運営 / 更新 2026-10-13
訪問介護員の社会保険の加入要件:4分の3基準・週20時間以上の短時間労働者・賃金要件の撤廃
パートや登録ヘルパーの訪問介護員も、週の所定労働時間と月の所定労働日数が同じ事業所の一般社員の4分の3以上なら、健康保険と厚生年金に加入します。4分の3に届かなくても、週20時間以上などの条件を満たす短時間労働者は加入対象になる場合があります。2026年10月1日に、所定内賃金の月額8.8万円以上という賃金要件は撤廃されました。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者が、パートや登録ヘルパーの訪問介護員を健康保険・厚生年金に加入させる必要があるかを、4分の3基準、短時間労働者の要件、2026年10月に撤廃された賃金要件、所定労働時間の判断方法から確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、社会保険の加入判定表(訪問介護員ごとの週の所定労働時間、月の所定労働日数、一般社員との比較、学生か、雇用の見込み、勤め先の企業規模の区分)を作成できる状態を目指します。
まず見るのは、一般社員の4分の3以上かどうか
日本年金機構のQ&Aは、パートタイマーでも事業所と常用的使用関係にあれば被保険者になり、加入の手続きは事業主が行うと案内しています。判断は、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の所定労働時間と所定労働日数を基準に行います。
1週の所定労働時間と1月の所定労働日数の両方が、一般社員の4分の3以上であれば被保険者になります。機構の例では、一般社員が週40時間・月20日なら、週30時間以上かつ月15日以上の従業員が、パートやアルバイトの名称にかかわらず被保険者になります。
訪問介護では、通常は常勤の訪問介護員やサービス提供責任者の所定労働時間が比べる相手の目安になります。自事業所の就業規則や雇用契約書にある所定労働時間と所定労働日数を、先に書き出しておきます。
4分の3に届かない人は、週20時間以上の短時間労働者かを確認する
一般社員の4分の3に届かない人でも、特定適用事業所などで働き、週の所定労働時間が20時間以上で学生ではない場合は、短時間労働者として健康保険・厚生年金の対象になります。厚生労働省の案内では、このほかにフルタイムの従業員と同じく、2か月を超えて雇用される見込みが必要です。
企業規模の要件は、現在は従業員数51人以上の事業所です。厚生労働省の案内では、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月から10人以下の企業も対象になります。従業員数が50人以下の事業所でも、労使合意に基づく申出により、短時間労働者が加入できると日本年金機構は案内しています。
「学生ではない」の学生は、主に高等学校の生徒、大学・短期大学の学生、専修学校の生徒などです。卒業後も引き続き同じ事業所に使用される予定の人、休学中の人、定時制や通信制の人などは、学生でも加入対象です。
| 区分 | 主な要件 | 事業所が確認すること |
|---|---|---|
| 一般の被保険者(4分の3基準) | 週の所定労働時間と月の所定労働日数が、同じ事業所の一般社員のどちらも4分の3以上 | 一般社員の所定労働時間と所定労働日数、本人の雇用契約書の記載 |
| 短時間労働者 | 週の所定労働時間が20時間以上、学生ではない、2か月を超える雇用の見込み、勤め先が対象の企業規模(現在は51人以上)。賃金要件は2026年10月1日に撤廃 | 事業所の従業員数が対象の規模か、2027年10月以降の拡大の日付 |
| 特定減額特例対象者 | 最低賃金の減額特例許可を受け、かつ所定内賃金が月額8.8万円未満の人は、原則として加入対象外。本人の申出で加入できる | 減額特例の許可の有無。申出があれば事業主経由で提出 |
賃金要件は2026年10月に撤廃された。年収106万円は目安にならない
短時間労働者の要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件は、令和7年年金制度改正法に基づき、2026年10月1日に撤廃されました。日本年金機構が同日更新のページで案内しています。厚生労働省のQ&Aも、年収約106万円を気にする必要はないと説明しています。
例外は、最低賃金の減額特例許可を受けていて、所定内賃金が月額8.8万円未満の特定減額特例対象者です。原則として加入対象外ですが、従業員が事業主を経由して日本年金機構に申し出ると加入できます。
