運営 / 更新 2026-10-03

訪問介護の勤務体制の確保等(基準第30条):月ごとの勤務表・自事業所の訪問介護員・研修機会・ハラスメント防止の措置

訪問介護事業者は、事業所ごとに訪問介護員等の勤務の体制を定め、その事業所の訪問介護員等で提供し、研修の機会を確保し、職場のハラスメントを防ぐ措置を講じる義務があります(省令第37号第30条)。この記事は、条文の4つの項と、厚生労働省の通知が示す勤務表の項目・訪問介護員等の範囲・研修の考え方を、確認できた範囲で整理します。常勤換算の人数、労働時間と賃金、取引先等からの言動への対応は扱いません。

この記事で決めること

訪問介護事業所が、運営基準第30条に基づいて、勤務の体制をどう定め(月ごとの勤務表に載せる項目)、誰の提供を自事業所の訪問介護員等とみなすか、研修の機会をどう確保し、職場のハラスメント防止の措置をどう講じるかを、条文と通知から確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、勤務体制・研修・ハラスメント防止の運用確認表を作成できる状態を目指します。

第30条が定める4つの義務

e-Govの現行条文で、第30条の見出しは「勤務体制の確保等」です。第1項は、利用者に適切な指定訪問介護を提供できるよう、指定訪問介護事業所ごとに訪問介護員等の勤務の体制を定めておくことを求めています。第2項は、事業所ごとに、その事業所の訪問介護員等によって指定訪問介護を提供することを求めています。

第3項は訪問介護員等の資質の向上のために研修の機会を確保すること、第4項は職場で行われる性的な言動や、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによって訪問介護員等の就業環境が害されることを防ぐための、方針の明確化等の必要な措置を講じることを求めています。4つの項は、勤務表、提供者の範囲、研修、就業環境という別々の運用に分けて整えます。

月ごとの勤務表に載せる項目(第1項・通知)

老企第25号の掲載版は、第30条の趣旨として、指定訪問介護事業所ごとに原則として月ごとの勤務表を作成することを挙げています。訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨などを明確にするとされています。

人員基準を満たしているかを後から確認する場面では、この勤務表が事実を確かめる資料になると考えられます。常勤換算の計算方法と配置人数は訪問介護の人員基準とサービス提供責任者の配置人数で確認できます。勤務表の様式そのものは条文にも通知の掲載版にも定めがありません。指定権者が運営指導で求める項目は、あわせて確認してください。

老企第25号の掲載版が勤務表で明確にするとしている項目
項目通知の記載(訪問介護員等について)
日々の勤務時間明確にすること
職務の内容明確にすること
常勤・非常勤の別明確にすること
管理者との兼務関係明確にすること
サービス提供責任者である旨明確にすること(「等」とあり、これらに限るとは書かれていない)

「その事業所の訪問介護員等」とは(第2項・通知)

老企第25号の掲載版は、第2項の「指定訪問介護事業所の訪問介護員等」を、雇用契約その他の契約により、その事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等と説明しています。雇用契約に限らず、その他の契約も含まれる書き方ですが、基準は管理者の指揮命令下にあることです。

条文は自事業所の訪問介護員等による提供を求めており、通知は管理者の指揮命令下にあるかどうかを基準にしています。提供を担う人がこれに当たるかは、職員ごとに確認すると整理しやすくなります。登録型の訪問介護員の雇用の考え方は登録ヘルパーの雇用と労働条件で整理しています。他の事業所の職員や外部の事業者に提供を任せたい場合の可否は、契約の形によって判断が分かれうるため、個別に指定権者へ確認してください。

研修の機会を確保する(第3項・通知)

老企第25号の掲載版は、第3項を、従業者である訪問介護員等の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保するものと説明しています。通知の文言は、機会を「計画的に」確保するというものです。

運用の例としては、年度の初めに事業所内研修と外部研修の予定を組み、実施日・内容・参加者を記録に残す方法があります。感染症や虐待防止などの研修と訓練の運用はBCP・感染症・虐待防止・事故対応の運用台帳にまとめています。採用から単独配置までの育成の流れは採用から単独配置・欠員対応までで確認できます。

職場のハラスメント防止の措置(第4項)

第4項が求めるのは、就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置です。e-Govの現行テキストでは、労働施策総合推進法第31条が、事業主に対し、優越的な関係を背景とした言動で業務上必要かつ相当な範囲を超えたものから労働者の就業環境が害されないよう、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じることを求めています。同条は、相談したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いも禁じています。

事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、厚生労働大臣が定める指針で示される仕組みですが、この記事では指針の本文を確認していません。この記事で確認した老企第25号の掲載版(旧課程の記述を含み、最新の改正が反映されていない可能性があります)には、第4項の解釈は載っていませんでした。方針の文書化、相談窓口の設置、周知を整える際は、厚生労働省の指針と指定権者の案内で具体的な内容を確認してください。利用者やその家族など取引先等からの言動への対応は、この記事の対象外です。

事業計画・運営への組み込みと確認先

開業前の事業計画では、勤務表で見える稼働の前提と、研修にかかる時間と費用を人員計画に入れます。採用時期と欠員の影響は人員計画で、移動・待機などの時間を原価にする考え方は労働時間と原価で確認できます。運営規程に書く従業者の職種・員数・職務の内容は運営規程の記載事項と整合させます。

この記事は、条文と通知の掲載版で確認できた範囲の整理であり、個別の事業所が基準に適合するかを判断するものではありません。勤務表の様式、他事業所の職員の扱い、ハラスメント防止の措置の水準など、自治体や個別の事情で判断が分かれる事項は、指定権者に確認してください。確認先の一覧は指定権者に確認する事項の一覧にあります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 事業所ごとに月ごとの勤務表をつくり、訪問介護員等の日々の勤務時間・職務の内容・常勤か非常勤か・管理者との兼務・サービス提供責任者である旨を載せる様式を決める
  2. 訪問介護を提供する人が、雇用契約その他の契約で自事業所の管理者の指揮命令下にあるかを職員ごとに確認し、他事業所の人や委託先に提供を任せていないか点検する
  3. 事業所内の研修と外部の研修機関の研修への参加の機会を、年間の予定として計画的に組み、実施日と参加者を記録する
  4. 職場のハラスメント防止の方針を文書で明確にし、相談の窓口と相談したことで不利益な取扱いをしない旨を職員へ周知する。具体的な措置の内容は厚生労働省の指針と指定権者の案内で確認する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 介護保険負担割合証と後期高齢者医療の窓口負担割合の違い(判定基準・有効期間) →