開業準備 / 更新 2026-10-14

訪問介護の設備基準:専用の区画・事務室の共用・手指を洗浄する設備(省令第7条)

訪問介護事業所の設備基準を定める省令の条文は、専用の区画を設けることと、必要な設備と備品等を備えることだけです。事務室を別の事業と共用できるかといった細かい扱いは、厚生労働省の留意事項通知(老企第25号)が補っています。このページは、省令第7条と通知の「設備に関する基準」で、訪問介護の事業所に求められる設備を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護の開業準備者が、物件を決める前に、省令第7条と留意事項通知で事務室・区画・設備の基準を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、物件の設備基準チェック表(事務室の共用の有無、区画の特定方法、相談のスペース、手指を洗う設備の位置、指定権者に確認した日)を作成できる状態を目指します。

省令第7条が求めること:専用の区画と、必要な設備・備品等

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第7条第1項は、指定訪問介護事業所に、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、指定訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならないと定めています。

条文は、事務室の面積や設備の品目を数値で決めていません。事業の運営に必要な広さと必要な設備・備品等が基準で、何が必要かは通知の説明と指定権者の確認で決まります。

事務室:専用が望ましいが、他の事業と共用できる場合がある

通知は、指定訪問介護事業所には、事業の運営に必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいとしています。望ましいという書き方で、専用の事務室を必須とはしていません。

間仕切りをするなどして、他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えないとされています。さらに、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるとされています。

つまり、共用の事務室で始めるときも、訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されている必要があります。どの程度で明確とみなされるかは、指定権者の事前相談で確認します。

事務室・区画に必要なスペース:相談と利用申込の受付

通知は、事務室または区画について、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとしています。訪問介護は利用者の自宅で提供するサービスですが、事業所には、利用申込みの受付や相談に対応する場所が必要です。

適切なスペースの具体的な広さや、相談の場所を事務室と別にするかは、通知に数値がありません。指定を受ける指定権者の事前相談で確認します。

設備・備品等:手指を洗浄する設備など感染症予防の設備への配慮

通知は、指定訪問介護事業者に、指定訪問介護に必要な設備及び備品等を確保するよう求めています。特に、手指を洗浄するための設備等、感染症予防に必要な設備等に配慮することとされています。

通知に品目の一覧はありません。手指を洗浄するための設備は、通知が例として挙げている設備です。ほかにどの品目を備えるかは、事業所の運営に必要かどうかで判断し、指定権者に確認します。

日々の手指衛生や防護具の使い方は、感染対策の手引きで整理しています。

同一敷地内の他の事業所の設備を使える場合と、貸与でもよいこと

通知は、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合で、指定訪問介護の事業やその他の事業所・施設等の運営に支障がないときは、その事業所・施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用できるとしています。

また、事務室・区画、設備及び備品等は、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えないとされています。賃貸の物件で始める場合にも、設備基準の面では所有は求められません。

物件を借りる前の確認項目は、物件・設備・ICTの選び方で費用の面から整理しています。

第一号訪問事業と一体的に運営する場合

省令第7条第2項は、指定訪問介護事業者が第一号訪問事業の指定事業者の指定を併せて受け、同一の事業所で一体的に運営している場合は、市町村の定める第一号訪問事業の設備に関する基準を満たすことで、第1項の基準を満たしたものとみなせるとしています。

訪問介護の設備基準の整理(省令第7条・老企第25号、2026-10-14確認)
項目内容根拠
専用の区画事業の運営に必要な広さを有する専用の区画を設ける省令第7条第1項
事務室専用が望ましい。間仕切り等で明確に区分されれば他の事業と同一でもよい通知 第三の2(1)
区画の特定区分がなくても業務に支障がなければ、訪問介護の区画が明確に特定されていればよい通知 第三の2(1)
相談のスペース利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保する通知 第三の2(2)
設備・備品等手指を洗浄するための設備等、感染症予防に必要な設備等に配慮する省令第7条第1項、通知 第三の2(3)
他の事業所の設備同一敷地内で運営に支障がなければ使用できる通知 第三の2(3)
所有貸与を受けているものでもよい通知 第三の2(3)

このページの範囲

このページが確認したのは、省令第7条の条文と、老企第25号の「設備に関する基準」です。通知のこの部分は、老企第25号の一部改正の新旧対照表で改正前後が同じ文言であることを確認しています。令和6年3月の改正の新旧対照表には、この部分の改正は見当たりませんでした。

自治体が独自に定める設備の要件、面積の目安、個別の物件が基準を満たすかの判断は扱っていません。物件の契約前に、指定を受ける指定権者へ確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 候補の物件で、訪問介護の事業を行う区画を図面に書き、他の事業や住居と共用する範囲があるかを書く
  2. 共用する場合は、間仕切りなどで区分するか、区画を明確に特定する方法を決め、指定権者に確認する
  3. 利用申込の受付や相談に使うスペースがどこかを書き、手指を洗浄する設備など感染症予防の設備の場所と数を確認する
  4. 同一敷地内の他の事業所の設備を使う場合は、運営に支障がないことの説明を用意し、貸与の設備を使う場合は契約書の写しと合わせて指定権者に確認した日を控える

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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