運営 / 更新 2026-10-15
訪問介護事業所の賞与の社会保険料:賞与支払届は支給日から5日以内、対象は年3回以下
訪問介護事業所が職員に賞与を支給したときは、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を年金事務所などへ出します。この届出で標準賞与額が決まり、賞与にかかる健康保険・厚生年金保険の保険料が決まります。対象になるのは年3回以下の支給で、年4回以上の支給は毎月の報酬として扱われます。
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者や労務担当者が、職員に賞与を支給したときの被保険者賞与支払届の期限(支給日から5日以内)、対象になる賞与(年3回以下)と毎月の報酬になる支給(年4回以上)の区別、標準賞与額と保険料の計算、上限(健康保険は年度累計573万円・厚生年金保険は1か月150万円)、納入と本人負担分の控除、入退社の月の扱いを、日本年金機構の案内で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、賞与支給時の社会保険の確認表(支給日、支給名目と年間の支給回数、被保険者ごとの総支給額と1,000円未満切り捨て後の標準賞与額、届出期限の支給日から5日後、納入月の翌月末、入退社の月の対象可否)を作成できる状態を目指します。
賞与を支給したら、5日以内に賞与支払届を出す
日本年金機構の案内によると、事業主が被保険者や70歳以上被用者に賞与を支給したときは、支給日より5日以内に「被保険者賞与支払届」で支給額などを届け出ます。提出先は事務センターか管轄の年金事務所で、提出方法は電子申請、電子媒体、郵送、窓口持参です。
届出用紙は、日本年金機構に登録されている賞与支払予定月の前月に、被保険者の氏名や生年月日を印字して事業所へ送られます。賞与支払予定月の登録は、新規適用届や事業所関係変更(訂正)届の提出などで行われます。
この届出の内容で標準賞与額が決まり、賞与の保険料額が決まります。標準賞与額は、被保険者が受け取る年金額の計算の基礎にもなるため、支給額の誤りがないよう届け出ることが求められています。
対象になるのは年3回以下の支給。年4回以上は毎月の報酬になる
賞与支払届の対象は、賃金、給料、手当、賞与など名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものです。日本年金機構は、給与規程で7月と12月に「○○手当」を支給すると決めている場合は、支給が年2回と明確なので、通常の報酬でなく賞与になる例を挙げています。
年4回以上支給されるものは、標準報酬月額の対象となる報酬です。結婚祝金など、労働の対償とみなされないものは対象外です。賞与の例には、ボーナス、期末手当、年末手当、夏季手当、冬季手当、勤勉手当、繁忙手当、年末一時金などが挙がっています。
処遇改善の加算を一時金で配る事業所は、その支給が年に何回かを数えて、賞与か毎月の報酬かを区別します。加算の配分の考え方は「訪問介護の処遇改善加算の賃金改善の配分:基本給・手当・一時金と職種間の偏り」にまとめています。
| 支給の回数 | 扱い | 保険料の基になる額 |
|---|---|---|
| 年3回以下 | 賞与(賞与支払届を出す) | 標準賞与額 |
| 年4回以上 | 毎月の報酬に含まれる(賞与支払届の対象外) | 標準報酬月額 |
| 労働の対償とみなされないもの(結婚祝金など) | 賞与支払届の対象外 | ― |
保険料は、1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に料率をかける
賞与にかかる保険料は、実際に支払った賞与の税引き前の総支給額から、1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率をかけて計算します。保険料は事業主と被保険者が折半で負担します。
厚生年金保険の保険料率は18.3%で固定されています。たとえば賞与が305,800円なら標準賞与額は305,000円で、厚生年金保険の保険料の総額は305,000円×18.3%で55,815円で、これを事業主と被保険者で折半します。健康保険の保険料率は加入する健康保険で決まるため、このページでは確認していません。
