運営 / 更新 2026-10-20

訪問介護事業所の両立支援等助成金(介護離職防止支援コース):支給額・要件・申請期限

両立支援等助成金の介護離職防止支援コースは、職員が家族の介護に直面したときに、介護休業の取得と職場復帰、時差出勤などの両立支援制度の利用を支援した中小企業事業主に支給される助成金です。この記事は、厚生労働省の支給要領(令和8年4月8日改正)をもとに、助成金の種類、支給額、就業規則とプランの要件、申請期限を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

助成金の種類と、中小企業事業主の要件

厚生労働省の支給要領(令和8年4月8日改正)は、介護離職防止支援コースの助成金を6つに分けています。介護休業、介護両立支援制度、業務代替支援、介護休暇制度有給化支援、有期雇用労働者加算、環境整備加算です。このうち、職員が介護休業を取って復帰したときの介護休業と、時差出勤などの制度を使ったときの介護両立支援制度が中心になります。

支給の対象は中小企業事業主で、判定は支給申請日の属する月の初日における資本金等の額または企業全体で常時雇用する労働者の数で行います。助成金は事業主単位で支給され、事業所単位ではありません。1つの法人が複数の事業所を持っていても、法人が1つの事業主です。

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や労務担当者が、ヘルパーや事務職員が家族の介護に直面したとき、両立支援等助成金の介護離職防止支援コースで介護休業や両立支援制度の利用に対していくら支給されるか、支給の要件(就業規則・両立支援プラン・面談・職場復帰)、申請の期限を、厚生労働省の支給要領で確かめたい。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、介護離職防止支援コースの準備メモ(就業規則の定め・方針の周知日・プラン策定面談の記録・休業と復帰の日付・申請期限)を作成できる状態を目指します。

共通の支給要件:就業規則と方針の周知

支給要領は、介護休業の制度と所定労働時間の短縮等の措置を、対象労働者の休業等の開始前に労働協約または就業規則に規定していることを求めています。単に育児・介護休業法に準拠すると書くだけでは、制度を規定しているとは判断されません。手続きや賃金の取扱いを規定し、その範囲で運用します。

もう1つは、プランにより介護休業の取得と職場復帰、両立支援制度の利用を支援する方針を、就業規則に書くか文書にして、あらかじめ全労働者へ周知していることです。周知は休業の開始日などの前日までに行いますが、休業などの開始と同時並行でもよいとされています。休業や制度利用の終了後に行った周知は、支給の対象外です。

育児・介護休業法などの重大な違反がある場合や、育児・介護休業法に違反して助言または指導を受けたのに是正していない場合も、支給されません。就業規則や制度の内容は訪問介護事業所の育児・介護休業の義務で確認できます。

支給額と主な要件:介護休業・両立支援制度・業務代替支援

次の表は、支給要領の支給額と主な要件を抜き出したものです。要件には細かい条件が付いており、休業日数は所定労働日に対する日数で数えます。実際に当たるかどうかは、支給要領の全文と都道府県労働局で確かめます。

介護離職防止支援コースの主な支給額と要件(令和8年4月8日改正の支給要領から抜粋)
助成金主な要件支給額
介護休業プランを作って同一の対象家族について連続5日以上の介護休業を取得させ、原則として原職等に復帰させる(本人の希望による例外あり)。復帰後は雇用保険被保険者として3か月以上継続雇用する40万円(連続15日以上は60万円)。1事業主5人まで
介護両立支援制度プランを作って、時差出勤・短時間勤務・在宅勤務・フレックスタイム制度のいずれかを、利用開始日から1年以内に合計20日間以上利用させる(時差出勤と短時間勤務には、1時間以上などの条件がある)。介護サービス費用補助制度は、6か月の間に負担額の5割程度以上または10万円以上を補助する。利用後も1か月以上継続雇用する制度1つの導入で20万円(利用60日以上は30万円)。2つ以上の導入で25万円(同40万円)。60日以上の増額は費用補助を除く。1事業主5人まで
業務代替支援(新規雇用)連続5日以上の介護休業を取得させ、休業した職員の業務を代替する人を確保する20万円(連続15日以上は30万円)
業務代替支援(手当支給等)休業した職員または短時間勤務の職員の業務を代替する職員に、代替業務に対応した手当を支給する介護休業は5万円(連続15日以上は10万円)、短時間勤務は3万円

