運営 / 更新 2026-10-20

訪問介護員の源泉徴収税額表の甲欄・乙欄・丙欄:扶養控除等申告書と掛け持ちの扱い

訪問介護員に給与を払うときの源泉所得税は、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄・乙欄・丙欄のどれで求めるかが決め手です。分かれ目は、扶養控除等申告書を提出してもらっているかと、雇用契約の期間があらかじめ2か月以内かの2点です。国税庁のタックスアンサーと所得税法の条文で、3つの欄の使い分け、申告書を出す相手の決まり、年末調整との関係を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

甲欄・乙欄・丙欄の分かれ目

国税庁のタックスアンサー No.2511は、毎月の給与から源泉徴収する所得税の額を、給与所得の源泉徴収税額表の月額表又は日額表で求めると説明しています。このうち、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人に支払う給与は甲欄、その他の人に支払う給与は乙欄を使います。日雇賃金は、日額表の丙欄を使います。

月ごとに払う給与は月額表、毎日・週ごと・日割で払う給与は日額表を使います。時給で働いた分を月ごとにまとめて払う登録ヘルパーも、後述の2か月以内の短期契約に当たらない通常の雇用であれば、月額表の甲欄か乙欄で求めると読めます。所得税法第185条も、扶養控除等申告書を提出した居住者の給与は甲欄、それ以外の給与は乙欄、労働した日又は時間で算定され労働した日ごとに支払を受ける給与等で政令で定めるものは丙欄の税額とすると定めています。

源泉徴収税額表の甲欄・乙欄・丙欄(国税庁タックスアンサー No.2511・No.2514)
欄使う給与ヘルパーの給与での目安
甲欄扶養控除等申告書を提出している人に支払う給与申告書を出してもらったヘルパーの毎月の給与
乙欄扶養控除等申告書を提出していない人(その他の人)に支払う給与他の勤務先に申告書を出している人や、申告書を出していない人の給与
丙欄日雇賃金。パート・アルバイトの日給・時間給で、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内の給与2か月以内の短期契約で、働いた日や時間で計算して払う給与

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や経理担当者が、登録ヘルパーなどに給与を払うときの源泉所得税を、税額表の甲欄・乙欄・丙欄のどれで求めるかを判断するために、国税庁のタックスアンサーと所得税法で、扶養控除等申告書の提出の有無による欄の分かれ目、申告書を出す相手(掛け持ちの場合の主たる支払者)、2か月以内の契約で使う丙欄、年末調整の対象との関係を確認する。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、訪問介護員の源泉徴収の欄の確認表(ヘルパー名簿ごとの扶養控除等申告書の受領日・主たる勤務先か・使う欄・契約期間の記録)を作成できる状態を目指します。

扶養控除等申告書は「主たる」1か所に出す

扶養控除等申告書は、毎年最初の給与を受け取る日の前日までに、主たる支払者を経由して出します。所得税法第194条第1項は、給与等の支払を受ける居住者に、その給与等の支払者(二以上ある場合は主たる給与等の支払者)を経由した提出を求めています。事業所から見れば、新しく採用したヘルパーの最初の給与を払う日の前日までに、申告書を受け取るのが基本の流れです。

掛け持ちで働くヘルパーは、条文の「主たる給与等の支払者」にだけ申告書を出します。出さなかった事業所の給与は、乙欄で源泉徴収することになります。採用時に、他の勤務先で申告書を出していないかをヘルパー本人に確かめておくと、欄の取り違えを防げます。

なお、所得税法第195条には、二以上の支払者から給与を受ける人が一定の場合に出す「従たる給与についての扶養控除等申告書」の定めがあります。この申告書を受け取った場合の扱いは、この記事では扱いません。所轄の税務署に確認してください。

年の途中で扶養親族の状況が変わるなど、申告書に書いた事項に異動が生じたときは、同条第3項により、異動を生じた日後最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、異動の申告書を出します。

丙欄を使える期間と、2か月を超えたとき

契約期間が2か月以内の日給・時間給のヘルパーには、日額表の丙欄を使います。国税庁タックスアンサー No.2514は、あらかじめ定められた雇用契約の期間が2か月以内であるとき、又は日々雇い入れる場合に継続して2か月を超えて支払わないときが当てはまるとしています。

最初の契約期間が2か月以内でも、契約の延長や再雇用で2か月を超えることがあります。この場合は、契約期間が2か月を超えた日から、丙欄は使えません。短期の臨時ヘルパーの契約を更新するときは、更新の日付と、その日以降に使う欄を記録に残しておきます。

