運営 / 更新 2026-10-14
訪問介護員の健康保険の扶養:令和8年4月から労働契約の賃金で年収130万円を判定
パートや登録の訪問介護員が配偶者などの健康保険の被扶養者になるとき、事業所は労働条件通知書などの書類を求められることがあります。令和8年4月から、給与収入だけの人は、労働契約に書かれた賃金から見込まれる年間収入でも判定できるようになりました。日本年金機構の案内をもとに、基準、必要書類、この判定が使えない記載例を整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者・労務担当者が、パートや登録の訪問介護員から健康保険の被扶養者の届出に必要な書類を求められたときに備えて、令和8年4月からの労働契約内容による年間収入の判定、130万円などの基準、必要書類、この判定が使えない記載例を、日本年金機構の案内で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、労働条件通知書の記載点検表(契約期間の始まりと終わり、所定労働時間または週の勤務日数と時間、賃金の額と手当の金額、通勤手当の金額)と、被扶養者の届出に添える書類の準備表を作成できる状態を目指します。
被扶養者の収入要件は、年間収入130万円未満が基本
日本年金機構の被扶養者の手続きのページによると、被扶養者になるには、収入要件として年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、同居なら収入が被保険者の収入の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額未満であることが求められます。
ここでいう年間収入は、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点と認定された日以降の年間の見込み収入額です。給与所得等の収入がある場合は、月額108,333円以下が目安として示されています。収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、傷病手当金、出産手当金も含まれます。
これは健康保険の被扶養者の基準で、所得税や住民税の扶養とは別の仕組みです。税の扶養は税務署や市区町村に確認してください。
令和8年4月以降は、労働契約の賃金で判定できる場合がある
日本年金機構の2026年5月1日更新のページによると、令和8年4月1日以降は、労働条件通知書などの労働契約内容がわかる書類に書かれた賃金から見込まれる年間収入が130万円未満で、他の収入が見込まれない場合に、同居なら被保険者の年間収入の2分の1未満などの条件を満たせば、原則として被扶養者に該当するものとして取り扱われます。
ここでの賃金は、労働基準法第11条の賃金で、諸手当と賞与も含まれます。同じページは、従来の判定方法では基準額を超えていても、労働契約の段階で基準額を超えていなければ、被扶養者として認定できる可能性があると説明しています。
基準額は、60歳以上や一定の障害者で180万円未満、被保険者の配偶者を除く19歳以上23歳未満で150万円未満です。障害年金など給与以外の収入があると、この方法は使えません。
| 扶養認定を受ける人 | 年間収入の基準 |
|---|---|
| 一般(被保険者の配偶者など) | 130万円未満 |
| 60歳以上、または一定の障害者 | 180万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く) | 150万円未満 |
事業所が用意する書類は、労働条件通知書か雇用契約書
この取り扱いで被扶養者(異動)届に添える書類は2つです。1つは労働契約内容がわかる書類で、労働条件通知書、雇用契約書、または労働条件が記載されている事業主証明(任意様式)のいずれかです。もう1つは、扶養認定を受ける本人からの「給与収入のみである」旨の申立書で、届の申立書欄に氏名とともに書いた場合は別の申立書は要りません。
労働基準法第15条第1項は、使用者に、労働契約の締結に際して賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう定めています。契約のときに数字で書いた労働条件通知書があれば、本人が扶養の届出をするときの書類にもなります。
「シフト制による」などの書き方では、この判定が使えない
日本年金機構のページは、年間収入の判定ができない例として、3つを挙げています。被扶養者になった日から数えて、通知書上の契約期間が1年未満の場合、「シフト制による」といった労働時間の記載が不明確な場合、「通勤手当有」などで手当の金額が不明確な場合です。これらに当たると、この取り扱いでは認定されません。
訪問介護の登録ヘルパーは、利用者の予定に合わせて勤務が決まるため、労働条件通知書の労働時間が「シフトによる」などの書き方になりやすいと考えられます。その場合は、この取り扱いでは判定できず、従来の判定方法になると考えられます(当サイトの整理です)。
どの書き方なら判定に使えるかは、届出先に確認してください。登録ヘルパーの働き方と社会保険の関係は、「訪問介護の登録ヘルパーの雇用契約・移動時間・社会保険」でも確認できます。
事業所が点検しておくこと
扶養内で働きたい人が多い事業所では、労働条件通知書に、契約期間の終わり、週の勤務日数と1日の時間、時給や月給、諸手当と賞与の金額、通勤手当の金額を数字で書いているかを点検しておくと、本人が届出をするときに書類をすぐ渡せます。実際にどう書けるかは、働き方の実態に合わせて決めてください。
社会保険の加入義務の判定は「訪問介護員の社会保険の加入条件と手続き」、採用時の労働条件の明示は「訪問介護の募集時に明示する労働条件」で扱います。
このページの範囲
このページが確認したのは、日本年金機構の2つのページと、e-Gov法令検索の労働基準法(第11条・第15条)です(2026-10-14に確認)。時間外労働の賃金の扱いや、一時的に収入が増えた場合の取り扱い、国民健康保険の人の扱いは確認していません。
個別の人が被扶養者に認定されるかは判断しません。届出先の年金事務所、協会けんぽ、加入している健康保険組合に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- パートや登録の訪問介護員の労働条件通知書を並べ、契約期間が被扶養者になる日から1年以上あるか、期間の終わりが書かれているかを表に写す
- 労働時間が「シフト制による」のような書き方になっていないか、週の勤務日数と1日の時間、または月の所定時間が数字で書かれているかを確かめる
- 時給や月給のほか、諸手当と賞与の金額、通勤手当が「有」だけでなく金額で書かれているかを確かめ、足りない項目は契約を結び直すときに数字で書く
- 本人から「給与収入のみである」旨の申立てを受けられるか確認し、届出に添える労働条件通知書の写しと申立書の提出先(年金事務所、協会けんぽ、健康保険組合)を表に書く
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」(確認日 2026-10-14)
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(確認日 2026-10-14)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「労働基準法(昭和22年法律第49号)第11条・第15条」(確認日 2026-10-14)