運営 / 更新 2026-10-20
認知症専門ケア加算の割合の数え方:通知の「平均」とQ&A Vol.4の「いずれかの月」
訪問介護の認知症専門ケア加算の割合について、留意事項通知は前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均と書き、令和6年度介護報酬改定のQ&A(Vol.4)問1は、前3月間のうちいずれかの月の利用者数で算定すると答えています。書き方が異なるため、原文を並べて比べ、事業所が確かめることを整理します。
通知とQ&Aの書き方の違い
対象者の割合は、加算(Ⅰ)が認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上で2分の1以上、加算(Ⅱ)がⅢ以上で100分の20以上です。数え方について、2つの文書の書き方が次のように違います。単位数と研修などほかの要件は、訪問介護の認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ) 1日3単位・4単位の要件と対象者の割合で解説しています。
どちらが優先されるかを説明する公的な文書は、確認できていません。Q&A(Vol.4)は令和6年4月18日付で、問1の末尾には、令和6年3月15日付のQ&A(Vol.1)の問25を削除するとの記載もあります。割合の届出と毎月の確認は事業所ごとの運用に関わるため、どちらの数え方で行うかは指定権者に確認してください。
| 文書 | 書いていること | この文書が書いていないこと |
|---|---|---|
| 留意事項通知(老企第36号) | 算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均で算定する。届出後も直近3月間の割合が毎月継続的に所定の割合以上であることが必要で、毎月記録し、下回ったときは直ちに届出を提出する | 「平均」の具体的な計算式 |
| Q&A(Vol.4)問1 | 前3月間のうち、いずれかの月の利用者数で算定する。利用者数は利用実人員数又は利用延人員数を用いる | 3月間の平均を取る場合の扱い |
この記事で決めること
訪問介護の認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ)の対象者の割合(自立度Ⅱ以上が2分の1以上、Ⅲ以上が100分の20以上)を数える事業所が、留意事項通知の「前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均」と、令和6年度介護報酬改定Q&A(Vol.4)問1の「前3月間のうち、いずれかの月の利用者数」の書き方の違い、実人員数で月途中に自立度が変わったときの月末の区分、小数点第二位以下の切り捨て、毎月の記録と届出を、原文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、認知症専門ケア加算の割合の月次計算表(事業所の運用例:月別の利用者数・自立度Ⅱ以上・Ⅲ以上の数と割合)を作成できる状態を目指します。
Q&A(Vol.4)問1の計算の決まり
問1は、前3月間のうちいずれかの月の利用者数で算定するとしたうえで、例を示しています。例では、3月の利用延人員数による割合が要件を満たしたため、その実績をもって4月から6月は加算(Ⅰ)を算定できると書いています。
利用実人員数による計算で、月の途中に認知症高齢者の日常生活自立度の区分が変わったときは、月末の区分を用いて計算します。割合は小数点第二位以下を切り捨てて示されています。
問1は訪問系サービス全体を対象にした問いで、計算例は(介護予防)訪問入浴介護の加算(Ⅰ)のものです。要支援者を利用者数に含める扱いなどは訪問入浴介護について書かれたことで、訪問介護の計算にそのまま当てはまるとは書かれていません。
Q&Aの計算例の数字
問1の計算例は、利用者10人(自立度なしからMまで)の事業所で、1〜3月の利用実績の日数を使っています。利用実人員数では、毎月、利用者10人のうち自立度Ⅱ以上が4人で、40.0%です。利用延人員数では、次の表の割合になります。
例の読み方として、利用実人員数による割合はどの月も2分の1未満ですが、3月の利用延人員数による割合は2分の1以上になっています。この例では、実人員数と延人員数で結果が分かれています。
| 月 | 利用延人員数の総数 | 自立度Ⅱ以上の数 | 割合(小数点第二位以下切り捨て) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 61人 | 24人 | 39.3%(2分の1未満) |
| 2月 | 60人 | 23人 | 38.3%(2分の1未満) |
| 3月 | 96人 | 57人 | 59.3%(2分の1以上) |
割合を数えるときに事業所が決めておくこと