プランと面談:訪問介護事業所が用意する記録

介護休業の助成金では、家族の要介護の事実を把握したあと、上司か人事労務担当者が職員と少なくとも1回面談して、プラン(面談シート兼用)を作ります。プランには、少なくとも職員の業務の整理と引き継ぎに関する措置を定め、実際に引き継ぎを行います。

休業のあとは、上司か人事労務担当者がフォロー面談をして記録し、原則として休業前の職務である原職等に復帰させます。この復帰の取扱いは、休業の対象者が復帰するまでに就業規則へ規定しておきます。訪問介護では、休業するヘルパーの担当利用者をほかのヘルパーへ引き継ぐ手順が、業務の整理にあたると考えられます。これは事業所の運用の例で、支給要領が訪問介護を例示しているわけではありません。

申請の期限と提出先

介護休業の助成金は、対象労働者の介護休業終了日の翌日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内に、支給申請書を提出します。復帰後3か月の継続雇用を確かめてから申請する形です。

提出先は、人事労務管理の機能を持つ部署がある事業所(本社等)の所在地を管轄する都道府県労働局です。電子申請では、申請書に代えて指定の様式を使います。

事業所で決めておくこと(運用の例)

次の表は、上の支給要領に合わせた確認の例で、国が定めた様式ではありません。

介護離職防止支援コースの準備で確認すること(事業所の運用の例)
確認すること根拠となる資料
就業規則に介護休業の手続きと賃金の取扱いを書いているか(準拠するとだけ書いていないか)支給要領0300(支給要件)
両立支援の方針を、就業規則か文書で全労働者に周知した日を残しているか支給要領0300(支給要件)
家族の介護を知ったら、休業や制度利用の開始前を目安に面談してプランを作り、引き継ぎの内容を記録しているか(休業期間中の作成も可だが、終了後は対象外)支給要領0300a・0300b
復帰後のフォロー面談の記録と、3か月の就業実績を確認できるか支給要領0300a
申請期限(終了日の翌日から3か月が経過する日の翌日から2か月以内)を台帳に書いたか支給要領0402a

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に、厚生労働省の「両立支援等助成金 介護離職防止支援コース」の支給要領(令和8年4月8日改正)を読んで書きました。支給額や要件は年度の途中でも改正されるため、申請の前に最新の要領と手引きを確認してください。

介護休暇制度有給化支援、有期雇用労働者加算、環境整備加算の要件、提出書類の一覧、中小企業事業主の資本金・従業員数の具体的な基準は扱っていません。支給の可否や申請書類の作成は、都道府県労働局や社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 就業規則に、介護休業の手続きや賃金の取扱い、所定労働時間の短縮等の措置を定めているかを確認する。育児・介護休業法に準拠するとだけ書いた規定では、制度を規定しているとは判断されない
  2. プランにより介護休業の取得と職場復帰、両立支援制度の利用を支援する方針を、就業規則に書くか文書にして、全労働者へ周知した日を記録する
  3. 職員の家族の介護が分かったら、上司か人事労務担当者が面談してプラン(面談シート兼用)を作り、業務の整理と引き継ぎを進める。休業後は復帰の面談を記録して原職等に復帰させる
  4. 介護休業終了日の翌日から3か月が経過する日の翌日から2か月以内という申請期限を、休業の終了日が決まった時点で手帳や台帳に書き、管轄の都道府県労働局へ提出する

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よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

介護休業を取らせると、事業所はいくら助成金を受けられますか?

厚生労働省の支給要領(令和8年4月8日改正)によると、要件を満たした介護休業の取得と職場復帰で40万円です。所定労働日に対する休業日数が連続15日以上の場合は60万円で、1事業主あたり5人までが対象です。金額は改正されるため、申請時に最新の要領で確かめてください。

就業規則に「育児・介護休業法に準ずる」と書いてあれば足りますか?

足りません。支給要領は、労働協約または就業規則で単に育児・介護休業法に準拠する旨を書くだけでは、制度を規定しているとは判断しないとしています。介護休業の手続きや賃金の取扱いなどを事業所の規定に書き、その範囲で運用している必要があります。

介護休業の助成金は、いつまでに申請しますか?

支給要領は、対象労働者の介護休業終了日の翌日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内と定めています。申請先は、人事労務管理を行う部署がある事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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