運営 / 更新 2026-11-07
特定福祉用具販売の苦情処理:窓口・記録・市町村と国保連への協力(基準第216条)
特定福祉用具販売の事業者は、利用者や家族から苦情を受けたら、窓口を設けて受け付け、内容を記録し、市町村や国民健康保険団体連合会(国保連。介護保険の苦情処理を担う公的な団体)の調査には協力して、指導や助言を受けたら改善しなければなりません。この記事は、指定基準(平成11年厚生省令第37号)の第36条と、これを特定福祉用具販売に準用する第216条、記録の保存を定める第215条を、2026年11月7日にデジタル庁のe-Gov法令検索で確かめ、整理したものです。
苦情処理の定めは第36条を準用している(第216条)
特定福祉用具販売には、苦情処理だけを定める独立した条文はありません。第216条が、第36条を含む複数の条を特定福祉用具販売の事業について準用しており、苦情処理はその中に入っています。第36条の主語は訪問介護の事業者ですが、準用の規定により、特定福祉用具販売の事業者に同じ決まりが及びます。
第216条は、「訪問介護員等」を「福祉用具専門相談員」や「従業者」に読み替えるなど、いくつかの条で言葉を置き換えています。読み替えの対象に第36条は挙がっていないため、窓口の設置から国保連への報告までの6つの項は、条文の文言のまま当てはまります。
この記事で決めること
特定福祉用具販売事業所(開設を考える人を含む)が、利用者や家族から苦情を受けたときに、窓口の設置、記録、市町村や国民健康保険団体連合会の調査への協力、改善の報告をどう行う決まりかを、指定基準の原文で確かめる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、特定福祉用具販売の苦情受付と対応の記録様式(受付日・苦情の内容・対応・改善の内容を書く欄)と、市町村・国保連の調査に協力して改善を報告する担当と順番の一覧を作成できる状態を目指します。
窓口の設置と苦情の記録(第1項・第2項)
第1項が求めるのは、提供した特定福祉用具販売に関する利用者とその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するため、苦情を受け付ける窓口を設置するなどの必要な措置です。窓口の形式や受付時間は条文に書かれていません。
第2項は、苦情を受け付けたときに、その苦情の内容等を記録することを求めています。記録に書く項目や様式も条文にはありません。福祉用具専門相談員など、どの担当者が受けた苦情も同じ窓口に集まる流れは、事業所で決めておくことになります。
市町村と国保連の調査への協力と改善報告(第3項〜第6項)
第3項は、市町村が行う文書その他の物件の提出や提示の求め、市町村の職員からの質問や照会に応じ、利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力することを求めています。市町村から指導または助言を受けたときは、従って必要な改善を行います。第4項は、市町村から求めがあったときに、その改善の内容を市町村に報告するとしています。
第5項と第6項は国保連の場合です。国保連が行う調査に協力し、指導または助言を受けたら従って改善し、国保連から求めがあったときに改善の内容を報告します。
市町村については文書の提出や質問への対応が第3項に書かれていますが、国保連についての第5項には、そこまでは書かれていません。両方の報告は、いずれも相手から求めがあったときに行うもので、事業者から先に出す義務としては書かれていません。
| 項 | 定めの内容 | 条文に書かれていないこと |
|---|---|---|
| 第1項 | 苦情を受け付ける窓口を設置するなど必要な措置を講じる | 窓口の形式・受付時間 |
| 第2項 | 苦情を受け付けたら、苦情の内容等を記録する | 記録の項目・様式 |
| 第3項 | 市町村の文書提出・質問への応答と調査への協力、指導または助言に従った改善 | 提出を求められる文書の範囲 |
| 第4項 | 市町村から求められたら、改善の内容を報告する | 報告の期限・様式 |
| 第5項 | 国保連の調査への協力、指導または助言に従った改善 | 国保連が求める資料の範囲 |
| 第6項 | 国保連から求められたら、改善の内容を報告する | 報告の期限・様式 |
苦情の記録は完結の日から2年間保存する(第215条第2項第5号)
