指定申請 / 更新 2026-10-24
行動援護の指定基準:従業者は常勤換算2.5以上・居宅介護や重度訪問介護との違い
行動援護は、行動する際に生じ得る危険を避けるための援護や、外出時の移動中の介護を行う障害福祉サービスです。この記事は、訪問介護の事業者が行動援護を併せて行えるかを考えるときに、指定障害福祉サービス基準の第4条・第5条・第6条・第7条・第8条・第43条と、従業者を定める厚生労働省告示第538号の第1条を読み、人員、資格、設備、運営の決まりと、居宅介護・重度訪問介護との違いを整理したものです。
行動援護とは:行動する際に生じ得る危険を避けるための援護
基準第4条第4項は、行動援護の目的と内容を定めています。利用者が居宅において自立した日常生活または社会生活を営めるよう、身体その他の状況と置かれている環境に応じて、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつおよび食事等の介護その他の行動する際に必要な援助を行うものです。
対象者の範囲を定める条文は、この記事では読んでいません。参考として、従業者の研修を定める告示第538号第1条第7号の書き方を見ると、行動援護従業者養成研修は、知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものについて、特性の理解や評価、支援計画シート等の作成、居宅内や外出時の危険を伴う行動を予防または回避するために必要な援護等に関する知識と技術を習得する研修と定義されています。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が行動援護(行動上著しい困難がある知的障害・精神障害の人の外出等の援護)を併せて行えるかを考えるときに、基本方針、従業者の員数と資格、サービス提供責任者、管理者、設備、運営の決まりを条文と告示で確かめ、居宅介護・重度訪問介護との違いを知るための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、行動援護の基準チェック表(従業者の予定人数と常勤換算2.5以上の確認・職員ごとの資格と修了した研修名と修了証明書の有無・サービス提供責任者の候補と常勤で専ら従事するかの確認・管理者の候補と兼務の範囲・専用の区画と設備備品・運営規程と重要事項説明書の案・都道府県または指定都市・中核市の担当窓口に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
居宅介護・重度訪問介護との違い:基本方針の書き方
同じ第4条が、居宅介護と重度訪問介護の基本方針も定めています。居宅介護には入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事、生活等に関する相談および助言を、重度訪問介護には重度の肢体不自由者または重度の知的障害・精神障害で行動上著しい困難があり常時介護を要する人への、家事や外出時の移動中の介護を含む援助を、それぞれ定めています。
行動援護の第4項には、家事や相談助言は挙げられておらず、危険を回避するための援護と外出時の移動中の介護が中心に書かれています。運営の条文の準用の仕方も、行動援護は第43条第2項で、重度訪問介護は第1項で、それぞれ別に定められています。
従業者は事業所ごとに常勤換算2.5以上:準用される第5条と第7条
基準第5条第1項は、指定居宅介護の事業所ごとに置く従業者の員数を、常勤換算で2.5以上と定めています。第7条は、この第5条と次の第6条を、重度訪問介護、同行援護および行動援護に準用しています。そのため行動援護の事業所も、従業者を常勤換算で2.5以上置きます。
従業者になれる者は、条文自体は決めず、こども家庭庁長官および厚生労働大臣が定めるものとされています。これを定めたのが平成18年厚生労働省告示第538号の第1条です。訪問介護の人員基準とは別の基準で、障害福祉サービス側の員数は、障害福祉サービスの基準で確かめます。
従業者の資格:行動援護従業者養成研修のほか、告示第1条の各号
告示第538号の第1条は、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護とそれぞれの基準該当サービスの従業者を、まとめて各号のいずれかに当たる者として列挙しています。第1号が介護福祉士、第2号が実務者研修修了者、第3号が居宅介護職員初任者研修の修了者、第18号が介護職員初任者研修課程の修了者です。条文はサービスごとに分けておらず、個々の職員が行動援護で数えられるかは、この記事では確認していません。
第7号は、行動援護従業者養成研修を挙げています。別表第八に定める内容以上の研修の課程を修了し、研修の事業を行った者から修了した旨の証明書の交付を受けた者です。別表の科目と時間数は、この記事では確認していません。
第12号と第17号は、平成18年9月30日の時点で、行動援護従業者養成研修の課程に相当するものとして都道府県知事が認める研修を修了していた者、または受講中で平成18年10月1日以降に修了した者を挙げています。
サービス提供責任者と管理者の置き方
基準第5条第2項は、事業所ごとに、常勤の従業者で専らその職務に従事する者のうち、事業の規模に応じて1人以上をサービス提供責任者としなければならないと定めています。行動援護も第7条の準用で同じ決まりです。居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護の指定を併せて受け、同じ事業所で一体的に運営している場合は、一体的に運営しているサービスの事業の規模を合わせて数えます。