通知もQ&Aも、計算表の様式を定めていません。次の表の項目は事業所の運用の例で、通知が定めたものではありません。利用者ごとの自立度の確認の順序は、認知症高齢者の日常生活自立度の確認順(主治医意見書・認定調査票)で確かめられます。
| 決めておく事項 | 原文との対応 |
|---|---|
| 毎月、利用者の総数と自立度Ⅱ以上・Ⅲ以上の人数を、実人員数と延人員数の両方で記録する表 | 通知が、割合を毎月記録するものとしている。2つの数え方の違いがあるため、両方の結果を残しておく |
| 利用者の自立度が月の途中で変わったときに、月末の区分で数え直す担当者 | Q&A問1が、実人員数による計算では月末の区分を用いるとしている |
| 割合を切り捨てで出す計算式の置き場所 | Q&A問1の計算例が、小数点第二位以下の切り捨てで示している |
| 所定の割合を下回ったときに届出を出す担当者と期限 | 通知が、下回った場合は直ちに届出を提出するとしている。毎月の点検は訪問介護の加算 月次自己点検チェックリスト(6加算の記録の確認項目)でも確かめられる |
どちらの数え方を使うか迷うときの確認先
届出と毎月の確認でどちらの数え方を使うかは、事業所を指定した都道府県・市町村に確認してください。確認した日と相手、回答の内容は記録に残します。この記事は、個別の事業所が要件を満たすかどうかを判断するものではありません。
この記事が読んだのは、留意事項通知(老企第36号)の新旧対照表の認知症専門ケア加算の項と、厚生労働省老健局の事務連絡「介護保険最新情報Vol.1256」として送付されたQ&A(Vol.4)の本文です。Q&Aは名古屋市が掲載するPDFから確認しました(2026年10月20日)。
Q&Aの問2の月別の表は、印が月のどこに対応するかが文字として読み取れないため書いていません。このQ&A以降の追補や改正は確認していません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 直近の月について、利用者の総数と、自立度Ⅱ以上・Ⅲ以上の人数を、実人員数と延人員数のそれぞれで一覧にする(実人員数で月途中に自立度が変わった利用者は月末の区分に合わせる)
- 各月の割合を出し、小数点第二位以下を切り捨てたうえで、Ⅱ以上は2分の1、Ⅲ以上は100分の20と比べる
- 通知の「前3月間の平均」とQ&Aの「前3月間のうちいずれかの月」の両方で結果を並べ、結果が変わる場合は、どちらの数え方で届け出るかを指定権者に確認して日付とともに記録する
- 届出のあとも毎月の割合を記録し、所定の割合を下回ったときの届出の期限と窓口を決めておく
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
認知症専門ケア加算の割合は、前3月間の平均で出すのですか?
留意事項通知は、算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均で算定すると書いています。一方、令和6年度介護報酬改定のQ&A(Vol.4、令和6年4月18日)問1は、前3月間のうち、いずれかの月の利用者数で算定し、利用者数は利用実人員数又は利用延人員数を用いると答えています。書き方が異なるため、どちらで届け出るかは指定権者に確認してください。
月の途中で利用者の認知症高齢者の日常生活自立度が変わったら、どの区分で数えますか?
Q&A(Vol.4)問1は、利用実人員数による計算を行う場合に、月途中で自立度の区分が変更になったときは月末の区分を用いて計算すると答えています。利用延人員数による計算でのこのような場合の扱いは、この問には書かれていません。
割合の端数はどう扱いますか?
Q&A(Vol.4)問1の計算例は、割合を小数点第二位以下切り捨てで示しています(例:57人÷96人≒59.3%)。この例は訪問入浴介護の加算(Ⅰ)のものです。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表の訪問介護費)(確認日 2026-10-20)
- 厚生労働省老健局「別紙1 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)(抄)(新旧対照表)」(第2 居宅サービス単位数表(訪問介護費の部分)に関する事項)(確認日 2026-09-26)
- 厚生労働省(名古屋市の掲載ページの写し)「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和6年4月18日、介護保険最新情報Vol.1256)訪問介護 緊急時訪問介護加算 問4、認知症専門ケア加算 問1・問2」(【訪問介護】緊急時訪問介護加算 問4/【訪問介護、(介護予防)訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護】認知症専門ケア加算 問1・問2)(確認日 2026-10-20)