保存の期間は、第215条第2項が定めています。第2項は、特定福祉用具販売計画、提供した具体的なサービスの内容等の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知に係る記録、事故の状況と処置の記録などと並べて、準用する第36条第2項の苦情の内容等の記録(第5号)を挙げ、その完結の日から2年間保存するよう求めています。
「完結の日」がいつを指すかは条文に書かれていません。国の基準の2年と異なる期間を指定権者の条例などで定めていないかは、この記事では確認していないため、事業所のある指定権者の案内で確かめてください。
事業者が確かめる順番
まず、苦情を受け付ける窓口の担当者・連絡先・受付時間を決め、福祉用具専門相談員が納品の場などで苦情を受けたときに窓口へつなぐ流れを決めます。次に、受付日・内容・対応の経過を書く様式を作り、保存する場所と2年の期間を決めます。そのうえで、市町村や国保連から連絡があったときに対応する担当者と、改善の内容を報告する手順を決めておきます。
報告の期限や様式、求められる文書の範囲は、事業所のある市町村の担当窓口と国保連の案内で確かめ、確かめた日と回答を記録します。同じ第36条を訪問介護で読む場合は訪問介護の苦情処理(基準第36条):窓口・記録・市町村と国保連の調査協力と改善報告で、苦情を受けた現場の初動は苦情・事故と単独訪問リスクへの備えで読めます。
この記事で確認した範囲
確認したのは、指定基準の第36条、第215条、第216条で、いずれもe-Gov法令検索で2026年11月7日に読んだ内容です。福祉用具貸与の苦情処理、介護予防特定福祉用具販売、苦情の内容ごとの対応の良し悪し、個別の苦情が事故や虐待に当たるかの判断は扱っていません。個別の対応が基準に適合するかどうかは、事業所のある市町村の担当窓口に確認してください。
次に知りたいこと:指定基準
福祉用具専門相談員の員数や管理者など、指定を受けるための基準は特定福祉用具販売の指定基準で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者と家族からの苦情を受け付ける窓口として、担当者・連絡先・受付時間を決め、福祉用具専門相談員が販売前の相談や納品の場面で苦情を受けたときに窓口へつなぐ流れも事業所で決める
- 苦情を受け付けたら、苦情の内容等を記録する様式(受付日・内容・対応の経過)を作り、第215条第2項第5号の保存対象として、完結の日から2年間残す保管場所を決める
- 市町村から文書の提出・提示や質問・照会を求められたとき、市町村や国民健康保険団体連合会が苦情の調査に入るときに、特定福祉用具販売計画など提供の記録を出して対応する担当者を決め、指導または助言を受けたら従って改善する手順を定める
- 市町村や国保連から求められたときに、改善の内容を報告する担当者と、特定福祉用具販売の記録とあわせて報告の控えを残す場所を決める
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
特定福祉用具販売で利用者や家族から苦情を受けたら、事業者は何をしますか?
苦情に迅速かつ適切に対応するため、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じ(第36条第1項)、苦情を受け付けたときは、その内容等を記録します(同条第2項)。特定福祉用具販売には、第216条の準用でこの第36条が当てはまります。
特定福祉用具販売の苦情で、市町村や国民健康保険団体連合会の調査があったときは、どうしますか?
市町村の文書の提出・提示の求めや質問・照会に応じ、苦情に関する市町村の調査に協力し、指導または助言を受けたら従って改善します。求めがあれば、改善の内容を市町村に報告します(第36条第3項・第4項)。国保連の調査と指導・助言、改善の報告も同じ形です(第5項・第6項)。
特定福祉用具販売の苦情の記録は、何年保存しますか?
第215条第2項第5号が、準用する第36条第2項の苦情の内容等の記録を、完結の日から2年間保存する対象に挙げています。苦情の記録の項目や様式は条文に書かれていません。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号) 第36条(苦情処理)・第216条(準用)・第215条(記録の整備)」(第36条第1項〜第6項(苦情処理)、第216条(第36条を指定特定福祉用具販売の事業に準用)、第215条第2項第5号(準用する第36条第2項の苦情の内容等の記録は完結の日から2年間保存))(確認日 2026-11-07)