運営 / 更新 2026-11-07
福祉用具貸与の事故発生時の対応:連絡・記録・賠償の3項目
福祉用具貸与の事業者は、利用者に対するサービスの提供で事故が起きたら、市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者等に連絡して必要な措置を講じ、事故の状況と処置を記録し、賠償すべき事故なら損害賠償を速やかに行わなければなりません。この記事は、指定基準(平成11年厚生省令第37号)の第37条と、これを福祉用具貸与に準用する第205条、記録の保存を定める第204条の2を、2026年11月7日にデジタル庁のe-Gov法令検索で確かめ、整理したものです。
事故の定めは第37条を準用している(第205条)
福祉用具貸与には、事故発生時の対応だけを定める独立した条文はありません。第205条が、第35条から第38条までを福祉用具貸与の事業について準用しており、その中に第37条の事故発生時の対応が入っています。条文の主語は訪問介護の事業者ですが、準用の規定により、福祉用具貸与の事業者に同じ決まりが及びます。
第205条の読み替えは、第8条・第10条・第14条・第18条・第19条・第21条・第30条の2・第37条の2・第101条に関するもので、第37条の文言には及びません。つまり、第37条の3項目はそのまま当てはまります。
この記事で決めること
福祉用具貸与の事業者(開設を考える人を含む)が、利用者に対するサービスの提供で事故が起きたときに、誰に連絡し、何を記録し、賠償をどう扱う決まりかを、指定基準の原文で確かめる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、福祉用具貸与の事故発生時の連絡先一覧と記録様式(市町村の窓口・利用者ごとの家族・居宅介護支援事業者等の連絡先、連絡する担当者、事故の状況と処置の記録欄)を作成できる状態を目指します。
事故が起きたら連絡する先は3つ(第37条第1項)
第1項は、利用者へのサービスの提供により事故が発生した場合は、市町村、その利用者の家族、その利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならないと定めています。
連絡先は、事故の起きた利用者ごとに決まります。家族の連絡先と、その利用者の居宅サービス計画を作っている居宅介護支援事業者等の連絡先は、貸与を始める前に控えておくと、事故の際に連絡できます。条文は、連絡の方法や、いつまでに連絡するか、連絡する市町村がどこかまでは定めていません。
事故の状況と採った処置を記録し、2年間保存する(第2項・第204条の2)
第2項は、第1項の事故の状況と、事故に際して採った処置について記録しなければならないと定めています。記録する項目や様式は、この条には書かれていません。
保存の期間は、第204条の2が定めています。第2項第7号は、準用する第37条第2項の事故の状況と処置の記録を、福祉用具貸与計画や提供した具体的なサービスの内容等の記録、苦情の内容等の記録などと並べて整備する記録に挙げ、その完結の日から2年間保存するよう求めています。記録の整備の全体は福祉用具貸与の記録の整備と利用料等の受領:7種類・保存2年・別料金は2つで読めます。
賠償すべき事故が起きたとき(第3項)
第3項は、利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないと定めています。どの事故が賠償すべき事故に当たるか、金額や保険の選び方は条文に書かれておらず、この記事では扱いません。
条文の内容の一覧
第37条の各項を並べます。市町村へ報告する事故の範囲、報告の期限と様式は、この条には書かれていません。
| 項 | 定めの内容 | 条文に書かれていないこと |
|---|---|---|
| 第1項 | 事故が発生した場合、市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者等に連絡し、必要な措置を講じる | 連絡の方法と期限 |
| 第2項 | 事故の状況と、事故に際して採った処置を記録する(完結の日から2年間保存、第204条の2第2項第7号) | 記録の項目・様式 |
| 第3項 | 賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行う | 賠償すべき事故の範囲・金額 |
事業者が確かめる順番
まず、事故が起きたときの連絡先(市町村の担当窓口、利用者ごとの家族と居宅介護支援事業者等)を一覧にし、連絡する担当者を決めます。次に、事故の状況と処置を記録する様式を作り、保存する場所と2年の期間を決めます。そのうえで、市町村へ報告する事故の範囲と期限、様式は、事業所を置く市町村の担当窓口に確かめ、確かめた日と回答を記録します。
貸与中の点検や調整などの決まりは福祉用具貸与の具体的取扱方針(基準第199条):情報提供・点検・調整・身体的拘束の禁止で、訪問介護の同じ条文は訪問介護の事故発生時の対応(基準第37条):連絡・記録・損害賠償で読めます。
この記事で確認した範囲
確認したのは、指定基準の第37条、第204条の2、第205条で、いずれもe-Gov法令検索で2026年11月7日に読んだ内容です。通知で示される事故報告の取扱い、市町村ごとの報告の範囲・様式、福祉用具の製品事故に関する報告、介護予防福祉用具貸与の定めは扱っていません。個別の事故への対応が基準に適合するかどうかは、事業所を置く市町村の担当窓口に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 福祉用具貸与の事業所を置く市町村の担当窓口に、事故として報告する範囲・期限・様式を問い合わせ、問い合わせた日と回答を記録に残す
- 貸与を始める前に、利用者ごとに家族の連絡先と、居宅サービス計画を作る居宅介護支援事業者等の連絡先を控え、事故の際の連絡を、福祉用具専門相談員のうち誰が行うかを決める
- 事故の状況と、事故に際して採った処置を書く記録の様式を作り、保存する場所と期間(第204条の2の記録の整備と合わせて)を決める
- 賠償すべき事故に備えて、損害賠償を速やかに行う手順と、事業者が加入する保険で貸与した福祉用具による事故がどこまで補償されるかを確かめ、運営規程や重要事項説明書の記載と見比べる
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
福祉用具貸与で事故が起きたら、どこに連絡しますか?
市町村、その利用者の家族、その利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡し、必要な措置を講じます(指定基準第37条第1項。第205条が福祉用具貸与に準用)。連絡の方法や期限は、条文には書かれていません。
福祉用具貸与の事故の記録には、何を書きますか?
事故の状況と、事故に際して採った処置を記録します(第37条第2項)。記録の項目や様式は条文に書かれていません。この記録は、第204条の2第2項第7号により、その完結の日から2年間保存する対象に挙がっています。
福祉用具貸与で賠償すべき事故が起きたときはどうしますか?
利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行います(第37条第3項)。どの事故が賠償すべき事故に当たるかや、金額の決め方は条文に書かれていません。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号) 第37条(事故発生時の対応)・第205条・第204条の2」(第37条第1項〜第3項(事故発生時の対応)、第205条(第8条〜第19条、第21条、第26条、第30条の2、第33条〜第38条、第52条、第101条第1項・第2項・第4項を福祉用具貸与に準用)、第204条の2第2項第7号(事故の状況及び処置の記録は完結の日から2年間保存))(確認日 2026-11-07)