運営 / 更新 2026-10-14
常勤・専ら従事・勤務延時間数の定義:週32時間の基準と併設事業所の勤務時間の合算
訪問介護の人員基準には「常勤」「専ら従事する」「勤務延時間数」という言葉が出てきます。意味を取り違えると、管理者や訪問介護員等の数を満たしているつもりでも、指定申請の勤務形態一覧表で人数の数え方がずれます。このページは、厚生労働省の留意事項通知(老企第25号)の「用語の定義」で、4つの用語の意味と、週32時間の基準、併設事業所の勤務時間を合算できる場合を整理します。
この記事で決めること
訪問介護の管理者や開業準備者が、人員基準で使う常勤・専ら従事・勤務延時間数の意味と、週32時間や併設事業所の兼務の扱いを、厚生労働省の通知で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、職員ごとの常勤・専従の確認表(常勤の時間数、職員の週の勤務時間、他の職務の有無、併設事業所の勤務時間、指定権者に確認した日)を作成できる状態を目指します。
「常勤」とは:事業所が定めた常勤の時間数に達していること
通知は、常勤を、その事業所での勤務時間が、事業所で定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していることと説明しています。正社員か非正規かといった雇用形態では決まりません。
常勤の従業者が勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は、32時間を基本とします。たとえば就業規則で常勤を週30時間と定めていても、基準上は週32時間を基本に数えます。週40時間と定めている事業所は、その時間数が基準になります。
短時間勤務の職員を常勤として扱える30時間の例外
通知は例外も定めています。母性健康管理措置、または育児・介護・治療のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている職員は、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合に、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱えます。
令和6年3月の改正の新旧対照表では、この例外の対象に、厚生労働省の治療と仕事の両立支援のガイドラインに沿って事業者が自主的に講じる短縮措置が加わっています。改正前は、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置が対象でした。
この例外は、事業所が定めた常勤の時間数に対して、短縮措置を受けている職員の分だけ緩める扱いです。誰に適用できるか、処遇に支障がない体制が整っているかは、事業所が根拠を示して指定権者に確認します。
併設事業所の勤務時間を合算できる場合
通知は、同一の事業者が併設する事業所の職務で、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれの勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすと定めています。
例として通知は、同一の事業者の指定訪問介護事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合に、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している人を挙げています。その人は、勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤の要件を満たします。
合算できるのは、同一の事業者が併設する事業所の職務のうち、同時並行的に行って差し支えないものです。別の法人の事業所の勤務は合算できません。どの職務の組み合わせが認められるかは、訪問介護の人員基準の管理者の兼務と合わせて、指定権者に確認してください。
「専ら従事する」とは:サービス提供時間帯を通じて他の職務をしないこと
通知は、専ら従事する(専ら提供に当たる)を、原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことと説明しています。
ここでいうサービス提供時間帯は、その従業者のその事業所における勤務時間をいいます。常勤か非常勤かは問いません。つまり、専ら従事することは、週に何時間働くかではなく、自分の勤務時間のあいだ他の職務をしないことを求めています。
「常勤」と「専ら従事」は別の条件です。管理者のように「専らその職務に従事する常勤」と書かれた職種は、両方を満たす必要があります。
「常勤換算方法」と「勤務延時間数」:何時間を数えるか
常勤換算方法は、事業所の従業者の勤務延時間数を、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本)で割って、従業者の人数を常勤の人数に換算する方法です。訪問介護員等は常勤換算で2.5以上が基準です。計算例は訪問介護の人員基準と配置の計画で確認できます。
勤務延時間数は、勤務表上、サービスの提供に従事する時間、またはサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む)として明確に位置付けられている時間の合計です。勤務表に載っていない時間は算入できません。
従業者1人について勤務延時間数に算入できる時間は、事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限です。週50時間働く職員がいても、常勤の時間数が週40時間なら40時間までしか数えません。
訪問介護と訪問看護の指定を重複して受けている事業所で、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務している場合、訪問介護員等の勤務延時間数に入れるのは、訪問介護員等として働いた時間だけです。
| 用語 | 意味 | 数え方で気をつける点 |
|---|---|---|
| 常勤 | 事業所が定めた常勤の従業者の勤務時間数に達している | 常勤の時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。短縮措置を受けている職員は例外的に30時間 |
| 専ら従事する | サービス提供時間帯を通じて、そのサービス以外の職務をしない | 常勤か非常勤かを問わない。自分の勤務時間が基準 |
| 勤務延時間数 | 勤務表上、サービス提供や準備等(待機を含む)に明確に位置付けた時間の合計 | 1人あたりの算入は、常勤の従業者が勤務すべき時間数が上限 |
| 常勤換算方法 | 勤務延時間数を常勤の時間数で割り、常勤の人数に換算する | 他のサービスと兼務する人は、そのサービスに従事した時間だけを入れる |
このページの範囲
このページが確認したのは、老企第25号の「用語の定義」と、令和6年3月の改正の新旧対照表です。登録訪問介護員など勤務日や勤務時間が不定期な職員の勤務延時間数の数え方、出張所等の扱い、勤務形態一覧表の記載の細かい決まりは扱っていません。
個別の職員や事業所が条件を満たすかは、指定を受ける都道府県・市町村などの指定権者に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 就業規則で定めた常勤の従業者の勤務時間数を書く。32時間を下回る場合は32時間を基本として数える
- 管理者などの常勤が必要な職種ごとに、その事業所での週の勤務時間を書き、常勤の時間数に達しているかを確かめる
- 同一の事業者の併設事業所の職務を兼ねる職員は、事業所ごとの勤務時間を並べて合計し、同時並行的に行って差し支えない職務かを指定権者に確認して控える
- 短縮措置を受けている職員がいる場合は、30時間として扱う根拠と、利用者の処遇に支障がない体制を書き、指定権者に確認した日を控える
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。