厚生労働省の「社会保険加入の要件」のページには、賃金要件を2026年10月に撤廃予定と書いた箇所が残っています。撤廃済みかどうかは、日本年金機構の2026年10月1日更新の案内で確認しています。古い資料の「月額8.8万円以上」の要件を、そのまま採用の説明に使わないよう注意します。
登録ヘルパーの週の所定労働時間は、勤務表の定め方で数える
所定労働時間は、就業規則や雇用契約書等で判断します。週の所定労働時間が定まっていない場合、厚生労働省のQ&Aは3通りを示しています。周期的に変動するなら周期内の1週の平均、1か月単位なら1か月の所定労働時間を52/12で割った値、特定の月だけ例外的に長短があるならその月を除いた通常の月で判断します。
所定労働時間が週20時間未満でも、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上になり、その後も続く見込みなら、3か月目から加入対象です。月ごとの勤務表で訪問件数が変わる登録ヘルパーは、この点が起こりやすいため、事業所の運用として、月次で実績を確認する欄を作る方法があります。
移動時間や待機時間を所定労働時間に数えるかは、雇用契約と勤務表の定めで決まります。移動時間の扱いと登録ヘルパーの雇用契約で整理しており、判断に迷う場合は年金事務所に確認します。
確認した範囲と、事業所が準備すること
このページが確認したのは、日本年金機構のQ&A(パートタイマーの加入義務)、2026年10月1日更新の賃金要件撤廃の案内とリーフレット、短時間労働者の適用拡大のページ、厚生労働省の適用拡大Q&Aと加入要件のページです。保険料の額、標準報酬月額、扶養の判断は扱っていません。
短時間労働者に該当する人が出たら、事業主が被保険者資格取得届を日本年金機構に提出します。届出の際の報酬月額には、時間外手当、精皆勤手当、通勤手当なども含めると、機構は案内しています。法人設立時の届出は法人設立後の届出、雇用保険の加入要件は雇用保険の加入要件で確認してください。
社会保険の対象となる短時間労働者の要件に当たる人は、厚生労働省のQ&Aによると雇用保険にも加入します。個別の判断は、管轄の年金事務所に確認する事項です。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 同じ事業所の常勤の一般社員(サービス提供責任者や常勤の訪問介護員)の週の所定労働時間と月の所定労働日数を就業規則・雇用契約書から書き出し、その4分の3の値を出す。この値以上なら、パートや登録の呼び名に関係なく被保険者になる
- 4分の3に届かない訪問介護員は、週の所定労働時間が20時間以上か、学生でないか、2か月を超えて雇用される見込みかを確認する。登録ヘルパーのように月ごとの勤務表で時間が変わる人は、雇用契約の定め方に応じて周期の平均か1か月の所定労働時間を52/12で割った値で週の所定労働時間を出す
- 所定労働時間が週20時間未満の人も、実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上になっていないかを月次で確認する欄を判定表に設ける。2か月続いてその後も続く見込みなら、3か月目から加入対象になる
- 事業所が短時間労働者の適用対象になる企業規模かを年金事務所の案内で確認し、2027年10月以降の拡大の日付を計画に書いておく。加入が必要な人が出たら事業主が被保険者資格取得届を提出する流れと担当者を決める。数え方に迷う場合は年金事務所に確認する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 日本年金機構「私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。(日本年金機構 Q&A)」(確認日 2026-10-13)
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました(日本年金機構・リーフレット)」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省「適用拡大 Q&A・社会保険加入の要件(社会保険適用拡大特設サイト)」(確認日 2026-10-13)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省「社会保険加入の要件(社会保険適用拡大特設サイト・従業員のみなさま)」(確認日 2026-10-13)