運営 / 更新 2026-10-09

訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限(年度更新・算定基礎届・法定調書)

訪問介護事業所は、介護保険の届出とは別に、職員を雇う事業所として毎年同じ時期に労働保険・社会保険・税務の手続きがあります。6月1日から7月10日までの年度更新、7月10日までの算定基礎届、納期の特例を使う場合の7月10日と1月20日の納付、翌年1月31日の法定調書が主な期限です。厚生労働省・日本年金機構・国税庁の公開ページで確認した期限を、月ごとに並べました。

この記事で決めること

訪問介護事業所が開業後に毎年繰り返す、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届、源泉所得税の納期の特例、年末調整、法定調書・給与支払報告書の期限を、厚生労働省・日本年金機構・国税庁の公開ページで月ごとに確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、労務・税務の年次手続き台帳(月・手続き・提出先・期限・担当者・提出日)を作成できる状態を目指します。

月別の期限一覧(確認日2026年10月9日)

次の表は、月、手続き、提出先、期限の順に並べています。納期の特例は、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者が、承認を受けて使える制度です。特例を使っていない事業所の源泉所得税は、給与を実際に支払った月の翌月10日が納付期限です。

期限日が土曜・日曜・祝日に当たる年の扱いは、手続きによって異なります。日本年金機構は算定基礎届について、10日が土曜または日曜の場合は翌営業日が期限になるとしています。

国税庁は源泉所得税の納付について、納付期限が休日や土曜日に当たる場合は休日明けの日が期限になるとしています。ほかの手続きは、その年の各機関の案内で確認してください。

訪問介護事業所が毎年行う労務・税務の手続きの月別期限(厚生労働省・日本年金機構・国税庁の公開ページで確認、2026年10月9日)
月手続き提出先・納付先期限
毎月源泉所得税の納付(納期の特例を使わない場合)金融機関・税務署給与を実際に支払った月の翌月10日まで
6月1日〜7月10日労働保険の年度更新(前年度の確定保険料と新年度の概算保険料の申告・納付)金融機関、所轄の都道府県労働局または労働基準監督署毎年6月1日から7月10日まで(土日祝日を除く)
7月10日まで健康保険・厚生年金保険の算定基礎届事務センターまたは管轄の年金事務所毎年7月10日まで(10日が土日なら翌営業日)
7月10日源泉所得税の納付(納期の特例を使う場合の1月〜6月分)金融機関・税務署7月10日
12月年末調整(毎月の源泉徴収税額と年間の税額の差額の精算)事業所で行う12月に行う場合の対象は、扶養控除等(異動)申告書を提出している一定の人のうち、1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職し年末まで勤務している人
翌年1月20日源泉所得税の納付(納期の特例を使う場合の7月〜12月分)金融機関・税務署翌年1月20日
翌年1月31日給与所得の源泉徴収票と法定調書合計表の提出、受給者への源泉徴収票の交付所轄税務署(受給者へは交付)支払の確定した年の翌年1月31日まで(令和9年1月1日以後は、市区町村へ給与支払報告書を提出すれば税務署へ提出したものとみなされる)
翌年1月31日給与支払報告書の提出受給者の翌年1月1日現在の住所地の市区町村支払の確定した年の翌年1月31日まで

労働保険の年度更新(6月1日から7月10日)

厚生労働省の「労働保険の年度更新とは」は、労働保険では保険年度ごとに概算で保険料を納付し、年度末に賃金総額が確定したあとで精算するとしています。そのため事業主は、前年度の保険料を精算する確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料の申告・納付をあわせて行います。これが年度更新です。

手続きは毎年6月1日から7月10日までに行います。申告書は、金融機関、所轄の都道府県労働局または労働基準監督署に、保険料を添えて提出します。遅れると、政府が保険料の額を決定し、納付すべき保険料の10%の追徴金を課すことがあると案内されています。

法人を設立した最初の年の労働保険の届出は、訪問介護の法人設立後に出す労働保険・社会保険・税務署への届出の期限と提出先で確認できます。

社会保険の算定基礎届(7月10日まで)

