運営 / 更新 2026-10-14

訪問介護の重要事項説明書:記載事項と交付・同意

訪問介護の事業者は、サービスの提供を始める前に、重要事項を記した文書を利用申込者に交付して説明し、同意を得なければなりません。運営基準(平成11年厚生省令第37号)第8条の定めで、条文に名前はありませんが、実務ではこの文書を重要事項説明書と呼びます。このページは、第8条と厚生労働省の留意事項通知(老企第25号)で、記載事項、説明と同意、交付の時期、運営規程との違いを整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護の開業準備者や管理者が、重要事項説明書に何を書き、いつ誰に交付して説明し、同意をどう残すのか、運営規程とは何が違うのかを、省令第8条と留意事項通知で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、重要事項説明書の点検表(運営規程の概要、勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、交付と説明の日、同意の記録、電子で提供する場合の承諾の記録)を作成できる状態を目指します。

第8条が求めること:提供の開始前に、文書を交付して説明し、同意を得る

第8条第1項は、指定訪問介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者またはその家族に対し、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、提供の開始について利用申込者の同意を得なければならないと定めています。

交付の時期は、条文では「提供の開始に際し、あらかじめ」です。サービスを始める前に済ませておく必要があります。何日前までといった日数は、条文にも通知にも書かれていません。

記載事項:運営規程の概要、勤務の体制、選択に役立つ重要事項

条文が挙げる記載事項は、運営規程の概要と訪問介護員等の勤務の体制の2つに、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を加えたものです。

通知は、その他の重要事項の例として、事故発生時の対応と苦情処理の体制を挙げています。通知の書き方は「事故発生時の対応、苦情処理の体制等」で、これらに限るとは書かれていません。利用者がサービスを選ぶために必要な事項が対象です。

通知は、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書で交付して、懇切丁寧に説明するよう求めています。他の介護保険事業を併せて実施している場合は、そのパンフレット等を一体的に作成してもよいとされています。

事故発生時の対応と苦情処理の体制は、それぞれ事故発生時の対応と苦情処理の基準で整理しています。

運営規程との違い:運営規程は事業所が定める規程、説明書はその概要を利用者へ伝える文書

運営規程は、第29条に基づいて事業所ごとに定める規程です。事業の目的と運営の方針、従業者の職種・員数・職務の内容、営業日と営業時間、サービスの内容と利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、緊急時等の対応方法、虐待の防止のための措置、その他運営に関する重要事項を定めます。運営規程の内容は運営規程で確かめられます。

重要事項説明書は、その運営規程の概要に、勤務の体制や事故・苦情の対応など利用者の選択に役立つ事項を加えて、利用申込者に交付する文書です。運営規程そのものを渡すことを求める条文ではなく、概要を記すことが求められています。

運営規程と重要事項説明書の違い(省令第8条・第29条、老企第25号、2026-10-14確認)
運営規程重要事項説明書
根拠第29条第8条
誰が使うか事業所が事業の運営について定める利用申込者またはその家族に交付して説明する
内容目的・方針、従業者、営業日時、サービス内容と利用料、通常の事業の実施地域、緊急時の対応、虐待防止、その他運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制、その他サービスの選択に役立つ重要事項(通知の例は事故発生時の対応と苦情処理の体制)
時期事業所ごとに定めておくサービスの提供の開始に際し、あらかじめ

同意:書面で確認することが望ましい

条文は、提供の開始について利用申込者の同意を得ることを求めています。通知は、この同意について、利用者と事業者の双方を保護する立場から、書面によって確認することが望ましいとしています。望ましいという書き方で、書面を必須とは書いていません。

同意の記録やサービスの契約書との関係は、利用契約・重要事項説明・記録の流れで整理しています。

電子で提供する場合:承諾を得て、電磁的方法で提供できる

第8条第2項は、利用申込者またはその家族の申出があった場合に、文書の交付に代えて、承諾を得て、電磁的方法で重要事項を提供できるとしています。この場合は、文書を交付したものとみなされます。

電磁的方法は、電子情報処理組織を使う方法と、電磁的記録媒体に重要事項を記録したファイルを交付する方法です。第3項は、利用申込者またはその家族がファイルの内容を出力して文書を作成できるものでなければならないと定めています。

事業者は、電磁的方法で提供する前に、使う方法の種類と内容、ファイルの記録の方式を示して、文書または電磁的方法で承諾を得なければなりません(第5項)。承諾したあとで、利用申込者またはその家族から提供を受けない旨の申出があれば、電磁的方法で提供してはならず、再び承諾した場合は提供できます(第6項)。電子での書類の扱い全般は電子での提供・保存で整理しています。

このページの範囲

このページが確認したのは、省令第8条と第29条の条文、老企第25号の「内容及び手続の説明及び同意」です。通知のこの部分は、老企第25号の一部改正の新旧対照表で改正前後が同じ文言であることを確認しています。

重要事項説明書の雛形、個別の記載文言が適切かどうか、自治体が示す様式や指導の運用は扱っていません。指定を受ける指定権者の案内を確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 運営規程の項目(目的・方針、従業者、営業日時、内容と利用料、通常の事業の実施地域、緊急時の対応、虐待防止、その他)を書き出し、説明書に概要として載せる箇所を決める
  2. 訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制など、利用者がサービスを選ぶのに役立つ事項を、わかりやすい文書にまとめる
  3. サービスの提供を始める前に、利用申込者または家族へ文書を交付して説明し、同意を書面で受け取って保存する
  4. 電子で提供する場合は、先に方法の種類と内容を示して承諾を文書または電磁的方法で得て、承諾の記録を残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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