運営 / 更新 2026-10-10

悪天候・災害で訪問できない日の訪問介護の対応:利用者への連絡・代替・算定の確認先

台風などの悪天候や災害で訪問できそうにない日は、事前に決めた基準でサービスの休止・縮小を判断し、居宅介護支援事業所と利用者・家族に連絡し、必要なら代替を検討します。厚生労働省の自然災害BCPガイドライン(訪問サービス固有事項、第1.1版・2024年3月31日)が、この順に確認すべき点を示しています。一方、その日の算定がどうなるかは、確認した資料に定めがありません。令和元年台風第19号の事務連絡(2019年10月15日)は被災地の特例で、訪問できなかった日の算定可否は書かれていないため、算定の扱いは保険者・指定権者に確認する事項として分けます。確認日は2026年10月10日です。

この記事で決めること

訪問介護事業者が台風などの悪天候や災害でサービスの休止・縮小を判断するとき、事前に決めること、利用者・居宅介護支援事業所への連絡、代替の選択肢、算定の確認先を、厚生労働省のガイドラインと令和元年台風第19号の事務連絡で確認できる範囲に分けて確認できるようにするための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、悪天候・災害時の訪問可否判断メモ(休止・縮小の基準・連絡先・代替先・算定の確認結果)を作成できる状態を目指します。

結論:連絡と代替は確認でき、算定は自治体に確認する

ガイドラインの訪問サービス固有事項は、台風などで甚大な被害が予想される場合に、サービスの休止・縮小を余儀なくされることを想定して、あらかじめその基準を定めておくこと、居宅介護支援事業所にも情報共有の上、利用者やその家族にも説明すること、必要に応じてサービスの前倒し等も検討することを挙げています。

確認した2つの資料のどちらにも、悪天候で訪問できなかった日について、報酬を算定できる・できないを定める記載は見つかっていません。このため、この記事は「算定できる」とも「できない」とも書かず、その日の請求の扱いは、保険者・指定権者の回答を日付つきで記録してから処理する、という進め方を示します。

場面ごとの対応と確認できる根拠

次の表は、事前・当日・長期の休止の3つの場面で、確認できる対応と、その根拠を並べたものです。連絡方法や代替の選び方は、事業所の規模によって変わるため、表は考え方の整理にとどめています。

悪天候・災害時の場面別の対応と根拠(厚生労働省ガイドライン3-2-3。2026年10月10日確認)
場面確認できる対応根拠条文・資料で確認できない点
平時(災害の前)複数の緊急連絡先と連絡手段(固定電話・携帯電話・メール等)の把握、居宅介護支援事業所と連携した安否確認の方法、訪問中・移動中の職員の対応の検討ガイドライン3-2-3【平時からの対応】具体的な連絡網の様式
災害が予想されるときサービスの休止・縮小の基準をあらかじめ定め、居宅介護支援事業所に共有し、利用者・家族に説明する。必要に応じてサービスの前倒し等を検討するガイドライン3-2-3【災害が予想される場合の対応】休止の判断に使う警報の種類や基準値(事業所で決める)
災害発生後(長期の休止)居宅介護支援事業所と連携し、必要に応じて他事業所の訪問サービス等への変更を検討する。可能な場合は避難先でのサービス提供を行うガイドライン3-2-3【災害発生時の対応】代替先事業所の選び方、費用の扱い
被災地での算定の特例避難所や避難先の家庭等で居宅サービスを提供した場合も、介護報酬の算定は可能。事業所の被災で人員基準等を一時的に満たせない場合は、利用者の処遇に配慮した上で柔軟な対応が可能令和元年台風第19号の事務連絡1(2)・1(7)別の災害・別の日への適用(個別の事務連絡で確認)

基準第10条との関係

指定居宅サービス基準第10条は、事業所の通常の事業の実施地域等を勘案し、利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難であると認めた場合は、居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないと定めています。

この条文の対象は利用申込者で、すでに利用している人の、ある日の訪問の休止を直接定めたものではありません。ただし、居宅介護支援事業者への連絡と、他事業所の紹介という措置の考え方は、ガイドラインが示す連絡と代替の順序と同じ方向です。

算定の考え方:事務連絡で確認できることと、できないこと

令和元年台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについて(令和元年10月15日付事務連絡)は、被災地を対象とした取扱いを例示するものです。訪問介護では、特定事業所加算の定期的な会議の開催やサービス提供前の文書による指示・提供後の報告について、被災等でやむを得ず要件を満たせなくなった場合も加算の算定は可能とされています。

この事務連絡は、その災害の被災地を対象にした例示で、台風が近づいて訪問を見合わせた日の算定を定めたものではありません。他の災害の取扱いも、個別の事務連絡で示されます。サービスを提供していない日の請求、特定の加算の要件への影響、記録の残し方は、事業所の所在地の保険者・指定権者に確認し、回答日と内容を記録します。

利用料の受領や領収書の扱いは訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と保険外サービスの別料金の条件)、居宅介護支援事業所との連絡や月次の報告は訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告で確認できます。

この記事で扱わないこと

BCP(業務継続計画)の策定、研修・訓練、未実施時の減算は訪問介護のBCP・感染症・虐待防止・事故対応で整理しています。この記事は、個別の日の算定可否の判断、熱中症など気象に関する安全対応の基準、災害ごとの特例の適用を扱いません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 台風・大雨などで訪問を休止または縮小する基準(警報の種類、道路や交通機関の状況など)を事前に書き出し、居宅介護支援事業所と共有する
  2. 休止・縮小を判断した日は、影響を受ける利用者ごとに、連絡した相手・連絡日時・伝えた内容(休止、日程の変更、前倒しなど)を記録する
  3. 長期の休止になるときは、居宅介護支援事業所と相談し、他事業所の訪問サービス等への変更を検討した結果を記録する
  4. その日の算定や請求の扱いは、保険者・指定権者に確認した回答日と内容を記録してから処理する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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