運営 / 更新 2026-10-13

訪問介護員の募集時の労働条件の明示:変更の範囲と更新基準(職業安定法第5条の3)

訪問介護員を募集するときは、求人票や募集広告の段階で、業務の内容や賃金などの労働条件を示す義務があります。2024年4月1日からは、従事する業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期契約を更新する場合の基準の3つが加わりました。この記事は、職業安定法の条文と厚生労働省のリーフレットを2026-10-13に確認し、求人票に何を書くかと、書いた内容を守る注意点を整理します(個別の求人票の適法性は判断しません)。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の事業者が、訪問介護員の求人票や募集広告に書く労働条件と、2024年4月から加わった3つの明示事項、明示のタイミングを、職業安定法と厚生労働省のリーフレットで確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、求人票の明示事項チェック表(業務内容と変更の範囲・就業場所と変更の範囲・契約期間と更新基準と上限・就業時間・休憩・休日・時間外労働・賃金・加入保険・受動喫煙防止措置・募集者の名称・掲載日)を作成できる状態を目指します。

募集時の労働条件の明示と、情報の的確な表示(職業安定法第5条の3・第5条の4)

職業安定法第5条の3第1項は、労働者の募集を行う者が、募集に応じて労働者になろうとする人に、従事すべき業務の内容と賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。ハローワークや職業紹介事業者に求人を申し込むときも、同条第2項で、同じ内容の明示が求人者に義務づけられています。

第5条の4は、広告などで募集の情報を出すときに、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定め、労働者の募集を行う者は情報を正確かつ最新の内容に保たなければならないとしています。厚生労働省のリーフレットでも、募集広告に掲載した時点を明示するなどして、正確で最新の内容に保つ義務があると案内されています。

虚偽の広告や虚偽の条件の提示で労働者の募集を行った場合は、第65条第9号により、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。対象は虚偽の広告や条件の提示であり、求人票に書いた条件と実際の雇用契約の条件が食い違わないように準備しておきます。

2024年4月から追加された3つの明示事項

厚生労働省のリーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」によると、改正職業安定法施行規則により、2024年4月1日から次の3つが明示事項に加わりました。従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)です。

「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中の変更の範囲のことです。業務と就業場所のどちらも、「雇入れ直後」と「変更の範囲」を分けて書くのが、リーフレットの記載例です。

有期契約を更新する場合の基準は、「勤務成績、態度により判断する」「会社の経営状況により判断する」のように具体的に書くことが望ましいとされています。通算契約期間や更新回数に上限があるときは、その上限も書きます。

訪問介護員の求人票での書き方の例(記載の形はリーフレットの例を参考にした本サイトの作例で、内容は事業所の実態に合わせて書く)
項目書く内容訪問介護員の求人での記載の例
従事すべき業務の内容雇入れ直後の業務と、変更の範囲(雇入れ直後)身体介護・生活援助の訪問 (変更の範囲)事業所が提供する訪問介護の業務全般
就業場所雇入れ直後の就業場所と、変更の範囲(雇入れ直後)利用者宅と○○事業所 (変更の範囲)事業所の通常の事業の実施地域内の利用者宅と事業所
有期契約の更新基準更新の有無、判断の基準、上限があればその内容更新あり(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)、通算契約期間の上限は○年

求人票に最低限書く項目と、明示のタイミング

リーフレットが挙げる最低限の明示事項は、業務内容、契約期間(更新の有無と更新上限を含む)、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働の有無、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称です。派遣労働者として雇用する場合は、雇用形態が派遣であることも書きます。

固定残業代を採用しているときは、基本給と手当を分けて、手当に含む時間外労働の時間数と、その時間を超えた分の割増賃金を追加で支払うことを書く例が示されています。登録ヘルパーの時間外や移動時間の扱いは、訪問介護の登録ヘルパーの雇用契約・勤務表・移動時間で整理しています。

求人広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合は、「詳細は面談時にお伝えします」と付して、一部の労働条件を別のタイミングで明示できます。その場合も、原則として、面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示します。面接の過程で当初の条件が変わるときは、変更の内容を速やかに明示します。

雇入れ時の書面との関係と、このページが判断しないこと

リーフレットは、この改正が労働基準法に基づく労働契約締結時の明示義務と同様の改正であると案内しています。求人票に書いた条件は、雇入れのときの労働条件通知書と同じ内容になるように作ります。雇入れ時の書面と名簿・台帳は訪問介護の雇入れ時の労働条件明示と労働者名簿・賃金台帳で整理しています。

このページは、個別の求人票の記載が法令に適合しているか、賃金額が適切かを判断しません。募集の全体の進め方は訪問介護員の採用・研修・定着計画、職業紹介事業者へ払う手数料は訪問介護員の人材紹介手数料の相場と、開業初期費用の採用費への見積り方で扱います。求人票の書き方に迷うときは、ハローワークや都道府県労働局に確認します。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 求人票の下書きに、最低限の明示事項(業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の名称)が全部入っているかを、一覧で照合する
  2. 業務内容と就業場所は、雇入れ直後の内容と、将来の変更の範囲を分けて書く。有期契約のときは、更新の有無、判断の基準、通算契約期間や更新回数の上限を具体的に書く
  3. 求人票の内容と、雇入れ時に交付する労働条件通知書の内容が同じになっているかを照らし合わせる。面接で条件が変わるときは、変更の内容を速やかに書面で伝え、伝えた日を記録する
  4. 募集広告には掲載した日を書き、条件を変えたときや募集を終えたときは速やかに内容を直すか、掲載を取り下げる。求人票の書き方に迷う点は、ハローワークか都道府県労働局に確認し、確認した日と回答の内容を残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の雇入れ時の労働条件明示と労働者名簿・賃金台帳(保存3年) →