運営 / 更新 2026-10-21
特定福祉用具販売の指定基準:専門相談員・管理者・販売計画(基準第208条〜第214条の2)
特定福祉用具販売事業所の指定基準は、福祉用具専門相談員の員数、管理者、設備の3つに加えて、購入時に利用者へ渡す書面と特定福祉用具販売計画の定めを確かめます。この記事は、訪問介護の事業者が特定福祉用具販売の併設を考えるときに、指定居宅サービス等の基準第207条〜第215条を読み、福祉用具貸与の基準(第194条〜第196条)との違いを表で比べるための整理です。指定の申請手順や、対象品目、購入費の支給限度額は扱いません。
福祉用具専門相談員:貸与と同じく常勤換算で2以上
基準第208条第1項は、指定特定福祉用具販売事業所ごとに置く福祉用具専門相談員の員数を、常勤換算方法で2以上と定めています。常勤の人数ではなく、勤務時間を常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って数える点は、福祉用具貸与の第194条第1項と同じ書き方です。
第2項は、指定介護予防福祉用具貸与、指定特定介護予防福祉用具販売、指定福祉用具貸与の指定を併せて受け、同一の事業所で一体的に運営している場合は、それぞれの人員基準を満たすことで第1項の基準を満たしているとみなすことができると定めています。貸与と販売を同じ事業所で行うなら、相談員を貸与と販売で別々に2以上ずつ置く必要があると条文は読めません。
福祉用具専門相談員になれる資格は、福祉用具貸与の記事で整理した介護保険法施行令第4条第1項の8つの資格と指定講習の修了者が基になります。資格の一覧は福祉用具貸与事業所の指定基準:専門相談員の員数・管理者・設備(基準第194条〜第196条)にあります。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が特定福祉用具販売の併設を考えるときに、福祉用具専門相談員の員数、管理者、設備、販売計画、購入時に利用者へ渡す書面の基準を条文で確かめ、福祉用具貸与の基準との違いを洗い出すための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、特定福祉用具販売併設の基準チェック表(福祉用具専門相談員の候補と資格・常勤換算・管理者候補・事業用の区画と備品・購入時に渡す書面の様式・販売計画の様式・都道府県の担当窓口に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
管理者と設備:消毒の設備の定めが貸与との違い
基準第209条は、指定特定福祉用具販売事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くと定めています。事業所の管理上支障がない場合は、その事業所の他の職務や、他の事業所、施設等の職務に従事できる点も、福祉用具貸与の第195条と同じです。条文は管理者に特定の資格を求めていません。
設備は第210条第1項が、事業の運営を行うために必要な広さの区画と、提供に必要なその他の設備及び備品等を備えると定めています。福祉用具貸与の第196条にある福祉用具の保管と消毒のための設備や器材の定めは、この条文にはありません。この違いの理由は条文に書かれていません。
「必要な広さの区画」の数字は条文に示されていません。区画の広さが足りるかは、図面などを持って都道府県の担当窓口に確かめます。
| 項目 | 特定福祉用具販売 | 福祉用具貸与 |
|---|---|---|
| 福祉用具専門相談員の員数 | 常勤換算方法で2以上(第208条第1項) | 常勤換算方法で2以上(第194条第1項) |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤。管理上支障がない場合は兼務可(第209条) | 専らその職務に従事する常勤。管理上支障がない場合は兼務可(第195条) |
| 設備 | 必要な広さの区画と、提供に必要な設備及び備品等(第210条第1項) | 保管と消毒に必要な設備と器材に加え、必要な広さの区画と備品等(第196条第1項)。委託する場合は設備・器材を有しなくてもよい |
| サービスの計画 | 特定福祉用具販売計画(第214条の2) | 福祉用具貸与計画(第199条の2)。販売と貸与の両方を利用する場合は一体で作成 |
販売費用の受領と、購入時に利用者へ渡す書面
基準第212条第1項は、指定特定福祉用具販売を提供したとき、介護保険法第44条第3項に規定する現に特定福祉用具の購入に要した費用の額(販売費用の額)の支払を受けると定めています。第2項は、これのほかに、通常の事業の実施地域以外で販売を行う場合の交通費と、特定福祉用具の搬入に特別な措置が必要な場合の措置に要する費用を、利用者から受けることができると定めています。
第3項は、第2項の費用に係るサービスの提供に当たって、あらかじめ利用者またはその家族に、サービスの内容と費用を説明して同意を得ることを求めています。搬入に特別な措置が必要かどうかは、見積もりの前に利用者宅の状況を確かめて決めることになります。
第213条は、販売費用の額の支払を受けたとき、次の4つを記載した書面を利用者に交付すると定めています。事業所の名称、販売した特定福祉用具の種目及び品目の名称と販売費用の額その他必要と認められる事項を記載した証明書、領収書、特定福祉用具のパンフレットその他の概要です。この書面は、利用者が保険給付を申請するときに必要になるため、条文の見出しも「保険給付の申請に必要となる書類等の交付」になっています。