標準賞与額には上限があります。健康保険は年度(4月1日から翌年3月31日)の累計で573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円です。同じ月に2回以上支給したときは、合算した額で上限を当てはめます。
納入は支給月の翌月末まで。被保険者の負担分は賞与から引ける
賞与の保険料は、毎月の保険料と合算されて、賞与を支払った月の翌月の納入告知書で通知されます。口座振替の場合は納入告知額通知書です。月末までに納入します。
事業主は、被保険者の負担分を、賞与を支払うときに支給する賞与から控除できます。賞与の月は、毎月の保険料と賞与の保険料が合算されて通知される点に注意してください。
月次の給与で社会保険料を引く手順は、「訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限(年度更新・算定基礎届・法定調書)」の月別の並びと合わせて確かめると、賞与の月の作業を見落としにくくなります。
届出で迷いやすい点:印字がない人・支払いがなかった人・入退社の月
届出用紙の氏名などは、賞与支払予定月の前々月の19日までの情報で作られます。印字されていない人がいる場合は、空いた欄に手書きで追記します。欄が足りないときは、管轄の年金事務所に連絡すると用紙が送られます。
用紙に印字されていても賞与を支払わなかった人がいる場合は、その人の欄に斜線を引きます。賞与支払予定月に賞与がまったくないときの届書様式も用意されています。
資格を取得した月(資格取得日以降)に払った賞与は、保険料の対象です。資格を喪失した月に払った賞与は、保険料の対象になりません(資格取得と同じ月に喪失したときは、取得日から喪失日の前日までに払った賞与が対象です)。ただし健康保険では、資格喪失日の前日までに払った賞与は標準賞与額に決まり、年度の累計573万円に含めます。
入社や退職の月に賞与を払うときは、この扱いが分かれる点に注意します。退職の手続き全体は「訪問介護員の退職時手続き:雇用保険・社会保険・源泉徴収票の期限」で確認できます。
同じ年度内に資格の取得や喪失があり、年度の標準賞与額の累計が573万円を超えるときなどは、被保険者の申し出に基づき、健康保険標準賞与額累計申出書が必要になる場合があります。この届書は、電子申請と電子媒体では出せません。
このページの範囲と、確認する先
このページが確認したのは、日本年金機構の「従業員に賞与を支給したときの手続き」と「厚生年金保険の保険料」の案内です(2026-10-15に確認)。健康保険組合の加入事業所の運用、健康保険の保険料率、賞与にかかる所得税の源泉徴収は確認していません。
個別の賞与が賞与支払届の対象か、毎月の報酬として扱うかは、このページでは決められません。支給の規定と回数を整理して、管轄の年金事務所か社会保険労務士に確認してください。
次に知りたいこと
時給を上げたときに出す届出は、時給を上げたら出す月額変更届で確認できます。
賞与を支給する職員が社会保険の対象になるかは、訪問介護員の社会保険の加入要件で確認できます。
処遇改善加算を賞与などの一時金でどう配るかは、訪問介護の処遇改善加算の賃金改善の配分で扱っています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 賞与や一時金を決める前に、給与規程で名目ごとの年間の支給回数を数え、年3回以下なら賞与、年4回以上なら毎月の報酬に含まれる扱いかを整理する
- 支給日が決まったら、前月に届く賞与支払届の用紙で被保険者の印字を確認し、印字のない人は追記、支払わない人は斜線を引き、支給日から5日以内の期限を日程表に書く
- 被保険者ごとに税引き前の総支給額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額を出し、同月に2回以上支給する人や年度の累計が573万円に近い人を別に確認する
- 支給の翌月末に、毎月の保険料と合算された納入告知書の額を納め、本人負担分の控除額を賞与の明細と突き合わせて控えを残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」(確認日 2026-10-09)
- 日本年金機構「標準報酬月額・標準賞与額(日本年金機構)」(確認日 2026-10-15)
- 日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き(日本年金機構)」(確認日 2026-10-15)