運営 / 更新 2026-10-12

認知症介護基礎研修と訪問介護:運営基準の条文と令和6年度Q&Aで確認する受講義務の範囲

認知症介護基礎研修は、資格を持たない介護従事者に受講させる研修として義務づけられていますが、運営基準の条文では、訪問介護の勤務体制の条に受講措置の定めがありません。この記事は、条文と厚生労働省のQ&Aで確認できる範囲と、確認できない範囲を分けて、事業所の研修計画に入れるかどうかを判断する材料を示します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

認知症介護基礎研修の受講義務が訪問介護事業所にかかるのかを、運営基準の条文と厚生労働省のQ&Aで確認し、研修計画に入れるかを判断するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、認知症介護基礎研修の対象確認表(従業者ごとの職種・保有資格・採用日・研修の受講状況・指定権者への確認記録)を作成できる状態を目指します。

訪問介護の運営基準には、基礎研修の受講措置の文言がない

指定居宅サービス等の運営基準(平成11年厚生省令第37号)の第30条は、訪問介護の勤務体制の確保等を定めています。第3項は「訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない」とするだけで、認知症介護基礎研修を受講させる措置は書かれていません(e-Govの現行条文で確認、2026-10-12)。

同じ省令の本則を「認知症介護に係る基礎的な研修」の語で検索すると、該当する条は5つで、訪問入浴介護(第53条の2)、通所介護(第101条)、短期入所生活介護(第140条の11の2)、短期入所療養介護(第155条の10の2)、特定施設入居者生活介護(第190条)です。これらの条は、資格を有する者その他これに類する者を除く従業者に、基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じることを求めています。訪問介護の第30条は、この5つに含まれていません。

訪問介護に当たるのは、資格を持つ訪問介護員等

運営基準の第5条第1項は、訪問介護員等を「指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第八条第二項に規定する政令で定める者」と定めています。訪問介護の提供に当たる人は、介護福祉士か、政令で定める介護員養成研修の修了者などの有資格者です。資格ごとの従事範囲は訪問介護員の資格と従事範囲で確認できます。

基礎研修の受講措置が、資格を有する者を除く従業者に向けた定めであることを考えると、訪問介護の条に定めがないことは、訪問介護員等が全員有資格者であることと整合します。ただし、この結びつきを説明した公的資料は確認できていないため、このページの推測です。

厚生労働省のQ&Aで確認できること

厚生労働省の事務連絡「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.14)」(令和7年4月18日)には、「認知症介護基礎研修の義務づけについて」の項があります。この項の対象は、見出しで「全サービス(無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く)」と示されています。

問1では、義務づけの経過措置は令和6年3月31日で終了したと答えています。新卒採用か中途採用かを問わず、新たに採用した医療・福祉関係の資格を持たない従業者については、採用後1年間の猶予期間があるとされています。問2では、日本語以外の教材として、英語、ベトナム語、インドネシア語、中国語、ビルマ語、タガログ語、ネパール語の教材と、日本語能力試験のN4レベルを基準とした教材が整備されていると答えています。

基礎研修の義務づけの確認結果(運営基準とQ&A Vol.14で確認、2026-10-12)
論点確認できた内容確認できなかった内容
訪問介護の条文第30条第3項は研修の機会の確保のみで、基礎研修の受講措置の文言はない条文に定めがない理由を説明した公的資料
無資格者がいない訪問系サービスQ&Aの義務づけの項の対象から除かれると、見出しから読める無資格者がいる訪問系サービスの扱いを直接述べた記載
採用後の猶予資格を持たない新規採用者は、採用後1年間の猶予がある(問1)訪問介護員等以外の従業者に、この猶予や義務が当てはまるかを名指しした記載(Vol.1 問162は直接介護に携わる可能性がない人を対象外とする)

事務員や管理者など、訪問介護員等以外の従業者の扱い

訪問介護事業所には、訪問介護員等のほかに、事務員や、訪問介護員等の資格を持たない管理者などがいる場合があります。この人たちに基礎研修の受講義務があるかについて、訪問介護や事務員を名指しした記載は、第30条の条文とQ&A Vol.14では確認できていません。

手がかりになるのは、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1、令和6年3月15日)の問162です。現在介護現場で就業していない人や、直接介護に携わる可能性がない人は義務づけの対象外とされています。

一方、問160は、介護に直接携わる職員であれば、人員配置基準上算定されるかどうかにかかわらず対象になると答えています。この基準を訪問介護事業所の事務員などに当てはめた公的な説明は、確認できていません。

個別の従業者が対象になるかは、このページでは判断しません。事業所の運用に関わる点なので、指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の指導窓口に、職種と資格の状況を伝えて確認し、問い合わせた日と回答を残してください。

事業所の確認の手順と、このページが判断しないこと

事業所では、まず従業者の一覧に、訪問介護員等とそれ以外の職種を分けて、保有資格と修了証の所在を記録します。そのうえで、第30条第3項の研修の機会の確保として、年間の研修計画に認知症ケアの研修を入れるかを決めます。計画の組み方は勤務体制と研修の整備で説明しています。

このページは、認知症専門ケア加算の算定要件、研修の申込方法や受講料、個別の従業者が義務の対象かの判断を扱いません。このページは、令和7年4月18日以降の運営基準の改正や、新しいQ&Aと、解釈通知(老企第25号)を確認していません。最新の取扱いは、厚生労働省の資料と指定権者で確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 従業者の一覧に、訪問介護員等(介護福祉士または介護員養成研修修了者など)とそれ以外の職種を分けて書き、保有資格の修了証の写しの所在を記録する
  2. 運営基準第30条第3項が定める研修の機会の確保として、認知症ケアを含む年間の研修計画を作り、認知症介護基礎研修を計画に入れるか、入れない理由を書き残す
  3. 無資格の従業者を置く場合は、採用日と、基礎研修の受講義務に採用後1年の猶予があるとされる扱いの根拠を確認表に書き、受講の予定日を入れる
  4. 訪問介護員等以外の従業者の扱いが条文から確認できない点は、指定権者へ問い合わせた日と回答を記録して、次回の運営指導に備える

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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