運営 / 更新 2026-10-20
訪問介護員の賞与の源泉徴収:算出率の表と前月給与の10倍超の計算(所得税法第186条)
訪問介護員に賞与を払うときの源泉所得税は、毎月の給与の税額表ではなく、原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で求めます。前月の給与から社会保険料等を差し引いた額で率を探し、賞与から社会保険料等を差し引いた額に乗じます。前月の給与の10倍を超える場合と前月に給与がない場合の計算も、所得税法第186条と国税庁のタックスアンサー No.2523で確認します。
賞与にあたる給与と、使う欄
国税庁のタックスアンサー No.2523は、賞与を、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものとしています。賞与の性質を有するかどうか明らかでない給与は、純益を基準として支給されるもの、あらかじめ支給額又は支給基準の定めのないものなどが賞与に該当するとされています。
賞与から源泉徴収する所得税は、原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算します。給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人は甲欄、提出していない人は乙欄を使います。申告書の出し方は、源泉徴収税額表の甲欄・乙欄・丙欄で確認できます。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者や経理担当者が、ヘルパーに賞与(ボーナス・期末手当など)を払うときの源泉所得税を、算出率の表の甲欄・乙欄のどちらで、どの金額に何を乗じて求めるか、前月の給与の10倍を超える場合や前月に給与がない場合をどう計算するかを判断するために、所得税法第186条と国税庁のタックスアンサー No.2523で確認する。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、賞与の源泉徴収の計算記録(職員ごとの申告書の有無・前月の給与と賞与の社会保険料等控除後の額・使った計算方法・源泉徴収額の記録)を作成できる状態を目指します。
通常の計算:前月の給与で率を探す
申告書を提出している人の通常の計算は、No.2523の3段階です。算出率の表の率は、前月の給与(社会保険料等を差し引いた額)と扶養親族等の数で決まります。
No.2523の具体例(令和8年分)は、前月の給与(社会保険料等控除後)285,454円、賞与(同)389,558円、扶養親族等3人で、率は2.042%、税額は7,954円(1円未満切捨て)です。令和9年分以後は算出率の表や月額表が改正されているため、支払う年分の表で確認します。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 前月の給与から社会保険料等を差し引く |
| 2 | 算出率の表の甲欄で、扶養親族等の数に応じた1の金額の行と「賞与の金額に乗ずべき率」の欄が交わる率を求める |
| 3 | 賞与から社会保険料等を差し引いた金額に、2の率を乗じた金額が、源泉徴収する税額 |
前月の給与の10倍を超える賞与と、前月に給与がないとき
所得税法第186条第2項は、前月中に通常の給与等がある場合に、賞与の金額がその10倍に相当する金額を超えるときの別の計算を定めています。No.2523は、扶養控除等申告書を提出している人(甲欄)について、社会保険料等を差し引いた額で、次の表の計算を示しています。
給与を月ごとに支払っていて前月に給与の支払がないときは、同条第1項第1号ロの計算になります(給与の支給期が月の整数倍の期間ごとと定められている場合は、前月に支払がなくても前月中の給与等がある場合として扱われる括弧書きがあります)。賞与の計算期間が6か月を超える場合は、表の6の代わりに12を使います。
| 場合 | 計算 |
|---|---|
| 前月の給与(社会保険料等控除後)の10倍を超える賞与 | (1)賞与÷6を求める (2)(1)に前月の給与を足す (3)(2)を月額表に当てはめて税額を求める (4)(3)から前月の給与に対する源泉徴収税額を引く (5)(4)に6を乗じる |
| 前月に給与の支払がない場合 | (1)賞与÷6を求める (2)(1)を月額表に当てはめて税額を求める (3)(2)に6を乗じる |
申告書を出していない人(乙欄)の賞与
