運営 / 更新 2026-10-12

訪問介護事業所の高年齢者の雇用:65歳までの雇用確保の義務と70歳までの努力義務

訪問介護事業所が定年を65歳未満に定めているときは、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを講じることが法律で義務づけられています。65歳から70歳までの就業機会の確保は努力義務です。この記事は、高年齢者雇用安定法と厚生労働省の資料を、2026-10-12に確認した範囲で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護員を雇用する事業者が、定年・継続雇用制度について、65歳までの高年齢者雇用確保措置の義務と70歳までの就業確保措置の努力義務、毎年の雇用状況報告を、高年齢者雇用安定法と厚生労働省の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、高年齢の訪問介護員の雇用確認表(定年と継続雇用制度の内容・65歳までの措置の確認・70歳までの努力義務の対応・年次報告の日付)を作成できる状態を目指します。

年齢ごとに、義務と努力義務を並べる

高年齢者雇用安定法は、定年を定めるときの年齢と、定年後の雇用の確保について、事業主に次の定めを置いています。数えるのは事業主ごとで、訪問介護の事業所が小規模でも、定年を定めていれば対象です。

定年は60歳を下回れません(法第8条)。定年を65歳未満に定める事業主は、65歳までの雇用を確保するため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを講じなければなりません(法第9条第1項)。

高年齢者の雇用に関する定め(高年齢者雇用安定法・厚生労働省の資料で確認、2026-10-12)
年齢定めの強さ内容
60歳未満の定年原則禁止(法第8条)定年を定めるときは60歳以上とする
65歳まで義務(法第9条)定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年の廃止のいずれかを講じる
65歳から70歳まで努力義務(法第10条の2)定年の引上げ・定年の廃止・70歳までの継続雇用制度・業務委託契約の制度・社会貢献事業への従事の制度のいずれかを講ずるよう努める

65歳までの措置:継続雇用制度は原則として希望者全員

継続雇用制度は、現に雇用している高年齢者が希望するときは、定年後も引き続いて雇用する制度です(法第9条第1項第2号)。厚生労働省の資料は、継続雇用制度の適用者は原則として「希望者全員」としています。

措置を講じない事業主は、ハローワークの指導を受けても具体的な取り組みを行わないと、勧告書が出され、従わない場合は企業名が公表されることがあります(厚生労働省の資料。法第10条の3は70歳までの措置について、厚生労働大臣による指導・助言と、計画の作成の勧告を定めています)。

登録型の訪問介護員など、定年を定めていない働き方がある場合は、定年の定めがあるのはどの雇用区分かを、就業規則と雇用契約書で区分ごとに確かめます。区分ごとの扱いが分からないときは、社会保険労務士や都道府県労働局へ確認します。

65歳から70歳まで:努力義務と、選べる5つの措置

努力義務を負うのは、定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主と、70歳以上までの継続雇用制度ではない継続雇用制度を導入している事業主です(法第10条の2第1項、厚生労働省の資料)。定年がない、または70歳以上の定年を定めている事業主は、この努力義務の対象になりません。

選べる措置は5つです。70歳までの定年の引上げ、定年の廃止、70歳までの継続雇用制度の導入のほか、高年齢者が希望するときに、70歳まで継続的に業務委託契約を結ぶ制度、事業主が行う社会貢献事業などに従事できる制度があります。業務委託と社会貢献事業は創業支援等措置と呼ばれ、創業支援等措置を導入するときは、労働者の過半数を代表する者などの同意を得る必要があります(法第10条の2第1項ただし書・第2項)。

努力義務であり、定年を70歳へ引き上げることを義務づけるものではありません。事業所の人員計画に合わせて、どの措置を選ぶか、あるいは現状を維持するかを決め、判断の理由を記録します。

就業規則の変更と、毎年の雇用状況報告

定年や継続雇用の措置を変更・新設するときは、就業規則の変更が必要です。常時10人以上の労働者を使用する使用者は、変更した就業規則を労働基準監督署長へ届け出ます(厚生労働省の資料)。就業規則の作り方と届出は訪問介護事業所の就業規則と時間外労働の協定で確認できます。

高年齢者雇用状況等報告は、毎年6月1日時点の状況を、7月15日までに厚生労働大臣へ報告するものです(法第52条第1項、厚生労働省の資料)。事業所の規模にかかわらず、すべての事業主が対象で、郵送のほか電子申請で提出できます。年間カレンダーに日付を入れておきます。

このページは、個々の職員への対応の可否、定年後の賃金の決め方、年金や助成金との関係を判断しません。退職時の手続きは訪問介護員の退職時手続き、登録型の訪問介護員の雇用は登録ヘルパーの雇用契約と社会保険で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 就業規則と雇用契約書で、定年の定めの有無と年齢、定年後の継続雇用制度の内容を確認し、定年が60歳を下回っていないか、65歳未満なら65歳までの措置のいずれを選んでいるかを表に書く
  2. 継続雇用制度を設けている場合は、希望者が対象から外れていないかを確認し、変更するときは就業規則を改めて、常時10人以上の労働者を使用するときは労働基準監督署へ届け出た日を記録する
  3. 65歳から70歳までの就業確保措置について、定年の引上げ・廃止・継続雇用・業務委託・社会貢献事業のどれを検討するかと、努力義務であることを踏まえた判断を記録する
  4. 毎年6月1日時点の高年齢者の雇用状況を、7月15日までに厚生労働大臣へ報告する日程を年間カレンダーに入れ、提出した日と方法を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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