事業の規模は前3月の平均値で、新規に指定を受ける場合は推定数です(同条第3項)。サービス提供責任者の員数は、事業の規模に応じて常勤換算で数えることもできます。規模ごとに何人置くかの目安と、サービス提供責任者の資格要件は、この記事では読んでおらず、第7条の準用による規模の数え方とあわせて指定権者に確かめます。
基準第6条は、専らその職務に従事する常勤の管理者を事業所ごとに置くこととし、管理上支障がなければ、同じ事業所の他の職務や、他の事業所、施設等の職務との兼務ができるとしています。行動援護にも第7条で準用されます。
設備と運営:専用の区画のほか、居宅介護の運営の決まりを準用
基準第8条は、事業の運営に必要な広さの専用の区画を設け、サービスの提供に必要な設備と備品を備えるとし、第2項でこれを行動援護にも準用しています。
運営の決まりは、第43条第2項が、第9条から第31条までと、第33条から第42条までを同行援護と行動援護に準用しています。
たとえば第9条は、利用の申込みを受けたときに、運営規程の概要や従業者の勤務体制などを記した文書を交付して説明し、同意を得ることを定めています。第26条は、サービス提供責任者が、利用者の日常生活全般の状況と希望を踏まえて計画を作り、利用者と同居の家族に説明し、利用者と同居の家族、指定特定相談支援事業者等に交付することを定めています。第31条は、事業の目的、従業者の職種と員数、営業日と営業時間、通常の事業の実施地域、緊急時の対応方法などを、運営規程に定めることを求めています。
第43条第2項の準用には、第32条の「入浴、排せつ、食事等の介護または家事を常に総合的に提供する」決まりは含まれていません。
条文の内容の一覧
ここまでの決まりを、サービスごとに並べてまとめます。報酬の単位数と、指定申請の手順は、この記事では読んでいません。
| 項目 | 行動援護 | 居宅介護・重度訪問介護 |
|---|---|---|
| 援助の中心(第4条) | 行動する際に生じ得る危険を回避するための援護、外出時の移動中の介護、排せつ・食事等の介護(第4項) | 居宅介護は入浴・排せつ・食事等の介護、家事、相談助言(第1項)。重度訪問介護は家事、外出時の移動中の介護などを含む援助(第2項) |
| 従業者の員数 | 事業所ごとに常勤換算で2.5以上(第5条第1項、第7条で準用) | 同じ(重度訪問介護は第7条で準用) |
| 従業者の資格 | 告示第538号第1条各号のいずれか。行動援護従業者養成研修の修了者は第7号 | 同じ告示第1条の各号。重度訪問介護従業者養成研修は第5号 |
| サービス提供責任者・管理者 | 第5条第2項・第6条(第7条で準用) | 同じ |
| 運営の準用 | 第43条第2項(第9条〜第31条、第33条〜第42条) | 重度訪問介護は第43条第1項(第9条〜前条)。居宅介護は第9条以下の本体 |
訪問介護の事業者が確かめる順番
まず、行動援護の事業所に置く従業者を常勤換算で2.5以上にできるかを確かめます。そのうえで、職員ごとの資格と修了した研修、サービス提供責任者と管理者の候補、専用の区画を、チェック表に書いて確かめます。研修の科目と時間数、サービス提供責任者の資格要件、員数の目安は、事業所を置く都道府県または指定都市・中核市の担当窓口に確かめます。
同じ条文を準用する同行援護の指定基準:従業者は常勤換算2.5以上・サービス提供責任者と管理者の置き方、従業者の資格の読み方は「居宅介護・重度訪問介護の従業者の資格と研修:訪問介護の資格との違い」、障害福祉サービスを併せて行う場合の指定主体と人員の考え方は重度訪問介護と訪問介護の違い:共生型の人員基準と併設の流れ、訪問介護の人員の決まりは訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)で読めます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 行動援護を行う事業所の予定の従業者の人数と、1人ごとの勤務時間を書き、合計を常勤の勤務時間で割って常勤換算で2.5以上になるかを確かめる。訪問介護や居宅介護などと同じ事業所で一体的に運営するかも書く
- 職員ごとに、介護福祉士、実務者研修、居宅介護職員初任者研修、行動援護従業者養成研修などの資格と修了した研修の名称、修了証明書の有無を一覧にし、告示第538号第1条のどの号に当たりそうかを書いて、窓口で確かめる点に印を付ける
- 行動援護のサービス提供責任者の候補を、常勤で専らこの職務に従事する人から選び、前3月の平均値(新規指定は推定数)で見込んだ事業の規模を、居宅介護などと一体で運営する場合の合算も含めて書く。管理者の候補と兼務の範囲も並べる
- 行動する際の危険を避ける援護と外出時の移動中の介護を行う体制として、専用の区画と設備備品、運営規程と重要事項説明書の案、サービス提供責任者が作る計画の流れを書く。研修の科目と時間数、サービス提供責任者の資格要件、員数の目安は、都道府県または指定都市・中核市の担当窓口に確かめ、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅介護の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの等(平成18年厚生労働省告示第538号・第1条)」(第1条第1号〜第22号、第2条)(確認日 2026-10-17)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(第4条 基本方針、第5条〜第8条 居宅介護の人員・設備と同行援護・行動援護への準用、第26条、第31条、第43条 運営の準用)」(指定障害福祉サービス基準第4条第3項・第4項、第5条第1項〜第3項、第6条、第7条、第8条、第9条、第26条第1項、第31条、第32条、第43条第2項)(確認日 2026-10-24)