販売計画と、貸与か販売かを選べる説明
基準第214条の2第1項は、福祉用具専門相談員が、利用者の心身の状況、希望、置かれている環境を踏まえ、販売の目標と目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した特定福祉用具販売計画を作成すると定めています。福祉用具貸与の利用があるときは、福祉用具貸与計画と一体のものとして作成します。居宅サービス計画がすでにあれば、その内容に沿って作成し(第2項)、利用者またはその家族に説明して同意を得て(第3項)、作成した計画を利用者に交付します(第4項)。
第214条第2号は、貸与と販売のどちらも選べる用具(条文の「対象福祉用具」)の販売では、利用者が貸与か販売かのいずれかを選べることを十分に説明したうえで、選ぶのに必要な情報を提供し、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、居宅サービス計画の原案に位置づけた居宅サービス等の担当者その他の関係者の意見と利用者の身体の状況等を踏まえて提案すると定めています。対象福祉用具に当たる種目は、この記事では確かめていません。
このほか第214条は、販売する用具の機能、安全性、衛生状態等の点検(第3号)、利用者の身体の状況等に応じた調整と、使用方法や留意事項を記載した文書の交付(第4号)、生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除く身体的拘束等の禁止と、行う場合の態様、時間、利用者の心身の状況、理由の記録(第6号・第7号)を定めています。
記録の保存と、訪問介護と同じく準用される規定
基準第215条第2項は、特定福祉用具販売計画、提供した具体的なサービスの内容等の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知に係る記録、苦情の内容等の記録、事故の状況と処置の記録を整備し、その完結の日から2年間保存すると定めています。従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録の整備は第1項が定めます。
第216条は、訪問介護の基準にある第8条(内容及び手続の説明及び同意)、第30条の2(業務継続計画の策定等)、第33条(秘密保持等)、第36条(苦情処理)、第37条(事故発生時の対応)などを、特定福祉用具販売の事業に準用すると定めています。準用の際は「訪問介護員等」を「福祉用具専門相談員」と読み替えます。訪問介護の事業所で整えている重要事項説明書や苦情の記録の仕組みを、販売の事業にも広げて使えるかを確かめる材料になります。
訪問介護の事業者が確かめる順番
まず福祉用具専門相談員の候補者を書き出し、資格の有無と勤務の見込みから常勤換算で2以上になるかを確かめます。福祉用具貸与も併せて行うなら、同じ事業所で一体的に運営する場合の読み方を、都道府県の担当窓口に確かめる事項に加えます。
次に、購入時に渡す書面と特定福祉用具販売計画の様式を用意します。第213条の4つの記載事項と、第214条の2の目標・具体的なサービスの内容・説明と同意・交付の流れが、様式に足りているかを条文と照らして確認します。管理者の候補と事業用の区画の見込みも合わせて、窓口に相談する内容をチェック表にまとめます。
併設を考える5つのサービスの指定の主体と人員は訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で比べています。同じく併設を考えやすい訪問看護の基準は訪問看護ステーションの指定基準:看護職員の員数・管理者・設備(基準第60条〜第62条)にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 福祉用具専門相談員として置く候補者の氏名、保有する資格、週の勤務時間をチェック表に書き、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って常勤換算が2以上になるかを計算する。福祉用具貸与も併せて行う場合は同じ表で貸与側の員数も確かめる
- 販売の事業の管理者に置く候補が専らその職務に従事する常勤か、ほかの職務や他の事業所の職務を兼ねるなら管理上支障がないと説明できるかを確かめて書く
- 購入時に利用者へ渡す書面(事業所の名称、種目・品目の名称と販売費用の額を記載した証明書、領収書、パンフレット等)と特定福祉用具販売計画の様式を用意し、書く項目が条文の定めに足りているかを照らす
- 販売の事業に使う区画の広さと備品の見込みを整理し、チェック表を持って都道府県の担当窓口に相談して、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第207条〜第216条 特定福祉用具販売の基本方針・員数・管理者・設備及び備品等・販売費用の額等の受領・書類の交付・具体的取扱方針・販売計画・記録の整備・準用)」(基準第208条(福祉用具専門相談員の員数)、第209条(管理者)、第210条(設備及び備品等)、第212条(販売費用の額等の受領)、第213条(保険給付の申請に必要となる書類等の交付)、第214条(具体的取扱方針)、第214条の2(特定福祉用具販売計画)、第215条(記録の整備)、第216条(準用))(確認日 2026-10-21)