運営 / 更新 2026-10-12

有期契約の訪問介護員の無期転換ルール:通算5年超の申込みと更新時の書面明示

訪問介護事業所が有期労働契約で雇う訪問介護員は、同じ事業所との契約が通算で5年を超えると、本人の申込みで期間の定めのない契約に転換できます。事業所は申込みを断れず、申込権が生じる契約を更新するときには、申込みができる旨を書面で伝える義務もあります。この記事は、労働契約法第18条と厚生労働省のQ&Aを、2026-10-12に確認した範囲で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

有期労働契約で訪問介護員を雇う事業者が、通算契約期間が5年を超えた労働者の無期転換の申込みへの対応と、更新時の書面明示を、労働契約法第18条と厚生労働省のQ&Aで確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、有期契約の訪問介護員の通算契約期間管理表(契約の始期・終期・空白期間・通算年月・申込権の発生日・更新時の書面明示の記録)を作成できる状態を目指します。

無期転換ルールの仕組み(労働契約法第18条)

労働契約法の第18条第1項は、同一の使用者との間で結んだ2以上の有期労働契約の契約期間を通算して5年を超える労働者が、現在の有期契約の期間が満了する日までに無期の労働契約の申込みをしたとき、使用者は申込みを承諾したものとみなすと定めています。事業所は断ることができません。

厚生労働省のQ&Aによると、対象は原則として、通算5年を超えるすべての有期契約の労働者で、契約社員、パート、アルバイトなどの名称は問いません。訪問介護員も、有期契約で雇われていれば同じです。申込みは口頭でも法律上は有効ですが、トラブルを防ぐため書面で行うことが勧められています。

申込みができる時期は、通算5年を超える有期契約の初日から末日までのいつでもです。その契約中に申込みをしないで更新した場合も、新しい契約の初日から末日までの間は、いつでも申込みができます。

通算契約期間の数え方と、契約の間に空白があるとき

通算契約期間は、同一の使用者との有期契約の期間を足します。契約と契約の間に、どちらの契約期間にも含まれない空白期間があり、それが一定以上のときは、空白より前の契約が通算から除かれます。これをクーリングといいます。

法第18条第2項は、空白期間が6か月以上のときを基本とし、空白の直前の契約期間が1年に満たないときは、その期間に応じて短い期間を定めています。厚生労働省のQ&Aは、空白期間の長さの目安を次の表のように示しています。

例として、Q&Aには、3年間働いて自分の都合で退職し、3か月後に同じ会社で再び働き始めた場合、前の契約期間が1年以上で空白が6か月未満のため、前の3年間も通算される例が載っています。

空白期間によって前の契約が通算から除かれる目安(厚生労働省のQ&Aより)
空白の前の契約期間(通算)前の契約が通算に含まれなくなる空白期間
1年以上6か月以上
2か月以下(1年未満)1か月以上
2か月超〜4か月以下2か月以上
4か月超〜6か月以下3か月以上
6か月超〜8か月以下4か月以上
8か月超〜10か月以下5か月以上
10か月超(1年未満)6か月以上

更新時に事業所がすること:書面での明示と、転換後の労働条件

厚生労働省のQ&Aは、無期転換の申込権が生じる有期契約を更新するとき、使用者は、無期転換を申し込むことができる旨と、無期転換後の労働条件を、労働者に書面で明示する必要があると説明しています。根拠は労働基準法施行規則第5条第5項・第6項です。初めて申込権が生じた契約の後も、更新のたびに明示が必要です。

転換後の労働条件は、労働協約、就業規則、個々の労働契約に別段の定めがある部分を除き、直前の有期契約と同一になります。法第18条第1項も、契約期間を除く労働条件は現在の有期契約と同一とすると定めています。正社員になるかどうかや、転換後の雇用区分は、会社の制度によって異なります。

申込みの期限を就業規則に定めること自体は禁止されていませんが、契約の期間が満了する日までに申込みがあった場合は、申込みが有効とされる可能性があるとQ&Aは述べています。就業規則で定めるときは、労働者への周知と内容の合理性が必要です。

訪問介護事業所での管理の手順と、このページが判断しないこと

訪問介護事業所では、有期契約の訪問介護員ごとに契約の始期と終期、更新の回数、空白期間を一覧にして、通算契約期間が5年を超える日を管理します。申込権が生じる契約を更新するときは、書面での明示を忘れないよう、更新の手続きの手順書に入れておきます。明示事項の一般は雇入れ時の労働条件の明示と賃金台帳にまとめています。

このページは、無期転換後の賃金や役職の設計、雇止めの有効性、契約更新の上限を設けることの可否を判断しません。厚生労働省のQ&Aは、無期転換を避ける目的で申込権が生じる前に雇止めをすることは、法の趣旨に照らして望ましくないと述べています。個別の判断は、社会保険労務士、弁護士、都道府県労働局に確認します。

登録ヘルパーの雇用の形は登録ヘルパーの雇用の整理、退職時の手続きは訪問介護員の退職時手続きも参照します。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 有期契約の訪問介護員ごとに、契約の始期と終期、更新の回数、契約と契約の間の空白期間を一覧にして、通算契約期間が5年を超える日を計算し、管理表に記録する
  2. 通算契約期間が5年を超える契約を更新するときは、無期転換を申し込むことができる旨と、転換後の労働条件を書面で明示し、交付した日を記録する
  3. 無期転換の申込みを受けたときの受付の担当者と、書面で受け付ける手順を決め、申込みの日と転換の日を管理表に記録する。申込みの期限を就業規則に定める場合は、周知と内容の合理性を社会保険労務士に確認した記録を残す
  4. 転換後の労働条件を、就業規則や個々の契約に定めがあるかを確かめ、定めがなければ直前の有期契約と同一になることを前提に、賃金・勤務時間・業務内容を確認して記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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