばれた者ではないことです。届出のあとは、労働者に周知します。

就業規則の作成・届出・周知の手順(労働基準法第89条・第90条・第106条、施行規則第49条・第52条の2。2026年10月11日確認)
手順することと条文訪問介護で確認すること
1. 人数を数える常時10人以上かを確かめる(第89条)短時間のヘルパーも含めて数える(通達)
2. 案を作る必ず書く事項を入れ、定めをする事項を選ぶ(第89条)勤務の種類ごとの始業・終業の時刻、休憩の考え方を書いておくと、雇入れ時に条項名で示せる(通達の明示の扱い)
3. 意見を聴く過半数労働組合、なければ過半数代表者の意見を聴き、意見書を作る(第90条)過半数代表者に、使用者の意向で選ばれた者や管理の地位にある者を充てない(施行規則第6条の2)
4. 届け出る意見書を添えて所轄の労働基準監督署長に届け出る(第89条、施行規則第49条)10人以上になったら遅滞なく届け出る
5. 周知する掲示・備え付け、書面の交付、電子ファイルの記録と閲覧機器の設置のいずれか(第106条、施行規則第52条の2)事業場に来る機会が少ないヘルパーには、書面の交付が望ましい(通達)

36協定の届出で確認すること

第32条は、休憩時間を除き1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないと定めています。これを超えて働かせる、または休日に働かせるには、第36条第1項の協定をして、行政官庁に届け出る必要があります。

協定に定める事項は、第36条第2項に挙がっている対象の労働者の範囲、対象期間(1年間)、延長できる場合、1日・1か月・1年の延長時間または休日の日数などです。延長できる時間の限度は、原則として1か月45時間・1年360時間です(第3項・第4項)。届出は様式第9号(特別条項を定める場合は第9号の二)で所轄の労働基準監督署長にします(施行規則第16条第1項)。

条文と通達で確認できない点

この記事は、就業規則や36協定の条文案を示すものではありません。時間数の決め方や、個別のヘルパーの労働時間が法定を超えるかの判断も、条文だけでは決まりません。社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に確認してください。

ここで引いた通達は平成16年のものです。特別条項など36協定の細かい要件は、この記事では確認していません。「常時10人以上」に当たるかの個別の判断も、同じく確認先は労働基準監督署です。

ほかの記事との違い

雇い入れるときに書面で明示する事項と、労働者名簿・賃金台帳は、訪問介護の雇入れ時の労働条件明示と労働者名簿・賃金台帳(保存3年)で確認できます。移動時間が労働時間に当たるかは、雇用・勤怠と訪問介護の移動時間で確認できます。

指定基準が定める事業所の運営規程は、就業規則とは別のものです。訪問介護の運営規程の必須記載事項(8項目)で確認できます。登録ヘルパーの雇用契約の結び方は、訪問介護の登録ヘルパーの雇用契約・勤務表・移動時間で確認できます。

法定休日を勤務表で確認する

就業規則と36協定を整えたあとは、職員別の勤務表で第35条の休日の予定と勤務実績を照合します。通常月の確認順は、訪問介護事業所の法定休日:勤務表と実績の確認手順で確認できます。

休暇の付与日数と年5日の取得義務

就業規則に書く休暇のうち、年次有給休暇の付与日数、年5日の時季指定義務、管理簿は、訪問介護事業所の年次有給休暇:付与日数、年5日の時季指定義務、年次有給休暇管理簿で確認できます。

時間外の割増賃金の率

36協定を結んで時間外・休日に働かせたときに支払う割増賃金の率と基礎賃金は、訪問介護事業所の割増賃金:時間外・休日・深夜の割増率と、計算の基礎に入れない手当で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 短時間のヘルパーを含めて常時使用する労働者の数を数え、10人以上になった日と、就業規則の届出が必要かどうかを記録する
  2. 就業規則に、始業・終業の時刻・休憩・休日・休暇、賃金の決め方と支払い、退職の3項目を必ず書き、定めを置く項目を選んで、勤務表で働くヘルパーの勤務の種類を整理する
  3. 過半数代表者(または過半数労働組合)の意見を聴いて意見書を作り、就業規則と一緒に所轄の労働基準監督署へ届け出てから、書面の交付など決められた方法で労働者に周知する
  4. 時間外・休日に労働させる可能性があるときは、過半数代表者と書面で36協定を結び、様式を使って届け出た日と有効期間を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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