運営 / 更新 2026-10-27

訪問介護の利用者の写真をホームページや機関誌に載せるとき:原則として本人の同意が必要

事業所だよりやホームページに、行事で撮った利用者の写真を載せたいときは、原則として本人の同意が必要です。個人情報保護委員会と厚生労働省の『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス』に関するQ&A(事例集)が、Q4-15でそう答えています。この記事は、そのQ&Aの答えと、顔にマスキングをした写真の扱い、文書の同意が求められる場面を整理し、SNSへの投稿に触れた記載はQ&Aで確認できなかったため扱いません。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

Q&Aの答え:第三者の閲覧に供する写真は原則として本人の同意が必要

Q4-15は、ホームページや機関誌に行事などにおける利用者の写真を掲載する場合に本人の同意を得る必要があるか、介護保険施設内に写真を展示する場合はどうか、と問います。答え(A4-15)は、写真も個人を識別できるものであれば個人情報に当たるとしています。

そのうえで、ホームページや機関誌への掲載、施設内への展示等を通じて写真を第三者の閲覧に供するときは、原則として本人の同意を得る必要がある、と答えています。Q&Aは、ホームページだけでなく、紙の機関誌と介護保険施設内の展示も同じ答えの対象に挙げています。訪問介護事業所の掲示への当てはめは、Q&Aに書かれていません。

このQ&Aは、平成29年5月30日に作られ、令和8年4月に一部改正されたものです。大阪市のサイトに掲載されたPDFを2026-10-27に確認しました。

この記事で決めること

訪問介護事業所が利用者の写真をホームページ・機関誌・事業所内の掲示などに載せたいとき、本人の同意が要るのか、顔を隠せば足りるのかを知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、利用者の写真の掲載同意の確認表(写真を使う媒体ごとに、掲載の可否、本人の同意の取り方、同意を得た日付を並べた表)を作成できる状態を目指します。

顔にマスキングをした写真は個人情報でなくなるか

Q2-11は、氏名などを削除した情報が個人情報に当たるかを問います。答え(A2-11)は、顔写真に一定のマスキングを行って、それ単体では特定の個人を識別できないよう加工した場合でも、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人(患者・利用者等)を識別できる場合は、当該情報と合わせて全体として個人情報に該当する、としています。

訪問介護の事業所では、事業所だよりに写真と一緒に行事の日付や参加者の紹介文を載せることがあります。Q&Aの文面から、顔を隠したことだけで同意が不要になると言い切ることはできません。写真に添える文章や、見る人が知っている情報と合わせて利用者が分かるかどうかを、掲載の前に確かめることになります。

どの程度のマスキングなら個人を識別できないといえるかは、Q&Aに基準が書かれていません。個別の写真についての判断は、個人情報保護委員会や自治体の相談窓口に確かめてください。

同意は文書で取る必要があるか

Q3-1は、本人の同意を得るときに文書で同意を得る必要があるかを問います。答え(A3-1)のうち、介護関係事業者について書かれているのは、介護保険法に基づく指定基準により、サービス担当者会議等で利用者または家族の個人情報を使用する場合は、利用者または家族から文書による同意を得ておく必要があることに留意が必要、という点です。

この文書同意は、サービス担当者会議等で個人情報を使う場面についての定めです。写真の掲載の同意を文書で取るべきかどうかは、A3-1とA4-15のどちらにも書かれていません。そのため、写真の掲載について文書で同意を取ることが義務だとは、この記事では言えません。

同意を得た事実を後から示せるよう、いつ、どの媒体に載せることについて同意を得たかを記録に残しておく方法は、この記事の見解です。Q&Aに書かれた手順ではありません。サービス担当者会議等の文書同意は訪問介護の秘密保持(基準第33条)で整理しています。

事業所で決めておくこと:媒体ごとの確認表

写真を使う場面を、ホームページ、機関誌、事業所内の掲示、チラシなどに分け、第三者の閲覧に供するものかどうかで整理します。第三者の閲覧に供する写真は、Q&Aの答えどおり原則として本人の同意を得ます。利用者が自分で意思を伝えられない場合の同意の取り方は、Q&Aのこの項からは分かりません。

同意を得た媒体と別の媒体へ同じ写真を使い回さないよう、写真の保管場所と使用先をまとめた台帳を持つことも考えられます。これもこの記事の見解で、Q&Aの手順ではありません。

要配慮個人情報の範囲や、本人の同意なしで第三者に提供できる例外は訪問介護の個人情報:要配慮個人情報の範囲と、本人の同意なしで第三者に提供できる場合にあります。利用開始時に説明する事項は訪問介護の重要事項説明書:記載事項と交付・同意で確かめられます。

この記事で確認した範囲

確認したのは、個人情報保護委員会と厚生労働省のQ&A(事例集)のQ2-11・Q3-1・Q4-15とその答えです。写真の同意を訪問介護に特化して述べた国の資料や、SNSへの投稿に触れた記載は確認できていません。

従業者が私的に利用者の写真を撮ること、同意の撤回の申出への対応、写真を使った広告の表現は、確認できた資料に書かれていないため扱っていません。運営基準第33条の秘密保持との関係も含め、迷う場合は事業所の所在地の指定権者や個人情報保護委員会の相談窓口に確かめてください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 写真を使いたい場面(ホームページ、機関誌、事業所内の掲示、チラシ)を書き出し、第三者の閲覧に供するかどうかで分ける
  2. 写真に写る利用者が識別できるかを確かめ、顔のマスキングだけで足りるとせず、他の情報と合わせて特定できないかを見る
  3. 第三者の閲覧に供する写真は原則として本人の同意を得て、同意を得た媒体と範囲を記録に残す
  4. 同意を得た媒体以外へ使い回さないよう、写真の保管場所と使用先を台帳にまとめ、同意の撤回の申出があったときの連絡先を決める

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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