運営 / 更新 2026-10-13
訪問介護の業務改善助成金:最低賃金の引上げ額・助成率・上限額と申請期限(令和8年度)
事業所で最も低い時給を引き上げ、生産性を高める設備投資をしたとき、その費用の一部が戻る制度に、厚生労働省の業務改善助成金があります。令和8年度は、引上げ額が50円以上・70円以上・90円以上の3つのコースで、助成率は4/5か3/4、上限額は引き上げる人数で変わります。このページは、厚生労働省のページとリーフレットで、コース、助成率、上限額、対象になる労働者、申請期間、交付決定前の注意点を整理します。
この記事で決めること
事業場内で最も低い時給を引き上げて記録の電子化などの設備投資を考える訪問介護事業所の経営者や担当者が、業務改善助成金の令和8年度のコース、助成率、助成上限額、対象になる労働者、申請期間と交付決定前の注意点を、厚生労働省の案内で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、業務改善助成金の確認票(現在の事業場内最低賃金とその労働者、地域別最低賃金の発効日、申請するコースと引き上げる人数、設備投資の見積もり、申請の期限)を作成できる状態を目指します。
業務改善助成金の仕組みと、助成される額の決まり方
厚生労働省のページによると、業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備の導入やコンサルティングなど)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。引上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請し、交付決定の後に計画どおり進めて結果を報告すると、費用の一部が支給されます。
助成される額は、設備投資等の費用に助成率をかけた額と、助成上限額を比べて、安い方です。リーフレットの例では、事業場内最低賃金が1,040円で助成率が4/5のとき、設備投資が600万円なら助成率をかけた額は480万円ですが、8人を90円引き上げる90円コースの上限額が450万円なので、450万円が支給されます。
事業場内最低賃金は、事業場で最も低い時間給を指します。ただし、この助成金では、雇入れ後6か月を経過した雇用保険の被保険者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。労働者がいない事業所は対象になりません。
令和8年度のコースと上限額、助成率
リーフレットによると、令和8年度のコースは、事業場内最低賃金を50円以上、70円以上、90円以上引き上げる3つです。助成上限額は、コースと、引き上げる労働者数、事業場の規模で決まります。次の表は、1人から7人までを引き上げる場合の上限額です。
助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金で決まります。1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4です。令和7年度は1,000円が境でしたが、令和8年度に1,050円へ見直されました。
事業場内最低賃金が1,050円未満の事業場に係る申請をする事業者などは「特例事業者」として、10人以上を引き上げる区分の上限額(50円コース130万円、70円コース300万円、90円コース600万円)を使えます。
| コース(引上げ額) | 引き上げる労働者数 | 事業場規模30人未満以外 | 事業場規模30人未満 |
|---|---|---|---|
| 50円以上 | 1人 | 30万円 | 40万円 |
| 50円以上 | 2〜3人 | 40万円 | 70万円 |
| 50円以上 | 4〜5人 | 70万円 | 70万円 |
| 50円以上 | 6〜7人 | 90万円 | 90万円 |
| 70円以上 | 1人 | 40万円 | 50万円 |
| 70円以上 | 2〜3人 | 50万円 | 100万円 |
| 70円以上 | 4〜5人 | 130万円 | 130万円 |
| 70円以上 | 6〜7人 | 180万円 | 180万円 |
| 90円以上 | 1人 | 90万円 | 100万円 |
| 90円以上 | 2〜3人 | 150万円 | 240万円 |
| 90円以上 | 4〜5人 | 270万円 | 270万円 |
| 90円以上 | 6〜7人 | 360万円 | 360万円 |
対象になる事業者と、引き上げる労働者の数え方
対象事業者は、中小企業・小規模事業者で、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であり、解雇や賃金の引下げなどの不交付事由がない事業者です。申請は、事業所ごとに行います。同一事業所の申請は年度内1回までです。
引き上げる労働者は、週の所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者です。リーフレットによると、事業場内最低賃金である労働者のほか、その賃金を引き上げることで賃金額が追い抜かれる労働者も、申請コースと同額以上引き上げれば人数に数えられます。すでに引上げ後の事業場内最低賃金以上の労働者は数えられません。
雇用保険に入っていない人や、週の所定労働時間が20時間未満の人は、引き上げる労働者の人数に数えられません。誰が数えられるかは、事業所の賃金台帳と雇用保険の加入状況で確かめ、迷う場合は管轄の労働局に確認します。
申請の期限と、交付決定前に買えない条件
リーフレットとページによると、令和8年度の申請期間は、令和8年9月1日から、事業所の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日か同年11月30日の、いずれか早い日までです。地域別最低賃金の発効日が早い都道府県では期限も早くなるため、厚生労働省は再周知をしています。賃金引上げは、地域別最低賃金の発効日の前日までに行う必要があり、発効日の当日に引き上げた場合は対象外です。
交付決定の前に助成対象の設備を導入した場合は、助成の対象になりません。また、引上げは複数回に分けられず、引上げ後の事業場内最低賃金と同額を就業規則等に定める必要があります。
納品日、支払完了日、賃金引上げ日のうち最も遅い日が事業完了期限で、交付決定年度の1月31日です。やむを得ない理由があれば、事前の申請で3月31日までに延長される場合があります。
予算の範囲内で交付されるため、申請期間内に募集が終わる場合があります。申請先は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
訪問介護で使うときの注意と、このページの範囲
助成の対象は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」です。リーフレットの例は、レジシステムや送迎用車両などで、訪問介護に特化した例は載っていません。
記録の電子化やシフト管理のソフトなどが対象経費に当たるかは、見積もりを取る前に、管轄の労働局に確認します。パソコンやタブレットは、物価高騰等要件に当たる特例事業者の新規導入に限って対象になります。
この助成金は、引き上げた賃金そのものではなく、設備投資等にかかった費用の一部を助成するものです。賃金を引き上げる計画は、処遇改善加算の賃金改善の配分で確認する処遇改善加算の賃金改善とは別に、事業所の賃金台帳で確かめます。
このページが確認したのは、厚生労働省の業務改善助成金のページと令和8年度のリーフレットです。個々の事業所が対象になるか、いくら支給されるかは判断しません。詳しい条件は、業務改善助成金コールセンターか管轄の労働局で確認してください。
自社の時給が最低賃金を下回らないかは訪問介護員の時給と最低賃金で、開業で確認する公的な助成金・補助金の全体は公的な助成金・補助金の確認先で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 事業所で最も低い時給と、その人が雇入れ後6か月を経過した雇用保険の被保険者かを確認票に書く。引上げ前の額が1,050円未満なら助成率は4/5、1,050円以上なら3/4で、令和8年度の地域別最低賃金を下回っていることも条件になる
- 引き上げる額が50円以上・70円以上・90円以上のどのコースか、引き上げる人数(週の所定労働時間20時間以上の雇用保険加入者)を決め、上限額を厚生労働省のリーフレットの表で確かめる。引上げは複数回に分けられないので、1回で完了する日を決めて就業規則等の改正日も書く
- 記録の電子化など設備投資の見積もりを取り、助成率をかけた額と上限額の安い方を、おおよその助成額として書く。交付決定の前に購入や契約をすると対象外になるので、発注日は交付決定の通知より後にする。対象経費に当たるかは、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に確認する
- 申請の期限は、事業所の都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い方で、賃金の引上げも発効日の前日までに終える。納品・支払い・賃金引上げのすべてを交付決定年度の1月31日までに終える日程を、確認票に書く
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「業務改善助成金(ページ)」(確認日 2026-10-13)
- 厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内(リーフレット)」(確認日 2026-10-13)