扶養控除等申告書を提出していない人の賞与は、No.2523のとおり乙欄を使います。所得税法第186条第1項第2号は、前月中に通常の給与等があるときは、前月中の通常の給与等の金額に応じて別表第四の乙欄から求めた率を賞与の金額に乗じ、ないときは賞与の6分の1に応ずる別表第二の乙欄の税額に6を乗じると定めています。賞与が前月の通常の給与等の10倍を超える乙欄の人の計算は、同条第2項第2号に別に定められていて、この記事では計算式を扱いません。
掛け持ちのヘルパーなど、どの欄を使うか迷う場合の判断は、所轄の税務署に確認してください。
事業所で決めておくこと(運用の例)
次の表は、上の決まりに合わせた確認の例で、国が定めた様式ではありません。賞与の社会保険料は、賞与の社会保険料と賞与支払届の記事で別に確認します。
| 確認すること | 根拠となる決まり |
|---|---|
| 職員ごとに扶養控除等申告書の有無を確かめ、甲欄か乙欄かを記録する | No.2523 |
| 前月の給与と賞与の、社会保険料等を差し引いた額を並べて記録する | No.2523 |
| 賞与が前月の給与の10倍を超えるか、前月に給与がないかを確かめる | 所得税法第186条第2項・第1項第1号ロ・No.2523 |
| 計算期間が6か月を超える賞与は、6の代わりに12を使っているか確かめる | No.2523 |
| 使った表の年分(令和8年分か、令和9年分以後か)を記録する | No.2523 |
確かめた資料と確認できていないこと
この記事は、2026年10月20日に、e-Govで公開されている所得税法第186条と、国税庁のタックスアンサー No.2523(令和8年4月1日現在法令等)を読んで書きました。算出率の表の各行の率、年末調整と同じ月に賞与を払う場合の計算(第186条第3項)、役員への賞与、給与計算ソフトでの操作は扱っていません。
賞与に当たるか、どの欄と計算を使うかは、支払の内容で決まります。判断に迷う点は、所轄の税務署や税理士に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 賞与を払う職員ごとに、扶養控除等申告書を出してもらっているかを確かめ、出している人は甲欄、出していない人は乙欄を使うと記録する
- 前月の給与から社会保険料等を差し引いた額と、賞与から社会保険料等を差し引いた額を並べ、賞与が前月の給与の10倍を超えるか、前月に給与の支払がないかを確かめる
- 通常の場合は算出率の表で率を求めて賞与に乗じ、10倍を超える場合と前月に給与がない場合は国税庁の計算式に沿って月額表で求める。計算期間が6か月を超える賞与は、6の代わりに12を使う
- 使った税額表の年分(令和8年分の表か、令和9年分以後に改正された表か)を記録して源泉徴収する。判断に迷う点は所轄の税務署に確認して日付とともに残す
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
ヘルパーへの賞与の源泉徴収は、毎月の給与と同じ税額表で求めますか?
賞与は、原則として「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算します(国税庁タックスアンサー No.2523)。扶養控除等申告書を提出している人は甲欄、提出していない人は乙欄を使います。
賞与の源泉徴収はどの金額に率を乗じますか?
前月の給与から社会保険料等を差し引いた額で、算出率の表の行と率を求め、その率を賞与から社会保険料等を差し引いた額に乗じます(No.2523)。前月の給与の10倍を超える賞与や、前月に給与の支払がない場合は別の計算式です。
決算賞与や期末手当も賞与として源泉徴収しますか?
No.2523は、賞与を、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目のものとしています。期末手当は名目の例に挙がっていますが、決算賞与という名称は例示にないため、支払の内容で判断し、迷う場合は所轄の税務署に確認してください。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「所得税法(昭和40年法律第33号)第186条(賞与に係る徴収税額)」(第186条第1項第1号・第2号、第2項)(確認日 2026-10-20)
- 国税庁「タックスアンサー No.2523 賞与に対する源泉徴収」(概要・賞与の意義・計算方法・計算式・具体例)(確認日 2026-10-20)