運営 / 更新 2026-10-16

訪問介護の時間単位の年次有給休暇:労使協定の事項・年5日以内・年5日の取得義務との関係

年次有給休暇は原則として1日単位ですが、労働基準法第39条第4項は、事業場の労使協定を結べば、年5日以内の範囲で時間単位で与えられると定めています。訪問介護の登録ヘルパーのように日ごとに働く時間が違う職員がいる事業所で、協定に何を定め、就業規則に何を書き、年5日の取得義務とどう関わるかを、条文と厚生労働省のパンフレットで確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の事業者が、登録ヘルパーやパートの職員に時間単位の年次有給休暇を認めるとき、労使協定にどの事項を定め、就業規則に何を書き、労働基準監督署への届出が要るか、年5日の取得義務の日数に数えられるかを、労働基準法第39条第4項と施行規則第24条の4、厚生労働省のパンフレットで確認する。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、時間単位年休の導入メモ(対象者、年間の日数、1日分の時間数、取得の単位、就業規則の条文と労使協定の保管場所)を作成できる状態を目指します。

結論:労使協定と就業規則が要り、時間単位で取れるのは年5日以内

労働基準法第39条第4項は、使用者が、事業場の過半数労働組合(無いときは過半数代表者)との書面による協定で、時間単位で有給休暇を与えることができる労働者の範囲と、時間単位で与えることができる日数(5日以内に限る)を定めたときに、その範囲の労働者が時間単位で請求すれば、協定の定めに従って時間単位で与えることができるとしています。

厚生労働省のパンフレットは、導入には就業規則への記載と労使協定の締結の両方が必要で、労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はないと説明しています。

この記事は、条文とパンフレットの原文で確認できた範囲を書いています。事業所ごとの協定の文面や、職員の個別の所定労働時間から出る時間数の判断はしません。

労使協定で決める4つの事項

パンフレットは、労使協定で定める項目を次のとおり示しています。対象者と日数は法第39条第4項の第1号・第2号の事項、1日分の時間数と1時間以外の単位は、同項第3号に基づき施行規則第24条の4が定める事項です。

時間単位年休の労使協定で定める事項(労働基準法第39条第4項・施行規則第24条の4・厚生労働省のパンフレット)
事項決める内容
対象者の範囲時間単位で取れる労働者の範囲。一部の者を対象外にするのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られ、育児を行う労働者など、取得目的で範囲を定めることはできない
日数1年について5日以内
1日分の時間数1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に当たるか。1日の所定労働時間数を下回らない時間数にし、1時間に満たない端数は切り上げる(所定労働時間が7時間30分なら8時間)
1時間以外の単位2時間単位など、1時間以外の単位で与えるときの時間数。1日の所定労働時間数に満たない整数の時間とする

日によって働く時間が違う登録ヘルパーの1日分の時間数

施行規則第24条の4は、1日分の時間数について、1日の所定労働時間数を下回らないものとし、日によって所定労働時間数が異なる場合は、1年間における1日平均所定労働時間数を下回らないものとすると定めています。

訪問介護の登録ヘルパーは、勤務表で働く日と時間が月ごとに決まり、日によって所定労働時間が違うことがあります。その場合の1日分の時間数は、1年間の1日平均の所定労働時間を基準に決めます。登録ヘルパーの雇用契約と勤務表の考え方は訪問介護の登録ヘルパーの雇用契約・勤務表・移動時間で確認できます。

平均の出し方の細かい扱いは、この記事で確認した条文とパンフレットには書かれていません。算出に迷うときは、労働基準監督署または社会保険労務士に確かめてください。

就業規則に書くこと

パンフレットは、時間単位年休を導入するには、就業規則に年次有給休暇の時間単位での付与を定める必要があると説明しています。規定の例として、労使協定に基づき1年について5日の範囲で付与すること、対象者、1日分に相当する時間数、1時間単位で付与すること、時間単位年休に支払う賃金額を定めることなどが示されています。

例では、時間単位年休に支払う賃金は、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間数を掛けた額とされています。賃金の額の決め方には労働基準法に別の定めがあり、この記事では確認していないため、条文は労働基準監督署または社会保険労務士に確かめて作ります。

就業規則そのものの作成と届出は訪問介護事業所の就業規則と36協定:作成・届出が必要な人数、意見聴取、周知の方法で確認できます。

時間単位で取った分は、年5日の確実な取得の日数に入らない

使用者は、年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に、年5日の年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。パンフレットは、時間単位年休の取得分については、確実な取得が必要な5日から差し引くことはできないと明記しています。

このため、登録ヘルパーが時間単位で取った分は、年5日の確実な取得の日数に数えられません。年5日の時季指定の考え方と、年次有給休暇管理簿は訪問介護事業所の年次有給休暇:付与日数、年5日の時季指定義務、年次有給休暇管理簿で確認できます。

時間単位で取った日数は、1日単位などで取った日数とは別に把握しておくと、年5日の取得状況を点検するときに混ざりにくくなります。

この記事で確認していないこと

この記事は、労働基準法第39条第4項、施行規則第24条の4、厚生労働省のパンフレットで確認できた範囲だけを書いています。時間単位で取った分の賃金の端数処理、時間単位年休を使った時間の勤務表への反映、移動時間や待機時間と重なる場合の扱い、時間単位年休を導入するかどうかの判断は、この記事では確認していません。

導入するかどうかや協定の文面は、事業所の勤務の実態によって変わるため、労働基準監督署または社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 時間単位で取りたい職員がいるかを確かめ、対象者の範囲を決める(一部を外すときは事業の正常な運営を妨げる場合に限られ、取得目的で範囲を分けることはできない)
  2. 労使協定に定める事項(対象者、年5日以内の日数、1日分に相当する時間数、1時間以外の単位にするときの時間数)を、職員ごとの所定労働時間を見て決める
  3. 過半数労働組合または過半数代表者と書面で協定を結び、事業所に保管する(労働基準監督署への届出は不要)
  4. 就業規則に時間単位での付与を定め、時間単位で取った分は年5日の確実な取得が必要な日数から差し引かないことを、取得状況の記録で分かるようにしておく

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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