事業計画 / 更新 2026-09-27

訪問介護の通院等乗降介助・送迎の運転者要件(第二種免許・福祉有償運送との違い)

訪問介護の通院等乗降介助(ハ)算定要件で介護報酬の対象になるのは乗車・降車の介助部分で、車両を運転して移動させる「運送」そのものは介護報酬の対象に含まれません。運送に対して利用者から別途対価を受け取るかどうかで、道路運送法上の許可・登録の要否が変わります。この記事は国土交通省のガイドラインと関連法令に基づき、第二種免許が必要になる場合とならない場合の切り分けを整理します。

この記事で決めること

通院等乗降介助で利用者を送迎する運送行為に、道路運送法上どの許可・登録・免許が必要になるかを理解するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、通院等乗降介助の運送許可・登録要否チェック表を作成できる状態を目指します。

「乗降介助」と「運送」を分けて考える

国土交通省が発出した「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」(国自旅第359号、令和6年3月1日、令和8年6月5日一部改正)は、訪問介護における運送の扱いを次のように整理しています。「乗降介助が介護報酬の対象となっている場合でも運送は介護報酬の対象外であり、利用者から運送の反対給付として金銭を収受しない場合は許可又は登録は不要である」。運送に対して利用者から対価(反対給付)を受け取るかどうかが、道路運送法上の許可・登録の要否を分ける最初の判断点です。

「有償」に当たるかどうかは、社会通念上の謝礼や燃料代等の実費を超える対価を運送そのものに対して収受するかで判断されます。乗降介助費とは別に、走行距離や時間に応じた運賃を利用者から徴収する場合は、運送に特定した反対給付が生じるため許可又は登録の対象になり得ます。個々の運送が許可・登録を要する有償運送に当たるかどうかの最終判断は事案ごとの個別総合判断によるため、この記事の整理だけで判断せず、開業前に管轄の地方運輸局・運輸支局へ確認してください。

第二種免許が必要になるのは「旅客自動車運送事業」に限られる

道路交通法第86条第1項は、「旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者」に第二種免許の取得を義務づけています。この「旅客自動車運送事業」は道路運送法第2条第3項が定める法律上の概念で、同法第4条(一般旅客自動車運送事業)・第43条(特定旅客自動車運送事業)の許可を受けた事業、いわゆる緑ナンバーのタクシー・バス事業などを指します。

一方、道路運送法第78条・第79条が定める「自家用有償旅客運送」は旅客自動車運送事業とは別の法律上の区分です。道路運送法施行規則第51条の16は、自家用有償旅客運送の運転者について、第二種免許を受けている者、または第一種免許を受けており国土交通大臣が認定する講習を修了している者、のいずれかで足りると定めています。緑ナンバー事業として運送を行う場合は第二種免許が必要になりますが、自家用有償旅客運送の枠組みで行う場合は第二種免許の取得義務そのものが生じません。

福祉有償運送(第79条登録)の登録主体は限定されている

自家用有償旅客運送のうち、要介護者・障害者等を対象に有償で運送するものを「福祉有償運送」と呼び、道路運送法第79条に基づく国土交通大臣の登録が必要です。この登録を受けられる主体を、道路運送法施行規則第48条は、一般社団法人・一般財団法人、認可地縁団体、農業協同組合、消費生活協同組合、医療法人、社会福祉法人、商工会議所、商工会、労働者協同組合、代表者の定めがある非営利の人格なき社団の10類型に限定しています。株式会社・合同会社などの営利法人はこの列挙に含まれていないため、営利法人である訪問介護事業者が自社名義で福祉有償運送の登録を受けることはできません。

営利法人の訪問介護事業者が通院等乗降介助の運送に対価を得ようとする場合、実務では、既存の一般乗用旅客自動車運送事業者(福祉輸送限定を含む緑ナンバー事業者)と提携し、訪問介護員が道路運送法第78条第3号の許可を取得する枠組みが用いられています。ただしこの許可は、契約関係にある緑ナンバー事業者が運行管理・代理申請を担うことが前提になっており、訪問介護事業者が単独で取得できる制度ではありません。自社で緑ナンバーの許可(道路運送法第4条、福祉輸送限定を含む)を取得して運送を行う道もありますが、許可の要件・手続きはこの記事の対象外です。

廃止済みの旧通達を現行資料として引用しない

インターネット上には「介護輸送に係る法的取扱いについて」(平成18年9月付、厚生労働省老健局振興課・国土交通省自動車交通局旅客課)を引用した解説が数多く見られますが、この通達は国自旅第359号ガイドライン(令和6年3月1日発出)の発出に伴い廃止されています。訪問介護の通院等乗降介助における運送の扱いを確認する際は、廃止済みの通達ではなく現行のガイドラインを一次資料として参照してください。

制度の細部は改正され得るため、実際に通院等乗降介助の送迎サービスを開始する前には、最新のガイドラインの発出状況を国土交通省のウェブサイトで確認し、個別の許可・登録の要否は管轄の地方運輸局・運輸支局に問い合わせてください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 通院等乗降介助で乗降介助費とは別に運送の対価(運賃・距離加算等)を利用者から徴収するかを確認する
  2. 対価を徴収する場合、緑ナンバー事業者との提携による第78条3号許可か、自社での緑ナンバー取得かを検討する
  3. 自社(営利法人)は福祉有償運送(第79条登録)の登録主体になれないため、対価を徴収しない運用への変更も比較する
  4. 個別の許可・登録の要否と手続きを、事業所を管轄する地方運輸局・運輸支局へ事前相談し回答を記録する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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