運営 / 更新 2026-10-15
訪問介護員の通勤手当(マイカー)の非課税限度額:令和8年4月改正と登録ヘルパーの月額判定
マイカーで事業所や利用者の居宅へ通う訪問介護員に通勤手当を支給するとき、一定の金額までは所得税がかかりません。令和8年4月から、片道65km以上の限度額の引上げと、駐車場代の加算が始まっています。このページは、国税庁の資料をもとに、非課税の限度額、駐車場代の扱い、パート・登録ヘルパーに支給する月の判定を整理します。
この記事で決めること
マイカーや自転車で通勤する訪問介護員に通勤手当を支給する事業者が、所得税の非課税限度額(片道の距離別)、令和8年4月の改正(片道65km以上の引上げと駐車場代の加算)、パート・登録ヘルパーに支給する月の判定を、国税庁の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、通勤手当の非課税チェック表(訪問介護員ごとの通勤方法、自宅から勤務先までの片道の通勤経路の距離、駐車場等の料金と場所、月の支給額、非課税限度額、超過額)を作成できる状態を目指します。
通勤手当の非課税は、通勤のための費用に限られる
国税庁のタックスアンサー(No.2585)は、通常の給与に加算して支給する通勤手当は、一定の限度額まで非課税だと説明しています。限度額を超える部分は給与として課税され、超えた分は、通勤手当を支給した月の給与に上乗せして源泉所得税を計算します。
このページが扱うのは、自宅から勤務先への通勤にかかる費用です。利用者の居宅を回る移動は業務の移動にあたるため、車の使い方や費用負担の定め方は「訪問介護員のマイカー使用:費用負担の定めと事故時の責任の確認点」で確認してください。
通勤手当は、割増賃金の基礎から除く賃金として労働基準法に挙げられています。残業代の計算との関係は「訪問介護の割増賃金」にあります。
マイカー・自転車で通勤する人の非課税限度額(月額)
マイカーや自転車などの交通用具で通勤する人の非課税限度額は、片道の通勤距離で決まります。国税庁は、この距離を通勤経路に沿った長さと説明しており、地図上の直線距離ではありません。
片道2km未満の人は、通勤手当の全額が課税されます。下の表は、国税庁が令和8年4月1日現在で示している限度額です。
| 片道の通勤距離 | 1か月当たりの限度額 |
|---|---|
| 2km未満 | 全額課税 |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 |
| 10km以上15km未満 | 7,300円 |
| 15km以上25km未満 | 13,500円 |
| 25km以上35km未満 | 19,700円 |
| 35km以上45km未満 | 25,900円 |
| 45km以上55km未満 | 32,300円 |
| 55km以上65km未満 | 38,700円 |
| 65km以上75km未満 | 45,700円 |
| 75km以上85km未満 | 52,700円 |
| 85km以上95km未満 | 59,600円 |
| 95km以上 | 66,400円 |
令和8年4月の改正:片道65km以上の引上げと、駐車場代の加算
国税庁は、令和8年度税制改正で、交通用具を使う人の通勤手当について2点が変わったと案内しています。1点目は、片道65km以上の人の非課税限度額の引上げです。2点目は、一定の要件を満たす駐車場等を使い、その料金を負担することが常になっている人の限度額に、駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加算することです。
この改正は、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に適用されます。4月1日より前に支払われるべき通勤手当の差額として追加で支給するものには、改正後の限度額は使えません。
駐車場代を加算できるのは、事業所や駅などの周辺の駐車場に限られる
加算の対象になる「一定の要件を満たす駐車場等」は、国税庁によると、通勤手当を受ける人の勤務する場所の周辺、または通勤に使う交通機関の駅や停留所などの周辺にある駐車のための施設です。自転車やバイクの駐輪場も含まれます。
自宅付近の駐車場は対象にならず、その料金相当額の通勤手当は非課税になりません。片道2km未満の人も、駐車場代の加算の対象から除かれます。
事業者が従業員に代わって駐車場を契約し、駐車場代を負担する場合も、駐車場代相当額の通勤手当を支給したものとして計算します。国税庁のQ&Aの例では、片道50kmの人に通勤手当32,300円を支給し、会社付近の駐車場代6,000円も負担すると、限度額は37,300円(32,300円に上限の5,000円を加えた額)です。支給の合計38,300円のうち、超える1,000円が課税されます。
パート・登録ヘルパーに支給する月は、日割りではなく月額で判定する
訪問介護では、週の勤務日が少ないパートや登録ヘルパーも多くいます。国税庁の質疑応答事例は、アルバイトやパートタイマーのように断続的に勤務する人に支給する通勤手当でも、日割りにする規定はなく、月額で判定するとしています。
その月に支給する通勤手当の合計額のうち、限度額までが非課税です。月の合計が限度額を超えなければ、勤務日数が少ない月でも、その分が課税されることはありません。
このページの範囲と、確認する先
このページが確認したのは、国税庁のタックスアンサー No.2585、通勤手当の非課税限度額の改正についてのページとQ&A、アルバイトに支給する通勤手当の質疑応答事例です(2026-10-15に確認)。電車・バスを使う人の通勤手当や、交通機関と交通用具を組み合わせる人の計算は扱いません。
直行直帰が多い訪問介護員の通勤距離の取り方や、個別の支給額が非課税になるかは、国税庁の資料だけでは決められません。支給の規程を作る前に、所轄の税務署か税理士に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 訪問介護員ごとに、通勤にマイカー・自転車・電車やバスのどれを使うかと、自宅から勤務先までの通勤経路に沿った片道の距離を表に書く
- マイカーや自転車の人は、距離の区分に応じた月額の限度額を国税庁の表で確認し、事業所や駅の周辺の駐車場等の料金を負担している人は、上限5,000円までを加算する
- パートや登録ヘルパーも、勤務日数で日割りにせず、その月に支給する通勤手当の合計額を限度額と比べる
- 限度額を超える部分を課税の給与として源泉徴収する給与計算になっているかを確認し、判断に迷う支給は所轄の税務署か税理士に相談する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(タックスアンサー)」(確認日 2026-10-15)
- 国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について(令和8年4月・国税庁)と改正に関するQ&A」(確認日 2026-10-15)
- 国税庁「アルバイトに支給する通勤手当の非課税限度額(質疑応答事例・源泉所得税)」(確認日 2026-10-15)