税額表に当てはめる金額は、その月の給与の金額から、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などの社会保険料等を控除した後の金額です(No.2511)。

年末調整の対象になる人との関係

国税庁のタックスアンサー No.2665は、年末調整の対象となる人を、扶養控除等申告書を年末調整を行う日までに提出している一定の人と説明しています。12月に行う年末調整の対象は、1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職して年末まで勤務している人です。1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人などは除かれます。

年の中途で退職した人は、原則として年末調整の対象になりません。例外の1つが、パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下である人です。ただし、退職後にその年に他の勤務先から給与を受ける見込みがある人は除かれます。

登録ヘルパーの退職時の手続きは、訪問介護員の退職時手続きで確認できます。

年末調整や翌年1月の法定調書を含む月別の期限は、労務・税務の年間カレンダーにまとめています。源泉所得税を半年分まとめて納める特例は、源泉所得税の納期の特例で扱っています。

採用時に確かめること(事業所の運用の例)

次の表は、上の決まりに合わせた事業所の運用の例で、国税庁が定めた様式ではありません。個別の税額は、国税庁の税額表で求め、判断に迷う場合は所轄の税務署に確認します。

給与を払う前に確かめること(事業所の運用の例)
確認すること根拠となる決まり
最初の給与を払う日の前日までに、扶養控除等申告書を受け取ったか所得税法第194条第1項
掛け持ちのヘルパーは、自社を主たる給与等の支払者としているか所得税法第194条第1項(二以上の支払者の場合)
申告書を受け取っていないヘルパーの給与を、乙欄で求めているか所得税法第185条第1項第2号
日給・時間給で契約期間が2か月以内のヘルパーは、2か月を超えた日から丙欄をやめているか国税庁タックスアンサー No.2514
扶養親族の異動の申告を受けたら、次の給与から反映しているか所得税法第194条第3項

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に、国税庁のタックスアンサー No.2511・No.2514・No.2665(いずれも令和8年4月1日現在の法令等)と、e-Govの所得税法第185条・第194条を読んで書きました。税額表の具体的な金額は載せていません。最新の税額表は国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」で確かめてください。

令和9年分以後は、源泉徴収の対象が「所得税、防衛特別所得税及び復興特別所得税」になると国税庁は案内しています。この記事は、個々の給与の税額や、ヘルパー個人の確定申告の要否を判断するものではありません。個別の事情は所轄の税務署に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. ヘルパーごとに、扶養控除等申告書を受け取った日と、最初の給与を払う日を並べ、申告書が最初の給与を払う日の前日までに届いているかを確かめる
  2. 他の勤務先でも働くヘルパーには、他の勤務先に扶養控除等申告書を出していないかを本人に聞き、自社が主たる給与等の支払者かを記録する
  3. 申告書を受け取っていないヘルパーの給与は乙欄、受け取ったヘルパーの給与は甲欄で求め、日給・時間給で契約期間が2か月以内のヘルパーだけ丙欄を使う
  4. 契約を延長・更新したヘルパーは、契約期間が2か月を超えた日を記録し、その日から丙欄をやめて甲欄か乙欄に切り替える。判断に迷う点は所轄の税務署に確認して日付とともに残す

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隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

扶養控除等申告書を出してもらえないヘルパーの給与は、どの欄で源泉徴収しますか?

国税庁のタックスアンサー No.2511と所得税法第185条は、扶養控除等申告書を提出していない人に支払う給与を乙欄で求めるとしています。ただし、日雇賃金に当たる給与は丙欄を使います。

掛け持ちで働くヘルパーの扶養控除等申告書は、事業所ごとに出してもらいますか?

所得税法第194条第1項は、給与等の支払者が二以上ある場合は、主たる給与等の支払者に申告書を提出すると定めています。主たる支払者でない事業所は、この申告書の提出を受けていないため、給与は乙欄で求めます。どの事業所が主たるかは、ヘルパー本人に確認します。

契約期間が2か月以内の時給のヘルパーは、必ず丙欄になりますか?

国税庁のタックスアンサー No.2514は、あらかじめ定められた雇用契約の期間が2か月以内で、日給や時間給で給与を払う場合に、日額表の丙欄を使うとしています。契約の延長などで2か月を超えたときは、超えた日から丙欄を使えません。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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