運営 / 更新 2026-10-04
訪問介護の秘密保持等(基準第33条):従業者・退職者の守秘義務とサービス担当者会議での個人情報の同意
訪問介護の事業所では、利用者や家族の暮らしの事情を業務で知る機会が多くあります。運営基準第33条は、これらの秘密の保持について、現に働いている従業者、退職した従業者、サービス担当者会議などで個人情報を使う場面の3つに分けて定めています。この記事は、第33条の3つの項と、解釈通知が示す具体的な措置を、e-Govの条文と厚生労働省の通知から整理します。個人情報保護法の取扱い全般と、個別の事案が秘密の漏えいに当たるかの判断は扱いません。
この記事で決めること
訪問介護事業者が、運営基準第33条に基づいて、従業者と退職した従業者の秘密保持のためにどんな措置を講じ、サービス担当者会議等で利用者・家族の個人情報を使うときにどんな同意を文書で得るのかを、条文と解釈通知から確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、秘密保持と個人情報の同意の整備表を作成できる状態を目指します。
第33条が定める3つの項
第33条第1項は、指定訪問介護事業所の従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者またはその家族の秘密を漏らしてはならないと定めています。第2項は、指定訪問介護事業者に対し、その事業所の従業者であった者が、正当な理由なく、業務上知り得た秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じることを求めています。第3項は、サービス担当者会議等で利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、家族の個人情報を用いる場合は家族の同意を、あらかじめ文書により得ておくことを求めています。
第1項の義務を負うのは従業者で、第2項と第3項の義務を負うのは事業者です。そのため、事業所側が整える必要があるのは、主に第2項と第3項の部分です。
| 項 | 義務を負う人 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1項 | 従業者 | 正当な理由なく、業務上知り得た利用者・家族の秘密を漏らさない |
| 第2項 | 事業者 | 従業者であった者が秘密を漏らさないよう、必要な措置を講じる |
| 第3項 | 事業者 | サービス担当者会議等で個人情報を用いる前に、利用者・家族それぞれの同意を文書で得る |
退職した従業者への措置(第2項と解釈通知)
厚生労働省の解釈通知(老企第25号 第三の3(21))は、第2項の「必要な措置」を、従業者が従業者でなくなった後も秘密を保持すべき旨を、雇用時などに取り決めておくこととして説明しています。例として、違約金についての定めをおくなどの措置を挙げています。
通知が示しているのは、雇用時に取り決めておくという時期と、違約金の定めが例の一つであるという点です。違約金の金額や、定めが法的に有効かどうかは、通知に書かれておらず、個別の労務・法律の判断になります。この記事では判断しません。雇用時の書類づくりは訪問介護員の採用・研修・定着計画と一緒に整理できます。
サービス担当者会議等での個人情報の同意(第3項と解釈通知)
解釈通知は、第3項を、訪問介護員等がサービス担当者会議等で、課題分析情報などを通じて利用者の問題点や解決すべき課題などの個人情報を、介護支援専門員や他のサービスの担当者と共有するためには、事業者があらかじめ文書により利用者または家族から同意を得る必要があることを定めたものと説明しています。さらに、この同意は、サービス提供開始時に利用者と家族から包括的な同意を得ておくことで足りるとしています。
つまり、会議のたびに同意書をもらい直す必要はなく、サービスの提供開始時に、会議等で情報を共有することへの同意を文書で得ておけば足りる、というのが通知の読み方です。利用者本人の同意と家族の同意は、それぞれの個人情報について別に求められる点に注意します。契約時の文書の流れは訪問介護の利用契約・重要事項説明・記録の流れで、ケアマネジャーとの情報のやり取りは訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告で確認できます。
確認が必要な事項と事業所での運用例
確認した範囲の条文と通知には、「正当な理由」にどのような場合が当たるか、同意書に書くべき項目、同意書の保存期間は書かれていません。個人情報保護法など別の法令に基づく義務の範囲も、この記事では確認していません。これらは事業所の所在地の指定権者や、個人情報保護の担当窓口に確認します。確認先の一覧は指定権者に確認する事項の一覧にあります。
運用の例としては、雇用契約や入社時の誓約書に、退職後も秘密を保持する旨を入れる、サービス提供開始時の契約書や同意書に、サービス担当者会議等で利用者・家族の情報を共有することへの同意の欄を設け、利用者と家族のそれぞれから署名をもらう、同意書の写しを利用者ごとの記録として保存する、といった方法があります。
従業者が虐待を発見したときの通報は、守秘義務とは別の条文で扱われます。訪問介護の従業者による虐待の通報義務で、通報と守秘義務の関係を確認できます。掲示・広告など運営上のほかの守るべき基準は訪問介護の運営上守る基準にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 雇用契約や入社時の誓約書に、退職後も業務上知り得た利用者・家族の秘密を保持する旨を入れているかを確認し、足りなければ様式を直す
- サービス提供開始時の契約書や同意書に、サービス担当者会議等で個人情報を共有することへの同意の欄を設け、利用者と家族のそれぞれから文書で同意を得る
- 同意書の写しを利用者ごとの記録に綴じ、同意を得た日と署名者を確認できる状態にしておく
- 「正当な理由」の範囲や同意書の保存期間など条文に書かれていない事項を、指定権者に確認して手順書に反映する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。