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事業計画 / 更新 2026-10-17

訪問介護の「稼働率」の計算式と平均:指定基準に定義なし、公的な平均値もなし

訪問介護の「稼働率」という言葉は、指定基準や報酬告示に定義がなく、計算の中身が事業所やサイトによって異なります。この記事では、稼働率という言葉が制度上どう位置づけられるか、一般的な計算式と本サイトのシミュレーターの対応、隣接する受入可能件数の記事との役割分担を整理します。

この記事の要点

制度上の位置づけ
指定基準にも報酬告示にも「稼働率」の定義はなく、「稼働率◯%以上」という要件もない。事業所が自主的に使う経営管理の指標
一般的な計算式
サービス提供時間の合計 ÷ 勤務延時間(給与支払の対象になる時間)の合計
本サイトの扱い
シミュレーターでは「提供時間比率」として、サービス提供時間の合計 ÷ 有給時間の合計で求める
注意
移動・待機・記録などを分母に含めるかで値が変わるため、他社の数値と比べるときは分母の定義をそろえる

指定基準に定義がない訪問介護の「稼働率」

訪問介護の人員・設備・運営の基準を定める「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の条文を確認すると、「稼働」「稼働率」という語自体が使われていません。介護報酬の算定要件や人員基準は、稼働率の水準を満たすことを求めたり、稼働率の計算方法を定めたりしていません。

そのため「稼働率◯%以上でなければならない」という指定基準上の要件は存在せず、稼働率は各事業所が自主的に使う経営管理上の指標です。検索結果や業者サイトで見かける計算式が微妙に異なるのは、公定の定義が無く、それぞれが独自に定義しているためです。

この記事で決めること

「稼働率」という言葉の意味・計算式・制度上の位置づけを確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、稼働率(提供時間比率)の定義を固定した確認シートを作成できる状態を目指します。

一般的な計算式と、本サイトのシミュレーターでの扱い

稼働率の計算式としてよく使われるのは、「サービス提供時間の合計÷勤務延時間(給与支払の対象になる時間)の合計」という形です。分子はヘルパーが実際に利用者へサービスを提供した時間、分母は給与の支払対象となる時間全体で、提供時間に加えて移動・待機・記録等を含みます。

本サイトのシミュレーターでは、この考え方を「提供時間比率」として実装しています。時給職員ごとに入力した有給時間(paidHours)とうちサービス提供時間(serviceHours)を全職員分合計し、サービス提供時間の合計÷有給時間の合計で算出します(結果欄のproductiveRate)。呼び方は「稼働率」ではなく「提供時間比率」としていますが、計算の考え方は同じです。

提供時間比率を計算する

月間の有給時間とサービス提供時間を入れると、提供時間÷有給時間を計算します。

有給時間とサービス提供時間を入力すると、提供時間比率を表示します。

この計算に入れない事情は、キャンセルの発生、緊急対応の余白、職員ごとの勤務時間帯の違いです。分母に何を含めるかで値が変わるため、前の節で定義を確認してから入力してください。

シミュレーターの「人員と提供能力」へ進む →

分子・分母に何を入れるか(field-capacity記事との役割分担)

移動時間・待機時間・記録時間・研修同行の時間を、給与支払対象の勤務時間(分母)に含めるかどうかは、厚生労働省の通知に基づく労働時間該当性の判断が前提になります。この判断の考え方は、受入可能件数の見直し方(稼働実績から見直す訪問介護の受入可能件数)の「労働時間に含めるかどうかの考え方」で解説しているので、そちらを確認してください。

この記事では「稼働率という言葉の意味と計算式」を扱い、受入可能件数への展開(何件まで新規を受け入れられるか)は受入可能件数の記事が担当します。同じproductiveRateという計算結果を、稼働の実態把握に使うか、受入余力の判断に使うかで役割を分けています。

分母の定義で稼働率が変わる数値例(架空の1か月)

同じ月の実績でも、分母に何を入れるかで稼働率は変わります。次の表は計算の形を示す架空の数値例です。仮に、ある職員の1か月が、サービス提供100時間、利用者宅間の移動20時間、待機・記録・打合せ40時間で、給与の支払対象が合計160時間だったとします。

分母を給与支払時間の全体(160時間)にすると、稼働率は100÷160で62.5%です。分母をサービス提供と移動だけ(120時間)にすると、100÷120で約83.3%になります。実績は同じでも、約20ポイントの差が出ます。

このため、稼働率の数字だけを他の事業所やサイトの数字と並べても比較になりません。どちらの定義を使う場合も、事業所内で分子と分母の定義を一つに固定し、月ごとに同じ定義で記録してください。

分母の定義による稼働率の違い(架空の数値)
分母の定義分子(サービス提供時間)分母稼働率
給与支払時間の全体100時間160時間(提供100+移動20+待機・記録等40)62.5%
サービス提供時間+移動時間100時間120時間(提供100+移動20)約83.3%

訪問介護の稼働率の平均はいくつか:公的な平均値はなく、訪問回数で見る

厚生労働省の「令和7年度介護事業経営概況調査結果」(令和5年度・令和6年度決算、令和7年5月調査)の本文には、「稼働率」という語がありません。訪問介護の稼働率の全国平均を示した公的な数値は、この調査にはありません。

業者サイトなどで見かける「全国平均◯%」の数値は、出典原文を確認できないため掲載しません。

代わりにこの調査の訪問介護(有効回答638事業所)の第4表で確認できるのは、令和6年度決算の1事業所あたり月平均で、延べ訪問回数が853.3回、常勤換算職員数が7.4人、常勤換算職員1人あたりの訪問回数が116.0回、訪問介護員の常勤換算1人あたりの訪問回数が137.1回です。これは稼働率ではなく、訪問回数で見た提供量の平均です。

サービス提供時間÷勤務時間の比率ではないため、自事業所の稼働率と直接は比べられません。

自社の稼働状況を確認するときは、全国平均と比べることよりも、まず自分の事業所の定義(分子・分母に何を含めるか)を固定し、月ごとの推移や職員ごとのばらつきを見ることを優先してください。

稼働率を見たあとの割り当ての組み方

稼働率を月ごとに見て、移動の時間や訪問のあいだの空きが大きいときに、担当の決め方と訪問の間隔をどう組み直すかは、「訪問介護の訪問割り当てと移動時間の組み方」で整理しています。

ほかの経営指標と並べて見る

稼働率が時間で測る指標であるのに対し、人件費率・収支差率は収入を分母にした割合です。4つの指標を並べた表は訪問介護の経営指標の早見表:稼働率・人件費率・損益分岐点・収支差率にあります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 分子(サービス提供時間)と分母(勤務延時間)に何を含めるかを決める
  2. 移動・待機・記録時間の労働時間該当性をfield-capacity記事で確認する
  3. 職員別の有給時間とサービス提供時間をシミュレーターへ入力する
  4. 結果欄の提供時間比率(productiveRate)を月ごとに記録して推移を見る

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。

事業計画ツールを開く →

この例で収支を試算する →(月約700回の事業所規模のモデル例を入力した状態で開きます。厚生労働省の調査の月平均から換算したモデル値で、公定値ではありません)

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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