日本年金機構の「定時決定(算定基礎届)」は、実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、事業主が7月1日現在で使用している全被保険者の4月・5月・6月の3か月間の報酬月額を算定基礎届で届け出ると案内しています。厚生労働大臣はこの届出に基づいて、毎年1回標準報酬月額を決め直します。これを定時決定といいます。

決め直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。提出時期は毎年7月10日までで、10日が土曜または日曜の場合は翌営業日が期限です。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、方法は電子申請、電子媒体、郵送、窓口持参です。

届出用紙は6月中旬以降に順次、事業所あてに送られます。

年度更新と算定基礎届は、どちらも7月10日が期限の近い時期に重なります。6月の台帳に、2つの手続きの下書きの日を並べておくと、期限前に慌てにくくなります。

源泉所得税の納期の特例(7月10日と1月20日)

国税庁のタックスアンサー No.2505は、給与から源泉徴収した所得税は原則として給与を実際に支払った月の翌月10日までに納めるとしています。給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、半年分をまとめて納められる納期の特例があります。

特例を受けていると、1月から6月までに源泉徴収した税額は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した税額は翌年1月20日が納付期限です。特例を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、給与を支払う事務所などの所在地を所轄する税務署長に提出します。給与の支給人員が常時10人以上になった場合は、特例の要件に該当しなくなったことの届出書を出すことが必要です。

訪問介護事業所は、職員数が増えると人数の要件に当たらなくなることがあります。自社が特例を使っているか、人数の要件を満たしているかは、税務署か顧問の税理士に確認してください。この記事では、個別の事業所が特例を使えるかどうかは判断しません。

年末調整と、翌年1月31日の法定調書・給与支払報告書

国税庁のタックスアンサー No.2665は、年末調整を、毎月の給与から源泉徴収をした税額の合計と、その人が1年間に納めるべき税額の差額を精算するものとしています。対象になるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している一定の人です。12月に行う年末調整の対象は、会社に1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職し年末まで勤務している人で、1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人や、災害減免法の規定で源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人は除かれます。

年末調整のあと、給与所得の源泉徴収票は、提出範囲に当たるものを支払の確定した年の翌年1月31日までに所轄税務署へ、法定調書合計表とあわせて提出します。国税庁のタックスアンサー No.7411は、受給者への源泉徴収票の交付も翌年1月31日までとし、年の中途で退職した人には退職の日以後1か月以内に交付するとしています。

市区町村へ出す給与支払報告書の期限も、翌年1月31日です。令和9年1月1日以後に市区町村へ給与支払報告書を提出した場合は、税務署へ源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用の源泉徴収票を作る必要がなくなります。

介護保険側の期限との並べ方と、確認の範囲

研修・訓練・処遇改善の実績報告など、介護保険の運営基準や通知に基づく期限は、訪問介護の開業後の義務カレンダー(研修・訓練・処遇改善の実績報告)にまとめています。この記事の労務・税務の期限と同じ台帳に並べると、6月から7月は年度更新、算定基礎届、納期の特例の納付が重なり、年度の初めと終わりに作業が集まる時期を見渡せます。

開業1年目に、どの月に何をするかは、訪問介護の開業1年目の手続きと期限の順番表(指定申請から指定更新)で確認できます。

この記事は、公開ページで確認できた期限の整理です。個別の事業所が各手続きの対象になるか、期限が土日祝日に当たる年にいつまでに出せばよいかは、管轄の労働基準監督署・年金事務所・税務署で確認してください。随時改定、賞与支払届、住民税の特別徴収の納期、法人税・消費税の申告は、この記事では扱いません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 6月1日〜7月10日の年度更新、7月10日までの算定基礎届、7月10日と1月20日の納期の特例の納付、12月の年末調整、1月31日の法定調書と給与支払報告書を、月ごとの行に書き込む
  2. 手続きごとに提出先(労働基準監督署・金融機関、年金事務所、税務署、市区町村)と担当者を決める
  3. 期限が土日祝日に当たる年は、各機関の案内で翌営業日の扱いを確認して、台帳の期限を更新する
  4. 納期の特例を使っているか、給与の支給人員が常時10人未満かを、毎年6月と12月に点検する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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